注目の2018年ドラフト組
平沢大河、佐々木千隼、安田尚憲、藤原恭大、佐々木朗希。近年、その年の注目選手を1位で獲得し続けているロッテ。その他、二木康太、岩下大輝、種市篤暉といった高卒組の投手も順調に成長しており、将来が楽しみだ。
そのなかでも、2018年ドラフト組は将来マリーンズの中心で活躍を予感させる選手が多い。プロ1年目の昨季を振り返ると、夏場以降に先発ローテーションに入った小島和哉、ロングリリーフを中心に投げた中村稔弥の2人が、8月以降に一軍定着した。
藤原恭大と松田進は一軍でプロ初安打を放ち、東妻勇輔も一時期はセットアッパーを任され、山口航輝はファームで6本塁打、古谷拓郎もファームで6勝、土居豪人は10月のフェニックス・リーグで自己最速となる153キロをマーク、育成の鎌田光津希も夏場以降はファームで勝ち試合に登板した。
ずば抜けた成績を残した選手はいなかったが、しっかりと成長を遂げている。
大卒組はブレイクの予感
2018年ドラフト組のなかでも、最も早く一軍定着しそうな雰囲気があるのは、大卒組の投手陣。
先発ローテ入りを目指す小島は、練習試合、オープン戦、一、二軍あわせて7試合に登板し、26回1/3を投げて、自責点はわずかに2。防御率は0.68。3月3日のDeNAとの春季教育リーグから一、二軍の実戦14イニング無失点中だ。
春季キャンプ中には「昨年はいろいろ経験をさせてもらったので、それをしっかりと活かして、1年間投げることを目標にしているので頑張りたい」と意気込んでいる。
1月の自主トレで今永昇太(DeNA)と行い技術面だけでなく、食事の重要性などを学んだ中村稔弥も、昨季からストレートがパワーアップし、球団公式インスタグラムで井口資仁監督、正捕手の田村龍弘が絶賛。練習試合、オープン戦でも7試合に登板し、13イニングを投げて、防御率0.69。先発、リリーフを含めて、左投手が少なく、小島とともに一軍定着に期待がかかる。
東妻も2年目の今季に向けて森唯斗(ソフトバンク)と自主トレを行い「全体的に良い経験ができた。全てを良い経験として取り入れていきたいと思っています」と充実の時を過ごした。練習試合、オープン戦は一軍で過ごし、まずは開幕一軍入りを狙う。昨季被打率.385だった右打者の対策もしており、今季に向けて課題をもってしっかりと準備している印象だ。
社会人出身の松田進も「結果を求めながらやっていた。正直日本の一軍レベルの投手に比べると下がりましたけど、その中で1球で仕留められる。長打という部分も残せたので、自信になりました」と、『2019アジア・ウインターリーグ・ベースボール(AWB)』で確かな手応えを掴んだ。
守備では本職の遊撃だけでなく、二塁、三塁、ウインターリーグでは一塁にも挑戦。打撃でアピールできれば、複数のポジションを守れることもあり、一軍入りも近づいてくる。
高卒組は将来的に主力選手の予感
高卒組は数年後、バリバリ一軍で活躍するため、今季は将来に向けてファームで力をつけていくことになりそうだ。
藤原、山口の外野手組は、ソフトバンクからFAで福田秀平を獲得し、荻野貴司、マーティン、角中勝也、清田育宏、岡大海、さらには菅野剛士、加藤翔平などが控えており、ファームで実戦経験を積んでいくのが現実的。
外野の選手層が厚くなってきており、中途半端に一軍で起用することなく、力がついたときに一軍で勝負という形がとれそうだ。そうはいっても、勝負の世界。一軍レベルにあれば、藤原、山口ともに今季中に一軍定着という可能性も十分に秘めている。それだけ期待値の高い2人ということだ。
古谷は今季一軍の初実戦となった楽天モンキーズとの国際交流試合で先発し、3月20日に行われたソフトバンクとの練習試合でも一軍のマウンドを踏んだ。昨季は中10日で先発していたが、中6日で投げローテーションを回り、ファームで圧倒的な成績を残したい。土居も高校3年から体重が約20キロ近くアップし、球速も最速を更新するなど、着実に力をつけている。この2人も、今季中の一軍デビューに期待がもてる。
まずは大卒・社会人組が一軍で結果を残し、その後に高卒組が続いていく。2年目の今季だけでなく、長い目で見ていくと、冒頭に述べたように、将来は“2018年ドラフト組”がマリーンズの中心を担っている可能性が高い。“結果”のみが求められるプロの世界で、18年のドラフト組が全員活躍するというのは至難の技。数年後、マリーンズの中心選手として何人が一軍で活躍しているのかーー。18年ドラフト組以外にも、マリーンズには若手に魅力の選手はたくさんいる。マリーンズの将来がとても明るいことは間違いない。
▼2018年ドラフト
1位 藤原恭大
2位 東妻勇輔
3位 小島和哉
4位 山口航輝
5位 中村稔弥
6位 古谷拓郎
7位 松田 進
8位 土居豪人
▼育成
1位 鎌田光津希
文=岩下雄太