オースティンと佐野が好調も神里が不振
今シーズンのDeNAは、昨シーズンまでチームを引っ張ってきた筒香嘉智(現レイズ)の抜けた外野をどのように編成するかが大きなテーマとなっている。
その穴を埋めるべく、フロンンとはMLB通算33発の大砲候補・オースティンを獲得。また、ラミレス監督は春季キャンプに入る前から、左翼の佐野恵太を主将に指名し、「4番」という役割を与えた。
ここまでの結果を見る限りでは、このふたつの施策はあたっているようだ。オースティンは、オープン戦で打率.343(35-12)、4本塁打、7打点と結果を残した。右翼のレギュラーの座をほぼ手中に収めたと見ていい。佐野はオープン戦の序盤こそ苦しんだものの、最終的には打率.267(45-12)、3本塁打、11打点。3本塁打はリーグ3位タイであり、11打点は堂々のリーグトップだ。
左翼と右翼が埋まり、外野の残る1枠である中堅は、リードオフマン候補でもある神里和毅が順当に収まると思われていた。しかし、神里はオープン戦で打率.183(33-6)と不振に陥り、ラミレス監督もオープン戦半ばに「他の選手というオプションも持っておきたい」とコメント。3月6日には、二軍で調整していた桑原将志を一軍に呼び寄せるなど、レギュラー争いが混沌としてきたなか、オープン戦で結果を残したのが梶谷隆幸だった。
ラミレス監督も絶賛、「1番・中堅」に名乗り
梶谷はここ2シーズン不振に喘ぎ、とくに昨シーズンは41試合の出場で、打率.215(93-20)と低迷。シーズンの大半を二軍で過ごした。しかし、今年は春季キャンプで一軍スタートを勝ち取ると、オープン戦13試合に出場して、打率.304(23-7)、1本塁打、4打点と結果を残してアピール。その後の練習試合でも、4試合中3試合で「1番・中堅」でスタメン出場を果たすと、打率.667(9-6)とバットが振れていた。
この活躍にラミレス監督も、「ビッグインパクトを残している」と最大級の賛辞をおくったほど。あのまま開幕を迎えることになっていれば、神里ではなく、梶谷が「1番・中堅」の最有力候補になっていたかもしれない。
今年で32歳となる梶谷。ベテランの域に差し掛かり始める年齢かもしれないが、それでも老け込むにはまだまだ早い。かつてはトリプルスリーを狙えるともいわれ、2017年には21本塁打、21盗塁と「20-20」を記録した実績の持ち主でもある。
その他の“オーバー30勢”では、かつてはオリックスの中軸を担いながら近年は苦しいシーズンが続いていたT-岡田(32)がオープン戦でチームトップの3本塁打、9打点をマーク。ジョーンズ、ロドリゲス、モヤといった助っ人外国人勢とのポジション争いに注目が集まる。また、今年で38歳となる中島宏之がオープン戦で躍動。昨年の悔しさをバネにして、打率.351、4本塁打と結果を残し、大城卓三らと争っていた一塁手の座をほぼ手中に収めていた。
若い選手が中心となっているチーム状況のなか、近年の鬱憤を晴らすかのような復活劇を見せることができるのだろうか――。新型コロナウィルスの猛威を受け、先が見えない状況ではあるが、レギュラー奪取へ向け好調を維持してもらいたい。
▼ 梶谷隆幸(31歳/DeNA)
19年ペナント:41試合 打率.215(93-20)5本 15打点 3盗塁
20年オープン:13試合 打率.304(23- 7)1本 4打点 1盗塁
▼ T-岡田(32歳/オリックス)
19年ペナント:20試合 打率.120(50-6)1本 2打点
20年オープン:12試合 打率.296(27-8)3本 9打点
▼ 中島宏之(37歳/巨人)
19年ペナント:43試合 打率.148(54-8)1本 5打点
20年オープン:14試合 打率.351(37-13)4本 6打点