ニュース 2020.04.30. 14:14

フライボール革命の流れは日本にも…NPBの年間総本塁打&三振数は増加傾向

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2月、阪神との練習試合でフルスイングする中日の根尾昂

ゴロを転がせば何とかなる…はもう古い?


 昨季までの10年間で、巨人・丸佳浩(2回)、西武・中村剛也(2回)、西武・メヒア(2回)、西武・山川穂高(1回)、今季からソフトバンクへ移籍したバレンティン(1回)…。カッコ内の数字は本塁打王の回数ではなく“三振王”の回数である。

 メジャーリーグでは昨季、全30球団でシーズン史上最多となる6776本塁打が飛び出した一方、12シーズン連続増加となる4万2823三振が記録された。日本でも話題になった「フライボール革命」。ゴロ打ちを避け、打球に角度をつけ飛ばす打撃理論は、分かりやすく本塁打と三振の増加を生んだ。その傾向はプロ野球界も同じ。球場縮小の流れも手伝い、全143試合制になった最近5年は概ね、両リーグとも合計本塁打数、同三振数が、年々増加傾向にある。

【パ・リーグ:年度別の合計本塁打と三振数】

2015年:647本塁打、5882三振
2016年:628本塁打、5929三振
2017年:782本塁打、6319三振
2018年:856本塁打、6168三振
2019年:851本塁打、6381三振

【セ・リーグ:年度別の合計本塁打と三振数】

2015年:571本塁打、6013三振
2016年:713本塁打、6130三振
2017年:718本塁打、6335三振
2018年:825本塁打、6302三振
2019年:837本塁打、6656三振

体格関係なく強振する選手が増加中、指導者は自主性尊重


 山川や柳田悠岐(ソフトバンク)らだけでななく、吉田正尚(オリックス)や森友哉(西武)など、小柄な選手でもフルスイングが当たり前の時代。2年目の藤原恭大(ロッテ)や今年ルーキーイヤーを迎える井上広大(阪神)など、高卒1年目から力強いスイングを見せる選手も増えてきた。

 そこには首脳陣の理解もある。昨季、村上宗隆(ヤクルト)の新人王獲得を後押しした小川淳司前監督は、「三振を気にして彼の持ち味が消えてしまっては意味がない。三振を恐れるな」と成長をフォロー。村上は最終的にセ・リーグ歴代ワースト記録となる184三振を喫したもの、打率.231、36本塁打、96打点、OPS(出塁率+長打率).813の成績を残した。

 中日の与田剛監督もフルスイングを容認。今キャンプの実戦で使い続けた2年目・根尾昂について、「しっかり振る打席が増えて、根尾らしさが出てきた。ピッチャーとしては振られる怖さがある」と、投手目線で強振の重要性を説いた。

 各々が映像等で手軽に研究でき、首脳陣も選手の自主性を重んじる時代。練習ではフリー打撃やロングティーなど、しっかりと打球角度を意識しながら振り込む選手が増えている。

 チーム別で見ても、近年はリーグ最多三振を喫しながらも優勝したチームは多い。大谷翔平(現エンゼルス)、ブランドン・レアード(現ロッテ)らがいた2016年の日本ハム、3連覇を達成した2017年と2018年の広島、2018年の西武もそう。同時に、これらのチームはシーズン総本塁打数もリーグ上位だ。

 フライボール革命や強打者の2番起用など、メジャーのトレンドが次々と流入中のプロ野球界。近い将来、2004年に巨人がマークしたプロ野球記録のシーズン259本塁打を更新するチームが出てきそうだ。
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