自主練習は1日おきでピッチング
新型コロナウイルス感染拡大の影響で自主練習が続く中、13日、横浜DeNAのドラフト2位ルーキー坂本裕哉投手(立命大)がWEB会議アプリ『Zoom』で報道陣の取材に応じた。
現在の自主練習について「一日おきでピッチングしている」という坂本。この日は体幹トレーニング、ランニングメニュー、ウエイトトレーニングを行なったそうで、「いつもと違うことというか、強化期間ということになったのでキャンプと同じようなイメージで強度の高いトレーニングをしっかりやって、体力的にも強化していくというのをテーマにやっている」と話した。
「オープン戦でもけっこういい感覚で投げられていたので、スムーズに開幕にいければベストだったとは思う」と坂本はいう。その開幕は延期となったが、「もう一回強化できるというか、いろいろ準備できることが増えると思うので。この時間の使い方で、シーズンにすごく響いてくると思う。プラスに捉えて、今はできることが増えたので。トレーニングができる期間と捉えていい準備をしようと思っている」とポジティブな姿勢を見せた。
2月の春季キャンプから1軍で過ごし、坂本は、「今まで1軍でずっとすごい人たちの中でやらせてもらって、勉強になる部分もとても多かった」という。現在は自主練習期間となり、青星寮やファーム施設『DOCK OF BAYSTARS』で過ごす時間が増えているが、「やっぱり周りの環境は関係なく、自分のやることは変わらないと思う。今、しっかりと体力強化に重点を置いて取り組んでいる。
その中でもファームの若いピッチャーと話す機会が今回増えた。ウエイトトレーニングだったり、若い選手たちは意識高くやっている。自分も参考にしながら、この期間、よりウエイトトレーニングをやろう」と考えている。
オープン戦では登板予定の試合が雨天中止となったこともあったが、3月に2試合に登板し、計7イングで3失点。防御率は3.86だった。「もともと大学の時は狙ったところに投げてバッターを抑えるというコントロールが自分の中では一番自信があったけど、プロの世界では、変な力みが出ているのかわからないけど甘くなって…。それでも押し込めてアウトにできるということが増えた。
プロに入ってからのトレーニングで球威が上がったのはいいことだと思うが、もっと細かいコントロールだったりというのが最終的には致命傷になることが多いので、狙ったところに確実に投げる細かいコントロールをもう一回自信にしていけるように、普段の投げ込みやキャッチボールから意識しないといけないなと思う」と実戦の中で気づいた課題も口にした。
その実戦感覚を失わないために工夫も考えている坂本。「普段から野球の動画を見るのが好きなので、YouTubeで奪三振集を観たりしていている。ブルペンでのピッチング練習もバッターが立っている想定で組み立てから意識して投げたり、今後もイニングを想定したピッチング練習をやっていきたい。いろいろ記事で見たが、他のチームのピッチャーがやっていて、僕も大学の時にやっていた。1イニングを想定してバッターが立った時の配球を意識したピッチングをやっていきたいと思っている」と話した。
外出自粛のなかで
チームには立命大の2期上にあたる東克樹投手がいる。「1軍にいた時よりも話すことは多い。一緒にいる時間が長いのは嬉しい。一緒にご飯を食べたり、一緒に遊んでもらったりしている」という坂本。自主練習以外に時間ができたことで「本を読んだり、ゲームをしたり、昼寝をしたり、トレーニング場へ行ってストレッチや少し体を動かしたり」という日々だ。
「今は『ノルウェイの森』(村上春樹 著)を読んでいる。まだ序盤で。ちょっと話が難しい。あとは野球系の本。和田毅(福岡ソフトバンク)さんの『和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか』(佐野真 著)をこの前読んだ」と明かす。福岡出身で左腕の坂本は「もともとソフトバンクが好きで、その時に大好きだった選手なので。いろいろと参考にしてきたところがあるピッチャー。科学的にピッチングフォームを考えて大学時代から取り組んでいた、というのを見て、ここまで意識高く研究して、ああいうフォームや投げ方、ボールが手に入るんだな、と勉強になった」という。
外出自粛が続く中とあって、幼少期に外で遊べなかった時のことを訊かれた坂本は、「子供部屋で3歳下の弟と二人で一緒に紙で作ったボールを手で打つ野球をして遊んでいた。野球盤やWiiの“パワプロくん(『実況パワフルプロ野球』)”もやっていたし、野球ばっかり」と答えた。
坂本は、キャンプ中からこの大人気野球ゲームをよく話題にしていた。現在も青星寮で「上茶谷さんの部屋で一緒にゲームをさせてもらっている時が一番楽しい。ずっと“パワプロくん”をしてる」という。自身の実力に関しては「(上茶谷には)全然。負けます(苦笑)」とのことだ。
「野球が大好きでここまで来た。野球が好きで居続けられるのも、小さい時からのことも大きいなと思う」という坂本。同期は新社会人としてスタートを切っているが、「みんな研修期間と言っているが、自宅研修ばかりと聞いていて。周りの友達も出社もないらしので…。でもみんな働くようになっているんだな、と。自分も頑張らないとな、と思っている」と意気込む。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は未だ収まる気配がない。「何か一言?いいかげんにしろ、ですね。早く野球をやらせてくれ、と言いたい」ルーキーは痛切な思いを口にした。
(取材・ニッポン放送アナウンサー洗川雄司)