あなたの“イチオシ”教えてください!
「新型コロナウイルス」の問題により、シーズン開幕が見合わせとなっているプロ野球。17日には5月中の公式戦開催を断念することが決まり、それに伴い交流戦も中止に。ひとまず「6月中の開幕」を目指して検討を重ねていくことが発表された。
ベースボールキングでは、この開幕延期の期間を利用して全野球ファンに向けたアンケートを実施中。「プロ野球・2020年シーズン あなたの“イチオシ”教えてください!」と題し、開幕が実現した暁にはこの選手のこんな活躍が見たい、今年の我が軍はココを見て、こんなことが起こると良いな……といった2020年の注目ポイントを募集している。
ユーザーの方からお送りいただいた声を基に、今回はヤクルトのルーキー・奥川恭伸選手(19)について取り上げていきたい。
昨秋のドラフト会議ではセ・リーグの3球団が一巡目で指名競合した注目株。「絶対に1年目から通用すると思う!」、「同じ石川県民なので期待しています」といった声や、残念ながら交流戦の中止により今年は実現することがなくなったものの、「甲子園で見られなかった佐々木朗希くん(ロッテ)との投げ合いが見たい!」という声も寄せられた。
出だしでつまずいたものの…
2001年4月16日生まれ、右投右打の投手。上でも少し触れたが、昨秋のドラフト会議では巨人・阪神・ヤクルトの3球団から1位で指名を受けた逸材である。
中学時代に全国制覇の経験を持ち、名門・星稜高でも1年の春からベンチ入り。2年春のセンバツから4季連続で甲子園出場を果たすと、昨夏の甲子園では惜しくも決勝で敗れたものの、準優勝の原動力に。なかでも、3回戦の智弁和歌山戦で見せた延長14回を一人で投げ抜いて23奪三振の快投は、野球ファンに大きな衝撃を与えた。
その後に行われたU-18・W杯でも日本のエースとして活躍を見せ、大会のベストナインにあたる「ALL WORLD TEAM」にも選出。高卒とは思えぬハイレベルな投球と落ち着きぶりから、「1年目から通用する」との声も挙がる世代屈指の好投手だ。
しかし、プロ1年目の出だしは順風満帆とはいかなかった。
キャンプ前の自主トレ期間に右肘の炎症が発覚。幸いにも軽いものだったが、しばらくの間ノースロー調整を強いられ、キャンプの一軍メンバー入りを逃してしまう。
それでも、キャンプインから約1週間後にはキャッチボールも行えるようになり、今では徐々に強度を上げてブルペンでの投球練習ができるまでに。新型コロナウイルスの影響から大人数での練習ができず、打者を相手に投球することはできていないものの、20日には高津臣吾監督も見守るなか、試合を想定しながら100球以上の投げ込みを行っている。
シーズン開幕の延期に加え、依然としていつ開幕するか見えてこないという前代未聞の状況のなか、徐々に遅れを取り戻しているツバメのゴールデンルーキー。本人は「もっと思い切り野球がしたい」という想いもあるかもしれないが、むしろこの期間はプラスに働く可能性もある。
高卒ながら「即戦力かも」という声もあったなか、万全な状態でキャンプを迎え、一軍メンバーの中に混じっていたら……?無意識のうちに、どこかで無理をしてしまっていたかもしれない。
それが故障の影響でしばらく投げることができなくなり、その後のキャンプも慎重な調整に終始。さらに開幕も延期となり、4月下旬に差し掛かった今でもじっくりとした調整が続いている。
本来であれば焦りも出てくる状況かもしれないが、星稜のエース、日本のエースとしてフル回転で働いた2019年のことがあっただけに、図らずともプロ1年目がゆったりとしたスタートとなったことは、今後の長いプロ野球人生を考えれば間違いなくプラスだろう。
つい先日には、実戦のマウンドよりも先に「球団公式YouTubeデビュー」も果たし、マスコットのつば九郎と競演。持ち前の笑顔で、早くもファンの心を掴んでいる。
次は“本業”であるピッチングでファンのハートをガッチリ……。燕のドラ1ルーキーは1年目から目が離せない。
奥川恭伸・プロフィール
ポジション:投手投打:右投右打
身長/体重:184センチ/82キロ
生年月日:2001年4月16日
経歴:星稜高-ヤクルト(19年・D1)