「開幕延期」の影響はココにも…?
新型コロナウイルスの問題により、シーズン開幕の見合わせが続いているプロ野球。当初は5月6日までとされていた政府の「緊急事態宣言」も延長が決まり、ついには“7月開幕”や、“オールスター戦の開催”まで危ぶまれる声も浮上してきている。
「7月」といえば、プロ野球界ではシーズンの前後半を分ける折り返し地点となっていて、7月末には「支配下登録期限」が待っている。いわゆる、トレードや新外国人選手獲得の“デッドライン”だ。この日を過ぎれば、チームは新たに選手を登録することができなくなる。
シーズン開幕が遅れた分、この“デッドライン”も延期する、または今季に関しては撤廃する、といった新たなアイディアが出てくる可能性もあるが、それがなかった場合にあおりを受けるのが各球団の育成選手たち。一軍の舞台を目指してファームで奮闘する背番号3ケタの選手たちを、支配下選手として登録できるのも「7月31日」までなのだ。
なかでも、昨秋からこの春にかけて注目を集めていたのが日本ハムの育成選手たち。実はチームでこれまでに育成契約から支配下登録を勝ち取った選手は一人もいない。一体だれが「第1号」になるのか…。ファンの間でも大きな注目を集めていた。
“返り咲き”目指す大砲候補
昨年10月に戦力外通告を受け、育成選手として再契約を結んだのが髙濱祐仁。背番号162の内野手である。
横浜高から2014年のドラフト7位で入団したプロ6年目の23歳。185センチ・90キロのがっちりした体格が特徴的な右の大砲候補で、ルーキーイヤーの2015年に一軍デビューを果たすと、2017年にはプロ初安打もマーク。若手が育つチームのなかで、将来の中軸候補として着実に歩みを進めていた。
ところが、2018年は一軍での出番なしに終わると、昨季はケガもあって2年連続の一軍出場ゼロ。ファームでの出場数も減らしてしまい、秋には非情な宣告を受ける。
それでも、育成契約という形で崖っぷちで踏みとどまると、秋から冬にかけて自身を徹底的に見つめなおした。結果を求めて臨んだ春のキャンプでは、紅白戦で“チーム1号”の一発。改修工事を経て生まれ変わった「タピックスタジアム名護」での記念すべき第1号ということもあり、大きな注目を集めた。
3ケタの番号ながらオープン戦でも2試合に出場。2打席いずれも四球に終わったが、アピールしたいという気持ちを制してきっちりと出塁。心はホットに、頭はクールに、首脳陣へインパクトを残している。
あとはどれだけファームでアピールをすることができるか…。「新規支配下登録期限」に関する制度的な部分が見えない以上、シーズン開幕から1日1日が勝負になる。2ケタの番号へ返り咲くことができるのか、
独立リーグからやってきたルーキー
投手で良いアピールを見せていたのが、ルーキーの長谷川凌汰だ。
BCリーグ・新潟から昨秋の育成ドラフト3位で指名を受けた24歳の右腕。独立リーグで11勝1敗、防御率2.05という成績を残しており、育成枠ではあるものの1年目からの活躍に期待がかかる。
オープン戦ではリリーフとして5試合に登板し、全試合で無失点ピッチングを披露。奪三振は2つも被安打2と安定した投球を見せた。
ただし、本来の開幕カードとして行われた3月22日の練習試合・西武戦では先発して2回6失点。「完全に力負けです」と、リーグチャンピオンチームの強力打線を前に屈した。それでも、「もっと練習して、こういう打線を抑えられるように頑張ります」と、すぐに前を向く。
昨季のチームはショートスターター制を採用するなど、投手陣の運用に苦心。それだけに、長谷川のような新戦力にかかる期待は自然と大きくなる。“支配下昇格1号”から投手陣の救世主となるか、24歳の育成ルーキーからも目が離せない。
日本ハムの育成選手
<投手>
113 長谷川凌汰(1年目/24歳)
148 高山優希(4年目/21歳)
<内野手>
112 樋口龍之介(1年目/25歳)
162 髙濱祐仁(6年目/23歳)
<外野手>
111 宮田輝星(1年目/22歳)
144 海老原一佳(2年目/24歳)