2018年・根尾昂(大阪桐蔭)
世界中で猛威を振るう「新型コロナウイルス」の問題によって、大会の中止が決定した今年の“春のセンバツ”。本来の予定で順調に日程を消化していれば、きょう29日は決勝進出をかけた準決勝が行われているはずだった。
残念ながら球児たちによる激闘を見ることはできなくなったものの、毎日新聞と毎日放送(MBS)がSports naviにて展開している「センバツLIVE!」では、サイト限定のスペシャル動画を公開中。過去3大会の全99試合を振り返る『センバツ プレイバック』や、高校野球好き有名人が語る『【動画】僕の心を揺さぶったあの試合』といった特集が展開されている。
ここでは、“2000年以降”に絞って近年の「センバツ優勝投手」に注目。その後、プロの世界へと飛び込んで来た選手を中心に振り返ってみたい。今回は、2018年に甲子園春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭から、現中日の根尾昂を取り上げる。
プロの壁をぶち破れ!
今では押しも押されもせぬ高校球界の“横綱”──。2000年以降だけで春3度、夏は4度の全国制覇を成し遂げ、長い甲子園の歴史のなかで史上初めて2度の春夏連覇も達成している大阪桐蔭。2018年と言うと、その2度目の連覇を果たした年である。
“最強軍団”の歴史のなかでも、“最強世代”と言われたのがこの年のチーム。秋のドラフト会議では一気に4選手がプロ入りを果たしているが、その中で4球団から1位で指名を受けたのが根尾昂だ。
プロ入り後は「遊撃一本」で勝負することを掲げ、プロ2年目の今年は外野にも挑戦。すっかり野手としての印象が強くなった男だが、2年前は“二刀流”プレーヤーとして注目を集めていた。センバツ決勝の智弁和歌山戦では、先発投手として140球の熱投。2失点完投でチームに栄冠をもたらしている。
その後、夏はエースの座を柿木蓮(現日本ハム)に譲り、大型左腕の横川凱(現巨人)もいたことから投手としての出番は減少。強打の遊撃手として攻守でチームを支えた。
しかし、そんな高校球界のスター選手も、プロの世界ではやや壁にぶち当たっている。ルーキーイヤーの昨季は一軍デビューこそ果たしたものの、出場したのはシーズン終盤の2試合のみ。ファームでは108試合に出場と多くの経験を積んだが、打率は.210と苦戦。後半は徐々に慣れてきて打撃に改善の兆しも見られたが、少し物足りない成績だったことは否めない。
プロ1年目終了後からは外野にも挑戦するなど、2年目の今季は一軍での出場増に向けて奮闘中。キャンプは一軍で1カ月完走を果たしたが、オープン戦では12試合の出場で打率.190と課題の打撃でアピールすることができなかった。
自身と同じく、“センバツ優勝投手”を経て、プロの世界では野手として勝負している石川昂弥は、1年目の春から順調な滑り出しを見せている。近いところで見ていて、先輩として負けられないという想いはあって当然のことだろう。
新たな刺激を力に、“勝負の2年目”のブレイクなるか…。中日の背番号7から目が離せない。
春のセンバツ・優勝校と優勝投手
※2000年以降2000年:東海大相模(筑川利希也)
2001年:常総学院(村上尚史)
2002年:報徳学園(大谷智久=現ロッテ)
2003年:広陵(西村健太朗=元巨人)
2004年:済美(福井優也=現楽天)
2005年:愛工大名電(斉賀洋平) ※2番手に十亀剣(現西武)
2006年:横浜(川角謙)
2007年:常葉菊川(田中健二朗=現DeNA)
2008年:沖縄尚学(東浜巨=現ソフトバンク)
2009年:清峰(今村猛=現広島)
2010年:興南(島袋洋奨=元ソフトバンク)
2011年:東海大相模(近藤正崇)
2012年:大阪桐蔭(藤浪晋太郎=現阪神)
2013年:浦和学院(小島和哉=現ロッテ)
2014年:龍谷大平安(高橋奎二=現ヤクルト)
2015年:敦賀気比(平沼翔太=現日本ハム)
2016年:智弁学園(村上頌樹)
2017年:大阪桐蔭(徳山壮磨)
2018年:大阪桐蔭(根尾昂=現中日)
2019年:東邦(石川昂弥=現中日)
※優勝投手について
諸説ありますが、ここでは主戦投手、もしくは優勝決定の瞬間に登板していた投手としています。