12球団「最後の○○」
「新型コロナウイルス」の問題で未だ開幕の見通しが立っていないプロ野球。前に進むことができない今こそ、過去の記録にフォーカスを当てて振り返ってみよう、ということで、各球団“最後のタイトルホルダー”を振り返るこの企画。
タイトルホルダーを多数輩出するチームもあれば、部門によっては長らく遠ざかっているチームも…。今回取り上げるのは『最多セーブ投手』および『最優秀救援投手』。
NPBでは1974年から『最多セーブ投手』という形で救援投手を表彰するタイトルが設置されたが、当時は救援投手が複数イニングを投げるケースも多く、1976年(パは1977年)から2004年までの期間は「セーブポイント(セーブ数+勝利数)」という数字を用いて『最優秀救援投手』なる名称で表彰。2005年から再びセーブ数のみの『最多セーブ』というタイトルで救援投手を表彰している。
今回は“最後のタイトルホルダー”というテーマなので、評価基準が異なる『最多セーブ投手』と『最優秀救援投手』をそれぞれリストアップ。その中から最後のタイトルホルダーを振り返る。
2004年を最後に廃止されている『最優秀救援投手』が“最後の男”としてラインナップ入りすることはあるのか…。まずはパ・リーグ6球団から見てみよう。
リーグ2連覇も…王者の守護神事情
▼ パ・リーグの歴代「セーブ王」
西 ブライアン・シコースキー(2010年/30セーブ)
ソ 森 唯斗(2018年/37セーブ
楽 松井裕樹(2019年/38セーブ)
ロ 益田直也(2013年/33セーブ)
日 武田 久(2012年/32セーブ)
オ 平野佳寿(2014年/40セーブ)
「セーブ」という記録がチームの勝利数と大きく関わることから、いずれも所属チームがAクラス入りしたシーズンのクローザーたちの名前が並んだ。
パ・リーグにおけるセーブタイトルは、2015年から2018年までデニス・サファテと森唯斗のソフトバンク勢が4連覇。昨シーズンは楽天・松井裕樹が5連覇を阻む格好で、球団史上初のセーブタイトルを獲得していた。
各球団の“最後の男”を見てみると、最もブランクが長いのがリーグ2連覇中の西武。2010年のブライアン・シコースキーまで遡ることになる。
西武の「日本人投手」ということになると、2003年の豊田清(40SP)が最後のタイトルホルダー。当時は『最多セーブ投手』ではなく、セーブポイントを用いた『最優秀救援投手』というタイトルだった。
“シコースキー以降”のクローザーの変遷をたどれば、2011年のルーキー・牧田和久から涌井秀章、クローザーを固定できなかった2013年にはサファテ、大石達也ら複数の投手が9回のマウンドを託された。2014年から2シーズンに渡ってクローザーを任された高橋朋己、そして現守護神の増田達至と、いずれもセーブタイトルには届かぬまま2020年を迎えている。
現在クローザーを務める増田は、2018年こそ精彩を欠いたが、2019年は見事に返り咲き防御率1.81、30セーブの好成績をマーク。昨年9月に通算100セーブを達成し、豊田清の持つ通算135セーブという球団記録にも、あと「32」まで迫ってきた。豊田以来の“日本人セーブ王”が先か、通算セーブ記録超えが先か…。増田の右腕に期待が高まっていることは間違いないだろう。
なお、チーム別のタイトル獲得回数では14回のソフトバンクが最多。以下日本ハム(8回)、ロッテ(6回)、西武(5回)、オリックス(5回※近鉄9回)、楽天(1回)と続いている。
ちなみに、近鉄は赤堀元之が『最優秀救援投手』に5度輝いており、これはパ・リーグの個人最多記録である。
縁無く気づけば28年…
▼ セ・リーグの歴代「セーブ王」
巨 澤村拓一(2016年/37セーブ)
De 山﨑康晃(2019年/30セーブ)
神 ラファエル・ドリス(2017年/37セーブ)
広 大野 豊(1991年/32セーブポイント)
中 岩瀬仁紀(2012年/33セーブ)
ヤ トニー・バーネット(2015年/41セーブ)
2010年代に活躍した投手が並ぶなか、一際目立つ「大野豊(1991年)」…。広島は12球団で最もブランクが長く、28シーズンもタイトルから遠ざかっている。
広島のクローザーといえば、球団最多記録の通算165セーブを挙げた永川勝浩が代表格。2007年からは3年連続30セーブ以上をマークしたが、当時のセ・リーグは岩瀬仁紀(中日)、藤川球児(阪神)、マーク・クルーン(巨人)らの全盛期。惜しくもセーブタイトルにはあと一歩届かず、無冠のまま2018年に現役を引退した。
25年ぶりにリーグ優勝を果たした2016年には、中崎翔太がキャリアハイの34セーブを挙げたが、このシーズンのセーブタイトルは巨人・澤村拓一のもとへ。以降も『最多セーブ投手』には届かず、気づけば28年が経過してしまっていたのだ。
昨季は中崎が成績不振で二軍降格を命じられるなど、“勝ちパターン”を確立できずに4シーズンぶりのBクラス転落。今季は新助っ人のタイラー・スコット、DJ.ジョンソンをブルペンに迎え巻き返しを図っているが、果たして…。
ちなみに、助っ人がラインナップ入りしている阪神は2011年の藤川球児(41セーブ)、ヤクルトは2004年の五十嵐亮太(42セーブポイント)が、それぞれ日本人投手“最後のタイトルホルダー”となっている。
チーム別タイトル獲得回数では、1974年の初代セーブ王・星野仙一を輩出した中日が14回でダントツ。以下、“大魔神”の系譜を紡ぐDeNA(9回)、阪神(8回)、ヤクルト(7回)、巨人(6回)、広島(4回)と続いている。