6打点は12球団トップタイ
広島の小園海斗選手(19)が1日、ナゴヤドームで行われた中日とのオープン戦に「6番・三塁」で先発出場。3回に2人の走者を還す大きな適時二塁打を放つなど、これでオープン戦は4戦連続安打と好調だ。
これまでのオープン戦4試合はすべて途中からの出場だったが、通算打率.455(11-5)という好調ぶりが認められてスタメン入りを果たしたこの試合。第1打席は1点を追いかける2回、無死二塁のチャンスで中日の開幕投手・大野雄大と対戦した。
初球のやや甘めの速球を積極的に打ちに行くも、やや詰まった打球は投手の頭を超えてセカンドへ。安打とはならなかったが、この二ゴロで走者が三塁に進むと、つづくホセ・ピレラの犠飛で走者が生還。最低限の仕事は果たす。
すると、第2打席は味方が勝ち越しに成功した直後の3回、なおも二死一・三塁というチャンスで、同じプロ2年目の梅津晃大(※こちらは大卒)と激突。追い込まれてから低めの変化球をしっかり見極めてフルカウントまで持ち込むと、捕手の構えたところより中に入ってきたインハイの速球を思い切り引っ叩く。快音を残して放たれた鋭いライナーは、あっという間にライト線を突破。三塁走者に続いて一塁走者まで帰ってくる、2点適時二塁打となった。
その後は3打席凡退に倒れたが、6回のルーキー・橋本侑樹との対戦は速球を捕らえてピッチャー強襲の当たりを放つも、これを左腕が見事な“背面キャッチ”。打った小園も思わず笑ってしまう超美技に阻まれたアウトであり、8回の第4打席も193センチを誇る長身右腕ライデル・マルティネスを相手に、150キロを超える剛速球に食らいつきながらしっかりと打ち返したもの。
9回表に回ってきた第5打席の一ゴロも、一二塁間を襲う強烈な打球を放っており、結果的には「5打数1安打」ではあるものの、それぞれの映像を見ると、しっかりとバットを振り切ったうえでの“内容のあるアウト”だったことが分かる。
4試合連続安打に加え、この日の打点2を加えたオープン戦の通算打点は「6」。これはヤクルトの吉田大成と並んで12球団トップの数字だ。開幕スタメン入りへ、状態の良さをアピールしている。
気になるポジション争い
小園は報徳学園高から2018年のドラフト1位で入団した期待の大型内野手。夏の甲子園を制した大阪桐蔭の根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)、さらにはその大会でヒーローになった吉田輝星(日本ハム)といった注目株のひしめくドラフトのなか、根尾と並ぶ最多の4球団から1位指名を受けるなど、世代屈指の内野手としてそのポテンシャルを高く評価された。
抽選の結果、くじ引きを制した広島に入団。高卒1年目のルーキーとしては球団史上初となる開幕一軍入りを果たすと、春先こそ出場がなかったものの、6月には一軍デビューも達成。
その後は正遊撃手の田中広輔が不振に苦しんだこともあって、後半戦からは一気に出場機会を増やし、ルーキーイヤーから一軍に定着。いきなり58試合の出場で4本塁打をマークするなど、1年目から大器の片りんを示している。
今年の6月でようやくハタチになるという“若手”ではあるが、今季は開幕スタメンとレギュラー定着という部分に期待がかかる。
本職である遊撃のポジションには、不振からの復活を目指す田中広輔という大きな壁が立ちはだかり、ライバルもこのオープン戦は打率.333と上々の仕上がり。田中がここまで全試合で遊撃スタメンを続けているだけに、小園はこれまですべて途中からの出場だったが、1日の試合では「三塁」でスタメン出場。この起用から、首脳陣が本格的に田中と小園の共栄というプランを考え始めていることがうかがい知れる。
昨季一軍の舞台で積んだ経験に、秋・冬を越えてさらに力を付けた姿を見ていると、遊撃にこだわって二軍でプレーさせるというのは確かに得策ではないように思える。ほかのポジションでも、「一軍でさらに経験を積ませたい」と思うのが自然だろう。
このままアピールを続けていけば、「開幕一軍」というひとつ目のハードルを飛び越えることはさほど難しくないはず。あとはその先にある「開幕スタメン」、小園は“どこ”を守って試合に出場するのか…。
シーズン開幕までの時間も少なくなってきたなか、ここに来て激しさを増している広島の内野争い。2年目の小園海斗は自らの居場所を勝ち取ることができるか、今後も目が離せない。
文=尾崎直也
小園海斗・オープン戦
▼ 2月22日(土) vs.ヤクルト(浦添)
※守備から途中出場
① 二ゴ
② 犠打失策
③ 空三振
───
[通算] 率.000(2-0) 本0 点0
▼ 2月23日(日) vs.阪神(沖縄)
※代打から途中出場
① 一ゴ
② 三邪飛
③ 二安(+2)
④ 右飛
───
[通算] 率.167(6-1) 本0 点2
▼ 2月24日(月) vs.巨人(那覇)
※守備から途中出場
① 右安
② 右本(+1)
③ 中二(+1)
───
[通算] 率.444(9-4) 本1 点4
▼ 2月29日(土) vs.中日(ナゴヤドーム)
※守備から途中出場
① 左飛
② 中安
───
[通算] 率.455(11-5) 本1 点4
▼ 3月1日(日) vs.中日(ナゴヤドーム)
「6番・三塁」でスタメン出場
① 二ゴ
② 右二(+2)
③ 投ゴ
④ 中飛
⑤ 一ゴ
───
[通算] 率.375(16-6) 本1 点6