オープン戦、打撃好調のウラに?
ヤクルトの2年目・吉田大成が今季、ブレイクの予感を漂わせている。オープン戦では内野のすべてのポジションを守り、ユーティリティーぶりも発揮している25歳の“イケメン”内野手は、3月8日の試合終了時点で打率.333をマーク。さらに12球団トップの9打点を挙げている。
好調な打撃について吉田は「去年の秋頃から積み上げたものがちゃんと形になってくれているのかな」と話す。プロ1年目の昨季、一軍での出場は13試合で打率.188の成績に終わった。オフに入り、吉田がここまで積み上げてきたものとは何か――。
「自分のスイングを変えたというものがあった。自分の元々の打ち方が打ちにくくなってきて、誰かいい人いないかなと思って、思い切って青木(宣親)さんの真似を始めました。そこから青木さんに聞いたり、自分なりにいろいろ試してみたりした積み重ねが結果になってくれているのかなという感じです」
チームの顔であり、メジャーリーグでも活躍した青木宣親の打撃フォームを取り入れ、そこから自分自身で努力を重ねてきた。ここまで好調をキープしているが、公式戦でも結果を残すために気を緩めることはない。
「体も変わっていくし、自分の打ち方もそれこそちょっとずつ変わっていくと思うので、どんどん積み重ねていって、プラス結果を残さなければいけない立場なので、結果を求めつつやっていきたい」
何でもできなきゃいけない選手
レギュラーを奪うためには、競り勝たなければいけないライバルたちがいる。
遊撃のポジションには新外国人選手としてアルシデス・エスコバーが加入。メジャーで通算1367安打を記録し、15年にはゴールドグラブ賞を獲得した名手だ。さらに、下半身のコンディション不良で離脱していた村上宗隆が一軍復帰へ向けて調整を続けており、三塁のポジションに就く可能性がある。
チーム内の激しい競争に打ち勝つために、吉田は「僕は何でもできなきゃいけない選手なので、そういうところを大事にしつつ、レギュラーを獲りにいくという気持ちでやっていきたい」と意気込む。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、無観客試合で行われているオープン戦。ファンは躍動する背番号「66」のプレーを間近で見ることができない状態が続いているが、「いま僕たちがやれることをやって、いずれ(お客さんが)入ったときは、お客さんを楽しませるプレーや歓声をいただけるようなプレーをしていきたい」と誓う。
ツバメ党の大きな声援を受けプレーするために、まずは開幕一軍、そしてその先のレギュラー獲りへ向けて突き進む。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)