電撃加入から1週間…
ロッテの鳥谷敬選手(38)が17日、ロッテ浦和球場で行われた巨人とのファーム練習試合に「3番・遊撃」で先発出場。移籍後初出場で安打を放ち、守りでも好プレーを見せて健在ぶりをアピールした。
聖望学園高から早稲田大を経て、2003年のドラフト自由枠で阪神に入団したプロ17年目の大ベテラン。通算2169試合に出場して2085安打を記録したミスター・タイガースだが、ここ数年はやや衰えも目立つようになり、昨季はキャリア最少の一軍出場74試合。打率も.207とらしくない数字に終わり、ついには“引退説”も流れるなか、本人は現役続行を希望して阪神を退団。新天地探しの旅がはじまった。
ところが、待てど暮らせど所属先は決まらず、キャンプがはじまり、オープン戦もスタート。いよいよ新たなシーズンへ……というところで、その知らせは突然舞い込んできた。3月10日、ロッテが鳥谷敬の獲得を発表したのだ。
「今は感謝の気持ちしかありません。とにかくチームの優勝に少しでも貢献できるように精一杯、プレーをさせていただきます」と語った背番号00。すぐさま浦和のファーム施設で練習をはじめると、入団発表から1週間後の3月17日、ついに“実戦デビュー”を迎える。
2打席目で快音!
新天地での第一歩は、昨年まではライバルチームだった巨人とのファーム練習試合。「3番・遊撃」でスタメンに名を連ねた男は、真新しい背番号00のユニフォームを風になびかせながら自身の“定位置”に向かった。
1回表、その先頭打者。湯浅大の打球はいきなり鳥谷のもとへ。先発・石川歩の内角球に詰まらされた打球は、力なくショートの正面。俊足が持ち味の相手だったが、流れるように捕球から送球までをこなし一塁はアウト。まずは軽快な動きを見せる。
その裏、二死走者なしで「3番・ショート 鳥谷」のコール。残念ながら無観客での開催とはなったものの、三塁側に陣取った多くのカメラマンからシャッター音が響かせるなか、巨人先発・戸郷翔征と対決。3ボール・2ストライクとフルカウントまで持ち込むと、勝負球はやや甘めに来たものの打ち損じ、三邪飛でアウト。初打席で快音とはならなかった。
しかし、3回の第2打席でその瞬間は訪れる。
2番の和田康士朗が素晴らしい当たりの逆転2ランを右中間スタンドに叩き込んだ直後、戸郷が投じた高めの速球を1球で仕留め、逆らわずに弾き返した打球はレフト線へ。クリーンヒットで移籍後初安打をマークした。
ただし、勢いのままに一塁キャンバスを蹴って二塁へと向かうも、これは外野からの返球が早くタッチアウト。安打の記録は消えないが、塁には残ることができずベンチへと戻っている。
さすがの守備も披露!
さらに4回、今度は守備で魅せる。
若林晃弘がコツンと三遊間に弾き返したゴロに対して素早く回り込むと、身体は三塁方向に流されながらもキャッチしてすぐにジャンピングスロー。まったく無駄のない動きから、厳しい体勢のままノーバウンド送球を決め、俊足の打者走者を間一髪仕留めて見せた。
さすがは5度のゴールデングラブ受賞を誇る名手。38歳となった今でも錆びつくことのない華麗なプレーに、ロッテベンチから歓声があがった。
その後、5回裏の第3打席もフルカウントまで持ち込んだが、最後は低めの速球を見送るも判定はストライク。見逃しの三振に倒れ、この日はここまででお役御免。グラウンド整備を挟んだ6回表の守備からベンチに退いた。
電撃加入から1週間、初実戦は3打数1安打。守備でもさすがのプレーを見せるなど、上々の滑り出しを見せている。新天地での“もう一花”へ、期待を抱かせるデビュー戦となった。