あなたの“イチオシ”教えてください!
「新型コロナウイルス」の問題により、シーズン開幕が見合わせとなっているプロ野球。17日には5月中の公式戦開催を断念することが決まり、それに伴い交流戦も中止に。ひとまず「6月中の開幕」を目指して検討を重ねていくことが発表された。
ベースボールキングでは、この開幕延期の期間を利用して全野球ファンに向けたアンケートを実施中。「プロ野球・2020年シーズン あなたの“イチオシ”教えてください!」と題し、開幕が実現した暁にはこの選手のこんな活躍が見たい、今年の我が軍はココを見て、こんなことが起こると良いな……といった2020年の注目ポイントを募集している。
そこで、ユーザーの方からお送りいただいた声を基に、その事象にフォーカスを当てた新企画をスタート。第2回は先日披露した「ドラえもん」の絵が上手すぎることでも話題になったロッテ・荻野貴司選手(34)を取り上げていく。
プロ10年目で初の規定到達
1985年10月21日生まれ、右投右打の外野手。郡山高から関学大、社会人・トヨタ自動車を経て、2009年のドラフト1位でロッテに入団し、今年で11年目を迎える。
荻野の特徴と言えば、なんと言ってもそのスピード。純粋なかけっこではなく、ギアチェンジの速さがずば抜けていて、短い塁間をいかに効率よく駆けていくかが問われる野球というスポーツに適した脚力を持っている。
特に伝説となっているのがルーキーイヤーの2010年。その年は右ひざの負傷で46試合の出場に留まったものの、そのなかで実に25の盗塁を記録。失敗はわずかに3つだけと、短い期間ではあったが鮮烈なインパクトを残した。
ルーキーイヤーからすべてのシーズンで2ケタ盗塁をマークしていて、直近3年はいずれも20盗塁超え。昨年は通算200盗塁も記録している。
しかし、そんな身体能力の高さも諸刃の剣。圧倒的なパフォーマンスの代償に身体が悲鳴をあげることも少なくなく、プロ1年目は右ひざ半月板を損傷。さらに翌年は2度も右ひざの手術を行っていて、プロ2年間で3度もひざにメスを入れた。
2012年はひざの状態を見ながらの調整だったこともあり出遅れたものの、復帰後は故障による離脱なくシーズンを終え、キャリア最多の61試合に出場。翌2013年は腰痛で開幕こそ出遅れるも、5月の復帰後は離脱なく走り抜いて102試合に出場。プロ入り後初となる3ケタ出場も果たす。
ところが、2014年に再びアクシデントが。6月の交流戦、本塁クロスプレーの際に左肩を負傷。これが骨折で今季絶望と診断され、一軍出場は40試合と減少。以降の2シーズンは大ケガこそなかったが、肉離れなどの細かな故障で離脱を強いられ、思うように出場数を伸ばすことができない。
それでも、2017年は不調での二軍降格はあれど、自身初となる故障離脱なしでシーズンを終え、4年ぶりの3ケタ出場(103試合)を記録。
2018年は自身初となるオールスターメンバーに選出されながら、直前の試合で右手指を骨折してそのままシーズン終了。悔しさを味わったが、昨季は高卒新人の藤原恭大に開幕スタメンを譲りながらもすぐにポジションを取り戻し、そのままレギュラーに定着。幻に終わっていたオールスター出場も果たし、終わってみれば自己最多の125試合に出場。リーグ3位の打率.315をマークする活躍で、ベストナインとゴールデングラブのW受賞も果たしている。
キャリアを追っていくとよく分かるが、荻野はここまでハイパフォーマンスを2年続けたことがない。過去に2度、100試合以上に出場した翌年は、必ず故障で出場数を減らしているのだ。
それだけに、過去最高の成績を残した2019年を経て、迎えるこの2020年にどんな姿を見せてくれるのか。本人はもちろんのこと、ファンもこの輝きが続くことを信じて待っている。
この春は二軍でマイペースに調整を行い、オープン戦の出場もなかったが、ファームの練習試合でじっくりと感覚を養いつつ、3月下旬には一軍に合流した。
開幕延期で調整も難しくなっているが、「今できることは限られていますけど、できることを継続的にコツコツやっていくだけ」と前向きなコメントも。いつか来る開幕の日に向けて、今は力を貯めているところ。ロッテの背番号0が、今季も年間通して躍動する姿が見たい。
荻野貴司・プロフィール
ポジション:外野手投打:右投右打
身長/体重:172センチ/75キロ
生年月日:1985年10月21日
経歴:郡山高-関西学院大-トヨタ自動車-ロッテ(09年・D1)
[昨季成績] 125試 率.315(508-160) 本10 点46 盗28
[通算成績] 731試 率.279(2560-715) 本31 点204 盗201