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プロ野球開幕再延期~4月に開幕しなくてはならない“これだけの事情”

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【プロ野球(NPB)12球団代表者会議 会見】会見に臨む(左から)パ・リーグの横田昭作理事長、NPBの斉藤惇コミッショナー、セ・リーグの三原一晃理事長=2020年3月23日 東京都港区 写真提供:産経新聞社
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、23日の12球団の臨時代表者会議で決定した「プロ野球開幕・再延期」について、その背景と影響を取り上げる。

世界中で新型コロナウイルスの猛威が止まらないなか、24日、安倍首相とIOC・バッハ会長が電話会談。今夏に開催予定だった東京五輪・パラリンピックを「1年程度延期する」ことで合意しました。やむを得ない選択とはいえ、スポーツ界全体に与える影響も大きいこの決定。プロ野球も例外ではありません。

五輪延期決定に先立って、NPBはその前日・23日に、12球団による臨時代表者会議を開催しました。

NPBは9日に、本来のプロ野球開幕日だった3月20日を3週間延期。4月10日の開幕を目指す方向で各球団が準備を進めていましたが、世界的に感染者が急増し、終息の気配が見えないなかでの開幕はさすがに無理と判断。

23日の12球団関係者会議で「再延期」を決定し、開幕日をさらに2週間後ろに延ばして、4月24日開幕を目指すことで一致しました。

ただし、24日に開幕できるかはあくまで今後の状況次第です。ある程度の終息の見通しが立たなければ、また開幕を先に延ばす他ありません。

ちなみにJリーグは、25日の実行委員会で、3度目のリーグ再開延期を決定。J1→5月9日、J2→5月2日のリーグ再開を目指すことになりました。感染症専門家チームから「できるだけ遅い時期に目標を定めてほしい」という提言を受けてのもので、さらに延期される可能性もありますが、現状ではこのくらいの延期が妥当な判断でしょう。

一方NPBも、Jリーグと合同で対策連絡会議を開いているのですが、こちらはなぜ4月中の開幕にこだわっているのかといえば、「レギュラーシーズン143試合をどうしても消化したい」という思惑があるからです。

12球団にとっては、レギュラーシーズンの収益が球団経営の柱。これを削減しないで済み、かつポストシーズン(クライマックスシリーズ、日本シリーズ)を、選手との契約期間内である11月中に終えられるギリギリの日程が、4月下旬なのです。

4月24日に開幕すれば、すぐにGW期間ですし、しかも東京五輪が延期になったため、シーズンを休止する必要もなくなりました。五輪休止期間は3週間設定されていましたが、その間に延期した試合を消化することも可能になります。

となると、日程の再編成も比較的スムーズに進み、うまく行けば、ポストシーズンを後ろに倒さなくても全公式戦を消化することができるかもしれません。

ただし、仮に4月24日に予定通り開幕できたとしても、大きな問題があります。

政府の専門家会議は、大規模イベント・スポーツ興行の主催者に対し「手が届く範囲以上の距離を保つ」「声を出す機会を最小限にする」などの感染予防策を提言。

NPBも、Jリーグと合同で行っている対策連絡会議で、感染症の専門家チームから同様の提言を受けており、23日の12球団関係者会議では、複数の球団から「大胆な入場規制を検討する必要があるのでは?」という意見が挙がったそうです。

「手が届く範囲以上の距離を保つ」という提言を遵守するなら、2人以上で球場に行ったとしても、隣り合った席には座れないことになります。では、何席分ぐらい間を空けたらいいのか? どうやってチケットを販売するのか? 球場設備と座席配置には差があるため、その対応は各球団の判断ということになりそうです。

代表者会議に出席したある球団幹部は、「観客が収容人数の半分以下になることもやむを得ない」とコメントしました。

感染を警戒して球場行きを断念するファンも多いでしょうし、仮にチケットが完売しても、本来の収益の半分以下しか見込めない、という極めて厳しい状況が待っています。

無観客で公式戦を開催するのは大幅な赤字が予想され、各球団としては何としても避けたいところ。「間引き開催」は苦肉の策ですが、背に腹は替えられません。

新型コロナ拡大はこれからが本番、という見方もあり、まだまだ先行き不透明な状況が続くと思われますが、どんな状況であろうと、NPBに忘れてほしくないのは、あくまで「選手ファースト・観客ファースト」。

新型コロナ感染者・死者が急増するなかでの強行開催は誰も望んでいませんし、選手が健康体であってのプロ野球です。ファンも、感染の危険性があるスタジアムには、進んで足を運ばないでしょう。

球界がかつてない窮状に置かれているのは理解していますが、2011年、震災の年にセ・リーグ単独での開幕を強行しようとして世間の批判を浴び、結局、開幕を遅らせてのセ・パ同時開催で落ち着いた過去もあるNPB。今回も、慎重な判断が求められています。

22日、さいたまスーパーアリーナで大会を決行したK-1主催者が批判を浴びましたが、くれぐれも「開催ありき」で拙速な判断をしないよう、切に願います。

そして政府や行政も、ただ「自粛要望」を繰り返すだけでなく、大規模イベントに関しては「この条件が守られるなら決行してもいい」という一定のガイドラインを設け、自粛を求める際は、主催者に補償を約束するなどの措置を講じていただきたいものです。

このままでは五輪開催の前に、日本のプロスポーツが干上がってしまいかねませんから。
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