ヤクルトの「高卒3年目」選手
昨秋のドラフト会議では、“令和の怪物”こと佐々木朗希(大船渡高→ロッテ)に最多の4球団が競合。そのなかで奥川恭伸(星稜高→ヤクルト)と石川昂弥(東邦高→中日)にも3球団が競合し、森敬斗(桐蔭学園高→DeNA)も1位で指名を受けるなど、高校生の逸材が大きな注目を浴びた。
思い返して見ると、その1年前には、甲子園春夏連覇の立役者となった大阪桐蔭の根尾昂(現中日)と藤原恭大(現ロッテ)のコンビが複数球団から1位指名を受け、さらに報徳学園の大型内野手・小園海斗(現広島)にも根尾と同じ最多タイの4球団が競合。このように、毎年登場するゴールデンルーキーたちにファンの注目は移っていく。
そんな中、今回取り上げたいのが、さらに“もう1年前”のドラフト会議で指名を受けた高卒選手たち。高校通算111本塁打という看板を引っ提げ、早実・清宮幸太郎が7球団から1位指名を受けたことでも印象深いこの年だが、プロ入り後の2年で最も飛躍した選手と言えば、ヤクルトの村上宗隆だろう。
世代のトップへ
展開してきた“高卒3年目”特集のタイトルにもなっているように、プロ入りからの2年間で世代のトップランナーとなった村上。
九州学院高では1年からレギュラーを張り、1年生ながら4番として甲子園に出場。清宮幸太郎(早実→日本ハム)とともに“怪物1年生”として注目を浴びると、以降は秀岳館という高い壁に阻まれて聖地に戻ることができなかったものの、ドラフト会議では1位の再入札で3球団が競合した末、ヤクルトに入団した。
1年目からファームで98試合に出場して打率.288(365-105)、17本塁打で70打点という活躍を見せると、ルーキーイヤーから一軍デビュー。そのデビュー戦となった9月16日の広島戦でプロ初打席・初本塁打を記録してみせる。
すると、2年目の昨季は開幕スタメンを勝ち取ると、そのままレギュラーに定着。4番も任され、夏にはオールスターにも出場。終わってみれば全143試合に出場を果たし、打率は.231(511-118)も36本塁打・96打点という大暴れで、新人王にも選出された。
今年の2月でようやくハタチを迎えた若き大砲。今季はウラディミール・バレンティンという大砲がチームを去ったこともあり、開幕から年間を通して主軸としての活躍が期待される。マークも厳しくなることが予想されるなか、それを乗り越えてどんな成績を残すのか、大きな注目が集まる。
春のキャンプでは故障もあって少し調整が遅れたものの、オープン戦の終盤から一軍に復帰。実戦では打率.083と本領を発揮することができなかったが、開幕が遅れていることを味方につけて、じっくりと調整して初戦を迎えたいところだ。
村上につづけ!
チーム内で同期が大ブレイク…。これを受けての飛躍に期待がかかるのが、投手の金久保優斗だ。
東海大市原望洋高から、2017年のドラフト5位で入団した右腕。ルーキーイヤーは5月に肘の手術を行ったため、ファームでも1試合の登板に終わったものの、昨季は7月に実戦復帰を果たして13試合に登板。0勝1敗、防御率8.27という成績だったが、再スタートを切ることができた。
ここまで一軍登板はなかったが、この春は3月3日のソフトバンク戦でオープン戦登板を果たし、四球をひとつ出すも1イニングを無失点で締め、セーブも記録している。
長らく“投手力”に課題を抱えるチームにおいて、今季から就任した高津臣吾新監督も「投手陣の再建」というところを最重要課題として掲げている。それだけに、待たれるのは若い力の台頭。高卒3年目の右腕にかかる期待も大きい。
昨年に続いて、「2017年高卒組」からチームの救世主が出てくるのか。村上はもちろん、金久保優斗にも注目だ。
ヤクルトの“高卒3年目”選手
<投手>
金久保優斗(5位/東海大市原望洋高)
<内野手>
村上宗隆(1位/九州学院高)