1回でも難しいタイトル
「新型コロナウイルス」の影響により、シーズンの開幕を見合わせているプロ野球界。政府からの「緊急事態宣言」が5月31日まで延長となったなか、一体いつになれば開幕を迎えることができるのか、できたとしてどのくらいの規模になるのか、日程の短縮はあるのかなど、すべてが不透明な状況で選手たちは難しい調整を強いられている。
そのなかで、今回スポットを当てたいのが「昨年のタイトルホルダー」たち。そこから「前年に続いてタイトルを獲得した選手」に絞ってみると、メジャーリーグに挑戦する秋山翔吾(西武/最多安打)以外はみな2年連続の勲章。今季は「3年連続」を目指すシーズンとなる。
1回でも獲得するのが難しいタイトルを、継続して手中に収め続けるというのはまさに偉業。特に今年は難しい状況が続いているなか、3年連続でそのベルトを守ることができるのか…。防衛に挑む選手たちに迫ってみたい。
今回はパ・リーグ編。
宮西尚生(日本ハム)
☆最優秀中継ぎ投手賞
(=2年連続3度目)
日本プロ野球の歴史のなかで、比較的歴史の浅いタイトルがこの『最優秀中継ぎ投手』。1996年からはじまり、セ・リーグは「リリーフポイント(RP)」という貢献度をもとに、パ・リーグではホールド数の多かった投手を「最多ホールド投手」として表彰した。
その後、2002年からセ・パともに『最優秀中継ぎ投手』という名前に統一され、2005年からはセ・パともにホールド数と救援での勝利数を足した「ホールドポイント(HP)」の数を選考基準に統一。HPが最も多い投手が表彰されるようになった。
宮西は2016年にはじめてこのタイトルを掴み、1年空けて2018~2019と2年連続でタイトル獲得。初回時は39ホールド+3勝の42HP、返り咲きの2018年は37ホールド+4勝の41HP。そして昨季は43ホールド+1勝、キャリアハイの44HPでの受賞となっている。
プロ1年目から毎年欠かさず50試合以上に登板し続けている鉄腕。通算ホールド数:337はプロ野球史上No.1の記録で、300ホールドを記録しているのは宮西ただひとり。前人未踏の350ホールドというところも視界に捉えている。
本来であれば、アクシデントさえなければ2020シーズン中の到達が濃厚とみられていたが、今のところどうなるかはなんとも言えない状況。シーズンが始まった際には、まずこの大きな記録に注目しつつ、その先にある「3年連続のタイトル獲得」がどうなるかを見ていきたい。
▼ 宮西尚生・プロフィール
ポジション:投手
投打:左投左打
身長/体重:180センチ/81キロ
生年月日:1985年6月2日
経歴:市立尼崎高-関西学院大-日本ハム(07年・D3)
[昨季成績] 55試(47.1回) 1勝2敗43ホールド 防1.71
[通算成績] 684試(569.2回) 33勝31敗337ホールド・3セーブ 防2.34
山川穂高(西武)
☆最多本塁打者賞
(=2年連続2度目)
読んで字のごとく、最も多くの本塁打を放った打者に贈られるタイトル。パ・リーグでこれを2年続けているのが、西武の主砲・山川穂高である。
2017年に78試合で23本塁打を荒稼ぎするブレイクを果たすと、翌2018年はレギュラーに定着して143試合で47本塁打。2位の柳田悠岐(ソフトバンク)に11本の差をつける独走キングに輝く。
迎えた昨季も春先から飛ばし、50発超えにも期待がかかったなか、夏場に差し掛かるにつれて徐々に調子が下降。ついには4番の座を外されるまでに苦しんだが、序盤に稼いだ貯金もあって2年連続のタイトル獲得。
スランプに陥ったこともあり、シーズン後の本人からは悔しい言葉が並んだが、そのなかでも43本塁打を記録し、ここ2年で90本塁打を放っているというのはさすがである。
ちなみに、パ・リーグで3年連続のキングとなれば、1990年~1992年のオレステス・デストラーデ(西武)以来で28年ぶりのこと。チームの先輩・中村剛也は計6度の本塁打王に輝いているが、「2年連続×3」の計6回となっていて、3年連続はなかった。
尊敬する先輩を超え、球団のレジェンド助っ人に肩を並べる「3年連続ホームラン王」なるか──。山賊打線の主砲から、今年も目が離せない。
▼ 山川穂高・プロフィール
ポジション:内野手
投打:右投右打
身長/体重:176センチ/103キロ
生年月日:1991年11月23日
経歴:中部商高-富士大-西武(13年・D2)
[昨季成績] 143試 率.256(524-134) 本43 点120
[通算成績] 428試 率.269(1477-398) 本129 点341