ローテ入り濃厚、楽天・岸を彷彿とさせる森下
新型コロナウイルスの影響で未だ開幕日が確定していない2020年シーズン。当初の開幕予定日だった3月20日に向け仕上げてきた選手たちは難しい調整を強いられている。昨季リーグ4連覇を逃した広島は、佐々岡新体制で再スタート。ここまでの春季キャンプ、オープン戦等の実戦で、目立った若手選手を振り返ってみたい。
まずは昨年のドラフトで、一本釣りに成功したドラフト1位・森下暢仁だ。しなやかなフォームから150キロ近い真っ直ぐを投げ込み変化球も多彩。カーブ、チェンジアップをカウント球と決め球の両方でしっかり操り、緩急を駆使し打者を翻弄するスタイルは、どことなく楽天の岸孝之を彷彿とさせる。
キャンプ中から大きな故障もなく順調そのもの。実戦では3月15日のソフトバンク戦(マツダ)で4回5失点と崩れたものの、続く22日の練習試合・中日戦(マツダ)では6回2失点と好投。修正力を見せ開幕ローテーション入り手繰り寄せた。
救援では高卒6年目の塹江敦哉が頭角を現してきた。入団当初から力強い真っ直ぐは魅力的だったが、制球に苦しむ一面があり過去5シーズンで一軍登板は計14試合。それが今春の実戦では、制球に苦しむ登板が減りオープン戦防御率は1.23。四球数も計7回1/3で3つに抑え、しっかりと成長の跡が見られる。
広島の救援左腕は現状、守護神候補だったフランスアが不調のため二軍調整中。中村恭平は右わき腹痛で出遅れている。塹江は同じくオープン戦で結果を残した高卒5年目・高橋樹也とともに救援陣の救世主として期待される。
野手陣は上々、投手陣はさらなる底上げに期待
野手では高卒2年目の小園海斗が、本職の遊撃だけでなく二塁と三塁でも本格的にプレー。オープン戦から練習試合にかけ24打席連続無安打と苦しむ時期もあったが、22日の中日との練習試合(マツダ)では、一発含む2安打をマークするなど積極的な姿勢は不変。開幕レギュラー獲りへ貪欲な姿勢を貫いている。
高卒4年目の坂倉将吾は持ち前の打力をアピール。オープン戦、練習試合を含め、実戦で計3本塁打をマークした。打力を生かすため昨年の春季キャンプでは外野守備にもチャレンジしていたが、今年は會澤翼に次ぐ“2番手捕手”として起用する方針。シーズン中は代打要員としても計算できそうだ。
もう若手ではなく中堅の域に入った堂林翔太、野間峻祥、高橋大樹らに加え、スピードを兼ね備えたドラフト2位・宇草孔基も実戦でしっかりアピール。近年のチームバランス同様、野手陣の仕上がりは上々だ。
一方で投手陣は、佐々岡監督が期待を寄せていた山口翔、ケムナ誠らがキャンプ中に二軍降格。一軍経験豊富な岡田明丈、中村祐太、アドゥワ誠らも含め、延期状態にある開幕までにもう少し底上げしたいところだ。