先々を見据えて
取材規制中のDeNAは11日、オンラインミーティングアプリ「ZOOM」を使用し、今永昇太投手への取材を実施した。
政府が緊急事態宣言を発令したことを受け、自主練習以外は自宅待機となるなか、「体幹トレーニングやストレッチなど、家でも出来ることはある。負荷をかけるには限度があるけど、身体の内側を見直す時間ができた」と、現状を前向きに捉える。
また、横浜スタジアムでの練習も時間が限られているが、「家でできることは家で、球場では広い面積を使ったランニングなど」と、しっかりプランニングして調整しているとのこと。開幕が見えない状況下を鑑みて、現在は「ブルペンには入らず、遠投やキャッチボール、ショートピッチング」などを行う程度にとどめ、「投げる以外のトレーニング」に重点を置いている。
さらに「シーズンが長引けば、オフが短くなる可能性もある。今年1年の事だけを考えるわけにはいかないので、長い目で見てフィジカルを丁寧に見直すことが今は大事。ランニングの足の回転数だったり、重いものを持ったり、バランスの見直しの優先順位を上げてます」と、すでにシーズン以降のことも見据えつつメニューをこなしている。
英語や料理にも挑戦!
不要不急の外出自粛を要請され、自宅で過ごす時間が増える中、今永は主に3つのことに時間を費やしているという。
ひとつは「ニュースを見る」こと。「いままではスポーツばかりでしたが、野球だけやっていればいいわけではない。日本はどういう状況で、どんなことをしようとしているのかなど、もっと社会のことを考え、人間力を磨いて学んでいかないといけない」と、社会的な見聞を広めることの重要性を実感しているようだ。
ふたつ目は「NETFLIXのブラックリストを英語で見ること」。当然、「英語で分かりにくい事もあるけど、いまはピープルズ、オースティン、パットンなどと同じ練習組なので、彼らとコミュニケーションをとるための練習と思ってやってます」と、バイリンガルへの道をも目指す。
そして3つ目が「料理」だ。「昨日はカオマンガイ(※タイの鶏肉料理)を作りました。この前、体組成を計ったら筋肉量が落ちていた。体脂肪率も落としたいのでこの機会にやってみようと。全て国吉さんに質問して、鶏むね肉やささみを食べてます」と、自炊しての肉体改造にも着手している。料理の出来にも満足しているようで、「ハマスタで出品したほうがいい。冠商品になりますよ。サイン付きで1万1000円!」と自信満々に語った。
ファンへの想い
横浜スタジアムで練習しているなか、「1年前はここで投げていたんだなとか、本当だったら大声援の中で試合に勝って、お立ち台に上がって球場を一周していたのかと考えたりもする。早くファンの方のワ~っていう歓声が聞きたいなと、絶対に一日に一度は頭に浮かび上がる。早く自分の想像していることが、現実の世界になることを願っています」と、ファンへの想いを今永らしい言葉で口にした。
昨年は絶対的エースとしてベイスターズを引っ張った左腕。苦しいこの時期をもポジティブに捉え、来るべく開幕へ黙々と準備を進めている。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)