不測の事態の連続…
3月15日(日)のオープン戦は全6試合がデーゲーム。マツダスタジアムで行われた広島-ソフトバンク戦のゲームセットをもって、プロ野球『春季非公式試合』の全日程が終了した。
今季は夏場に東京五輪を控えている事情から球界のスケジュールが全体的に前倒しとなり、2月16日(日)に沖縄で開幕を迎えたオープン戦。しかし、新型コロナウイルスの脅威から2月29日(土)以降の試合はすべて無観客で開催されることが決まり、選手たちは普段とまるで違った静けさの中での調整を強いられたうえ、今月12日(木)には3月20日(金)に予定されていたシーズン開幕も延期が決定。この1カ月間は不測の事態の連続だった。
それでも、徹底した対策の甲斐もあって、これまでに選手の新型コロナウイルス感染は確認されず。試合も天候不良以外で中止となることはなかった。日本野球機構もJリーグと共同で「新型コロナウイルス対策連絡会議」を立ち上げ、専門家のアドバイスを受けながらシーズン開幕に向けた協議を続けており、我々としては一日も早い事態の終息と、その先にある球春の訪れを祈りながら待つしかない。
“空白の時間”の使い方
チームによって試合数にバラつきはあるが、ひとまず「全日程終了」ということで各チームの成績を見てみると、全体トップの勝率をマークしたのはパ・リーグ連覇中の西武。今オープン戦は9試合を戦って2回しか負けていない。
チーム打率.275は全体トップと、メジャー挑戦のため秋山翔吾が抜けても強力打線は健在。背番号を「3」に変更した山川穂高が打率.367・本塁打3・打点7と好調で、今季にかける想いの強さを感じさせている。
また、長年課題となっていた投手陣も、この春はチーム防御率2.62という好成績。松本航や與座海人といったところが頭角を現してきたほか、実に14年ぶりの古巣復帰となった松坂大輔も計2試合に登板して存在感を発揮。投手陣の再建へ、楽しみな選手がアピールを見せた。
一方、昨季のセ・リーグを制した巨人は9連敗でオープン戦に幕。2月23日(日)の白星を最後に、13試合連続未勝利のまま戦いを終えている。
とはいえ、明るい材料もある。昨季は腰の故障からコンディション不良に苦しんだエースの菅野智之が、新フォームを試しながら計4試合に登板して防御率1.59と好投。背番号18が完全復活に向けて良い姿を見せた。
打線でも、すっかり不動の主砲となった岡本和真が15試合の出場で打率..356・本塁打3・打点10と絶好調。また、逆襲に燃えるベテランの中島宏之がオープン戦最多タイの4本塁打をかっ飛ばすなど、個々を見れば明るい材料も多い。
例年であれば、どれだけ焦っても1週間後にはシーズンの開幕がやってくるのだが、上述の通り今年は事情が違う。
オープン戦で好調だった選手はいかにしてこの好調を維持していくか、逆に調子の悪かった選手はいかにして浮上のキッカケを掴むか……。いつになるか分からないだけに、これからの時間の使い方というのは非常に難しく、そして重要なものとなってくる。
オープン戦2020・結果
1位 西武
9試合=6勝2敗1分(.750)
得点37 失点23
本塁打5 盗塁12
打率.275 防御率2.62
2位 ソフトバンク
12試合=8勝3敗1分(.727)
得点69 失点34
本塁打13 盗塁17
打率.273 防御率2.52
3位 阪神
12試合=7勝3敗2分(.700)
得点49 失点56
本塁打13 盗塁14
打率.256 防御率4.16
4位 楽天
14試合=9勝4敗1分(.692)
得点64 失点42
本塁打9 盗塁13
打率.262 防御率2.35
5位 DeNA
13試合=8勝5敗0分(.615)
得点56 失点44
本塁打13 盗塁4
打率.265 防御率2.80
6位 広島
12試合=5勝5敗2分(.500)
得点59 失点63
本塁打10 盗塁4
打率.271 防御率4.20
6位 日本ハム
14試合=6勝6敗2分(.500)
得点56 失点56
本塁打5 盗塁7
打率.253 防御率3.60
8位 中日
13試合=6勝7敗0分(.462)
得点34 失点55
本塁打4 盗塁6
打率.232 防御率3.79
9位 ヤクルト
13試合=4勝8敗1分(.333)
得点38 失点53
本塁打3 盗塁13
打率.215 防御率3.70
10位 ロッテ
9試合=2勝5敗2分(.286)
得点31 失点35
本塁打9 盗塁9
打率.229 防御率3.38
11位 オリックス
13試合=3勝8敗2分(.273)
得点48 失点63
本塁打10 盗塁4
打率.250 防御率4.07
12位 巨人
16試合=2勝10敗4分(.167)
得点55 失点72
本塁打16 盗塁4
打率.232 防御率3.92