フォーカス・レコードホルダー ~ホールド(通算)~
「新型コロナウイルス」の問題で未だ開幕の見通しが立っていないプロ野球。前に進むことができない今こそ、過去の偉大な記録にフォーカスを当てて振り返ってみよう……ということで始まったのがこの企画。
その名の通り、過去の記録にスポットを当て、“歴代No.1”の記録を持っている選手を中心に振り返ろう、というのがテーマ。今回取り上げるのは「通算ホールド数」。早速だが、NPBの歴代トップ10を見てみよう。
▼ 歴代最高記録・ホールド(通算)
2位 273個 山口鉄也 [2007~2017]
3位 200個 浅尾拓也 [2007~2018]
4位 174個 スコット・マシソン [2012~2019]
5位 163個 五十嵐亮太 [1999~]
6位 162個 藤川球児 [2000~]
7位 159個 青山浩二 [2006~]
8位 152個 増井浩俊 [2010~]
9位 141個 ジェフ・ウィリアムス [2003~2009]
9位 141個 高橋聡文 [2004~2019]
唯一の「300」超え
リリーフ投手の活躍を計る指標として、今では野球ファンの間にも浸透した「ホールド」という記録。1986年にアメリカで誕生したとされ、日本ではパ・リーグが1996年から採用。その後、2005年に新たな規定を定めてセ・パ両リーグで採用されるようになった。
ちなみに、ホールドが付く条件について今一度整理しておくと、
① 「先発投手」「勝利投手」「敗戦投手」のいずれにも当てはまらず、また「セーブ」も記録されていない
② 自軍の最終守備イニングの3アウト目を取った投手ではない(=交代完了投手ではない)
③ アウトを1個以上記録している
④ 自身の失点(降板した後に味方が走者を還されたものも含む)でチームが同点に追いつかれたり、逆転されたりしていない
この4つを満たしたうえで、「3点以内のリードで1イニング以上を投げてリードを守る」「迎える2打者に連続本塁打を打たれたら同点、または逆転となる場面で登板してリードを守る」「点差に関わらずリードした状況から3イニング以上を投げる」「同点の場面で登板し、同点のまま失点せずにマウンドを降りる」「登板中に自軍が勝ち越し、そのリードを保って降板する」のどれかを達成すればホールドが記録される。
すべて登板時の状況によるもので、仕事を果たした後に味方が逆転負けを喫した場合でも、その投手のホールドは消えることがない。また、勝利や敗戦、セーブとは違い、1試合のなかで複数人の達成者がいる場合は全員にホールドが記録される。
投手分業制が進んだ現代野球における記録とあって、トップ10を見ても記憶に新しい投手ばかり。そのなかで頂点に君臨しているのが、日本ハムの左腕・宮西尚生である。
市立尼崎高から関西学院大を経て、2007年のドラフト3位で日本ハムに入団。プロ1年目から昨季まで毎年欠かさず50試合以上に登板を果たしている鉄腕で、2016年に初めて最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得。1年空けて2018年から昨季と2年連続でタイトルを掴み、今季は3年連続の戴冠に期待がかかる。
2018年のオフにはFA権の行使に注目が集まったが、「(2023年開業予定の)新しい球場で投げたい」「ファイターズが好き。それが一番。覚悟を決めて最後までファイターズに貢献したい」とチーム愛を貫き、権利を行使せずに残留を表明。そのオフに手術を受けた影響も心配されたが、迎えた2019年も愛するチームへの恩返しを胸に腕を振り続け、4月には史上唯一の通算300ホールドを達成。自身が持つホールドの日本記録を伸ばし続けている。
リリーフ陣の柱であり、誰からも頼られる精神的支柱。未だ開幕が見えていない2020年も、きっと男はここぞの大事な場面でマウンドに登場し、チームのために左腕を振り続けることだろう。
▼ 宮西尚生・年度別ホールド数
2008年:50試 8ホールド
2009年:58試 13ホールド
2010年:61試 23ホールド
2011年:61試 14ホールド
2012年:66試 39ホールド
2013年:57試 30ホールド
2014年:62試 41ホールド
2015年:50試 25ホールド
2016年:58試 39ホールド
2017年:51試 25ホールド
2018年:55試 37ホールド
2019年:55試 43ホールド
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[通算] 684試(569.2回) 337ホールド