2018年にファームで三冠王を獲得
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が、5月31日まで延長された。球団ごとによって対応は様々だが、広島は「1勤1休」ペースで個人練習を続ける方針だという。
そんななか、今シーズンから新打法に挑戦しているメヒアも打撃練習を行い、快音を響かせている。カープアカデミー出身のメヒアは2016年から広島に所属しており、今年が5年目のシーズン。2018年にはファームで三冠(首位打者、最多本塁打、最多打点)を達成している。昨年も同じくファームで二冠(最多本塁打、最多打点)に輝いており、一軍でも56試合に出場して7本塁打を記録した。
これまではバティスタの存在もあり一軍に定着できなかったが、今年は長距離砲の外国人野手が不在。ピレラの存在はあるものの、メヒアにとっては絶好のチャンスと言えそうだ。
しかし、そんなメヒアが立ち向かうべき!?「ちょっと嫌なジンクス」がある。それは、過去にファームで三冠王を獲得した選手たちは、ほとんど一軍で結果を残すことができていないというものだ。
一軍で規定打席に到達したのは庄司のみ
これまでにファームで三冠王を獲得したのは、メヒアを含めて5人(6度)いる。初めてファームで三冠王に輝いたのは、1977年の庄司智久(巨人)。この年の庄司は46盗塁で盗塁王も獲得しており、三拍子揃った選手として猛烈にアピールしていた。
しかし、庄司のポジションである外野は、柴田勲、高田繁、末次利光と、俗に言う「V9」を支えたメンバーが揃っており、一軍ではレギュラーの座を勝ち取ることができなかった。
そのため、1980年にロッテへとトレードで移籍することになる。移籍後にようやく出番を得ると、規定打席には2度到達。2球団で828試合に出場し、通算打率.250(2124打数532安打)、44本塁打という成績を残した。
その後、1997年のボニチ(オリックス)、2000年・2001年のポール(西武)と外国人選手が相次いで三冠王を獲得している。しかし、両選手とも外国人枠の争いを勝ち抜くことができず、少ない一軍でのチャンスをものにできなかった。ボニチに至っては、一軍で安打すら放つことができていない。
2007年には、迎祐一郎(サーパス)が三冠王を獲得。翌2008年には一軍で開幕スタメンに名を連ねるも結果を残せず、35試合の出場で打率.132(68-9)と苦しんだ。その後、広島にトレードで移籍し、2014年まで現役を続けたものの、一軍では主だった実績を残すことはできなかった。
過去の歴史を振り返ってみても、ファームで三冠王を獲得し、尚且つ一軍で規定打席に到達したのは庄司ひとりしかいない。三冠王を獲得したからといって、一軍でも活躍できるとは限らないのが難しいところ。
メヒアはそんなジンクスを吹き飛ばす活躍を見せられるのだろうか――。奇しくも広島の打撃コーチは、メヒアの前に三冠王に輝いた迎が務めている。その迎打撃コーチの下で輝きを放つことができるのか、注目だ。
【ファーム三冠王の成績】
※ファームで三冠王獲得時の成績
<イースタン・リーグ>
▼ 庄司智久(巨人)
[二軍77年]62試 打率.344(256-88) 本10 打点54
[一軍通算]828試 打率.250(2124-532) 本44 打点197
▼ ポール(西武)
[二軍00年]64試 打率.353(224-79) 本21 打点69
[二軍01年]92試 打率.352(344-121) 本27 打点95
[一軍通算]106試合 打率.251(307-77) 本16 打点47
<ウエスタン・リーグ>
▼ ボニチ(オリックス)
[二軍97年]61試合 打率.338(213-72) 本15 打点58
[一軍通算]12試 打率.000(18-0) 本0 打点0
※1997年のボニチは規定打席未到達だが野球規則により不足打席分を打数として換算しても最高打率となるため首位打者
▼ 迎祐一郎(サーパス)
[二軍07年]71試 打率.342(275-94) 本14 打点61
[一軍通算]299試 打率.196(511-100) 本10 打点40
▼ メヒア(広島)
[二軍18年]76試 打率.337(270-91)本20 打点59
[一軍通算]87試 打率.258(217-56) 本10 打点25
※数字は2019年終了時点