代走で存在感
「今年は足がカギになると思うので、バッティングより足のトレーニングを増やしたりしています」。
1月の自主トレ中にこのように話していたロッテの和田康士朗は、自身が鍵となると話した“足”で存在感を見せている。
1日の楽天とのオープン戦で、1-2の8回無死二塁の場面で、代走で登場すると、福田光輝の内野ゴロで三塁へ進む。一死三塁となり、楽天の内野陣は前進守備を敷く。清田育宏がセカンドへゴロを放つと、楽天の二塁・山崎幹史が打球を処理し本塁へ送球。普通の足であればアウトのタイミングも、俊足・和田はきっちりとホームに生還した。
この走塁に井口監督も「あの場面でああいう走塁ができるというのは、チームにとって戦力。キャンプから良い走塁をしている」と絶賛した。
自主トレでは走塁練習に力を入れる
「秋のキャンプで大塚さんや伊志嶺さんに教えてもらったので、構えとか確認してやっていたという感じですね」。
「スタートが遅いので、少しでも速く正面に向けるようにというか。今はそういう構えの練習です」。
ロッテ浦和球場で行った自主トレでは、一塁ベースから二塁ベースへダッシュしたり、盗塁のスタートの練習を何度も繰り返してきた。
春季キャンプは二軍スタートも、2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合でライトスタンドへ飛び込む特大の本塁打を放つと、11日の第3クールから一軍に合流し、那覇の一軍遠征の切符も掴み取った。
代走で出場した14日の広島との練習試合では、相手が前進守備を敷く中、藤原恭大が放ったセカンドへのゴロで、三塁走者の和田は好スタートを切りホームイン。20日の韓国・サムスンとの練習試合でも代走で出場し2盗塁をマークすれば、22日の西武との練習試合でも盗塁を決めた。
ファームでも代走で出場することが多いが、一軍と二軍では「雰囲気もそうですけど、一軍のキャッチャーは全部二塁へドンピシャの送球をしてきます」と一軍の舞台を経験するなかで、その違いを肌で感じている。
それでも、対外試合では盗塁を5つ決めている。「5つ決めているんですけど、1個は失敗しているので、成功よりも失敗かなと思いますね」と反省。1年目の秋季キャンプから継続して練習を行っている盗塁のスタートについては、「悪かったり、良かったりとばらつきがある感じです」と納得はいっていない部分はあるが、「スタートを一番練習していたので、その成果が出ているかなと思います」と自己評価している。
「代走での起用が多いと思うので、そこで結果を出せば、自然とバッティングもついてくると思う。一番は走塁で結果を出せるように頑張りたい」。実戦の中で、日々成長を続ける和田。武器である“足”で支配下選手登録を掴み取って見せる。
取材・文=岩下雄太