12球団「最後の○○」
「新型コロナウイルス」の問題で未だ開幕の見通しが立っていないプロ野球。前に進むことができない今こそ「過去の記録にフォーカスを当てて振り返ってみよう」ということで、各球団“最後のタイトルホルダー”を振り返っていきたいと思う。
タイトルホルダーを多数輩出するチームもあれば、部門によっては長らく遠ざかっているチームも…。今回取り上げるのは「最優秀防御率」。まずはセ・リーグ6球団から見てみたい。
“待望のタイトル”
巨 菅野智之 (2018年/2.14)
De 三浦大輔 (2005年/2.85)
神 井川 慶 (2003年/2.80)
広 ジョンソン(2015年/1.85)
中 大野雄大 (2019年/2.58)
ヤ 石川雅規 (2008年/2.68)
昨年は中日の大野雄大がセ・リーグトップで、自身初となる個人タイトルを獲得。ここ10年は広島の前田健太(現ツインズ)が3度(10、12、13年)、その後を継ぐように菅野智之が4度(14、16~18年)トップに立ち、タイトルレースを牽引していたが、前年未勝利に終わっていた竜の左腕が見事な復活を見せ、中日では2011年の吉見一起(1.65)以来、8年ぶりの同タイトル獲得となった。
チーム別で最もこのタイトルから遠ざかっているのは阪神。リーグ優勝した2003年に、井川慶が勝利数(20勝)、勝率(.800)、防御率の投手三冠を達成して以来「最優秀防御率」とは縁がない。それでも2010年代に入ると能見篤史、岩田稔、岩貞祐太ら左腕が上位にランクインしている。
2013年には能見、スタンリッジ、メッセンジャーの3本柱が防御率2点台、160回超えで大車輪の奮闘を見せた。昨年も西勇輝、青柳晃洋といった右腕が規定投球回を上回る好成績で上位にランクインしており、久々の同タイトル獲得に期待したいところ。
DeNAもここ3シーズンは今永昇太、東克樹が上位に食い込み、防御率タイトルを射程圏内に捉えている。ちなみに、最後にトップの座を手中に収めた三浦大輔は“横浜ベイスターズ”時代に同タイトルを獲得した唯一の投手だ。
2リーグ制以降の球団史を振り返ると、三浦も含めて過去6度トップに立った男たちがいるが、いずれも大洋、横浜大洋ホエールズ時代の先人たち。「横浜DeNAベイスターズ」となり今年で8シーズン目。左腕王国となりつつあるベイスターズから、待望のタイトルホルダーが生まれる日もそう遠くないかもしれない。
ちなみに2リーグ制以降のチーム別「最優秀防御率」獲得回数をみると、巨人が21回でダントツ。次点は12回の中日と広島で、阪神(11回)、ヤクルト(8回)、DeNA(6回※うち松竹1回)と続いている。
パは各球団から“エース”が続々登場…
▼ パ・最後の『最優秀防御率』
西 菊池雄星(2017年/1.97)
ソ 斉藤和巳(2006年/1.75)
楽 岸 孝之(2018年/2.72)
ロ 石川 歩(2016年/2.16)
日 大谷翔平(2015年/2.24)
オ 山本由伸(2019年/1.95)
パ・リーグは意外(?)にも、ソフトバンクが最も「最優秀防御率」から遠ざかっている。チームはここ10年で9度のAクラス、6度の日本一とまさに黄金期を迎えているが、次々と好投手が出てくるパ・リーグとあって、球団としては2006年の斉藤和巳を最後に同タイトルからは遠ざかっている。
斉藤以降の防御率トップを振り返ると、成瀬善久(07年/当時ロッテ)、岩隈久志(08年/当時楽天)、ダルビッシュ有(09~10年/当時日本ハム)、田中将大(11、13年/当時楽天)と日本代表のエース級が各球団から続々登場。昨年はオリックスの高卒3年目右腕・山本由伸が球団史上最年少で同タイトルを獲得し、日本球界の新エース候補に名乗りを挙げた。
ソフトバンクも2006年以降に杉内俊哉、和田毅ら代表経験ある左腕が上位に食い込んだものの、群雄割拠のパ・リーグ先発投手のトップには届かなかった。2012年にはリーグ最多17勝を挙げた攝津正が『沢村賞』を受賞したが、このシーズンは日本ハム・吉川光夫が防御率1.71で最優秀防御率のタイトル獲得。近年では千賀滉大がエース級の働きを見せるも、同タイトルには手が届いていない。
2リーグ制以降のチーム別「最優秀防御率」獲得回数をみると、近鉄の6回を含む計16回のオリックスが最多。稲尾和久、東尾修、工藤公康、松坂大輔といったエースを擁した西武が15回、以下ロッテ(14回)、ソフトバンク(12回)、日本ハム(10回)、楽天(4回)と続いている。