3月20日に開幕予定だったプロ野球は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕が無期延期となった。本来であれば、プロ野球が開幕し、多くのファンが球場で熱戦を楽しんでいたことだろう。私たちも取材自粛となるなか、これまでの取材を振り返りつつ、マリーンズの試合前の打撃練習に注目したいと思う。
マリーンズのホームの試合前の打撃練習では、2箇所で左、右の打撃投手が投げるボールを打ち、試合に向けて、選手たちはいろいろなことを確認し準備している。
昨季打率リーグ3位の打率.315をマークした荻野貴司は、ライト方向からセンター、レフトと広角に打ち分けている。ただ、ライト方向への打球が多い印象だ。右方向へ打っていることが多い理由について荻野は「引っぱりにいきがちなので、練習でしっかりバットの内から出してというのを意識しています」(18年6月24日取材)と教えてくれた。また、昨季は試合中バットを短く持って打っていたが、「気分転換に体を使って大きく打つためです」と、シーズン終盤の試合前打撃練習の左投手のときのみバットを長く持って打つこともあった。
正捕手の田村龍弘は、「左ピッチャーはクロスに入ってくるので、引っ張っていたら体が全部前に出てしまう。入ってくる球に対して内からしっかり反対方向に打つというイメージを持ちながらやっていますね」(19年10月23日取材)と、左投手のときにセンターから反対方向を中心に打つことが多い。
昨年でいえば岡大海は右投手のときに白と黒のバット、左投手のときに茶色のバットと、バットを使い分けて打っていた。昨季シーズン終了後に、そのことについて聞くと「練習で白と黒、茶色のバットを握ることが多いんですけど、練習でしかほとんど使っていなくて、振っている感じがいいのでそれでやっています。根拠はないですけど、僕のなかの感じが良いので、使い分けをしてやっています」とのことだった。まだ本人に直接確認はできていないが、今年のオープン戦、ZOZOマリンスタジアムでの一軍練習を見ると、右投手左投手両方とも茶色のバットを使って打撃練習していることが多かった。
昨季内野の全ポジションで出場したユーティリティプレーヤーの三木亮は、最初にバントを行った後、バスターを行う。バスターのときは「普通のバスターだったら打たないですけど、バスターエンドランだと想定してやっていた」と、外のボール球に体を投げ出しバットに当てるなど、練習のための練習ではなく、試合を想定した試合のための準備をしている。
バスターが終わった後は「ヘッドが先にかえってしまうと、凡打になりやすいというか、ゴロになりやすい。かといってフライを打ちにいっているわけではない。ヘッドを残しながら、やろうとしたら自然と右方向になったと思います」と右方向への打球が多い。レフト方向へ思いっきり引っ張ることは、打撃練習の終盤くらいだ。ここ数年のホームの試合前打撃練習を見ると、ほとんどこの形で打っている。
安田尚憲、香月一也といった左の長距離砲は、「最初は引っ張らないというか強引にならないように振って、コースを打ち、そこから強く振ることを考えている」(安田)、「ゲームになると体が開くのが早くなってしまうので、練習で逆方向を意識してやっています」(香月)と、昨季まで打撃練習のはじめは反対方向から打ち、最後に強い打球を打っていた。
試合前の打撃練習ではないが、春季キャンプの打撃練習で、4番の井上晴哉は右方向への打球が多かった。本人に直接確認すると、「今の時期にやっておかないといけないことのひとつだと思うので」とのことだった。
試合に向けて、選手たちはその日、活躍するために常に最高の準備をしている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プロ野球の開幕は無期延期となっているが、開幕が訪れることを静かに待ちたい。
文=岩下雄太
マリーンズのホームの試合前の打撃練習では、2箇所で左、右の打撃投手が投げるボールを打ち、試合に向けて、選手たちはいろいろなことを確認し準備している。
昨季打率リーグ3位の打率.315をマークした荻野貴司は、ライト方向からセンター、レフトと広角に打ち分けている。ただ、ライト方向への打球が多い印象だ。右方向へ打っていることが多い理由について荻野は「引っぱりにいきがちなので、練習でしっかりバットの内から出してというのを意識しています」(18年6月24日取材)と教えてくれた。また、昨季は試合中バットを短く持って打っていたが、「気分転換に体を使って大きく打つためです」と、シーズン終盤の試合前打撃練習の左投手のときのみバットを長く持って打つこともあった。
正捕手の田村龍弘は、「左ピッチャーはクロスに入ってくるので、引っ張っていたら体が全部前に出てしまう。入ってくる球に対して内からしっかり反対方向に打つというイメージを持ちながらやっていますね」(19年10月23日取材)と、左投手のときにセンターから反対方向を中心に打つことが多い。
昨年でいえば岡大海は右投手のときに白と黒のバット、左投手のときに茶色のバットと、バットを使い分けて打っていた。昨季シーズン終了後に、そのことについて聞くと「練習で白と黒、茶色のバットを握ることが多いんですけど、練習でしかほとんど使っていなくて、振っている感じがいいのでそれでやっています。根拠はないですけど、僕のなかの感じが良いので、使い分けをしてやっています」とのことだった。まだ本人に直接確認はできていないが、今年のオープン戦、ZOZOマリンスタジアムでの一軍練習を見ると、右投手左投手両方とも茶色のバットを使って打撃練習していることが多かった。
昨季内野の全ポジションで出場したユーティリティプレーヤーの三木亮は、最初にバントを行った後、バスターを行う。バスターのときは「普通のバスターだったら打たないですけど、バスターエンドランだと想定してやっていた」と、外のボール球に体を投げ出しバットに当てるなど、練習のための練習ではなく、試合を想定した試合のための準備をしている。
バスターが終わった後は「ヘッドが先にかえってしまうと、凡打になりやすいというか、ゴロになりやすい。かといってフライを打ちにいっているわけではない。ヘッドを残しながら、やろうとしたら自然と右方向になったと思います」と右方向への打球が多い。レフト方向へ思いっきり引っ張ることは、打撃練習の終盤くらいだ。ここ数年のホームの試合前打撃練習を見ると、ほとんどこの形で打っている。
安田尚憲、香月一也といった左の長距離砲は、「最初は引っ張らないというか強引にならないように振って、コースを打ち、そこから強く振ることを考えている」(安田)、「ゲームになると体が開くのが早くなってしまうので、練習で逆方向を意識してやっています」(香月)と、昨季まで打撃練習のはじめは反対方向から打ち、最後に強い打球を打っていた。
試合前の打撃練習ではないが、春季キャンプの打撃練習で、4番の井上晴哉は右方向への打球が多かった。本人に直接確認すると、「今の時期にやっておかないといけないことのひとつだと思うので」とのことだった。
試合に向けて、選手たちはその日、活躍するために常に最高の準備をしている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プロ野球の開幕は無期延期となっているが、開幕が訪れることを静かに待ちたい。
文=岩下雄太