フォーカス・レコードホルダー ~セーブ(シーズン)~
「新型コロナウイルス」の問題で未だ開幕の見通しが立っていないプロ野球。前に進むことができない今こそ、過去の偉大な記録にフォーカスを当てて振り返ってみよう……ということで始まったのがこの企画。
その名の通り、過去の記録にスポットを当て、“歴代No.1”の記録を持っている選手を中心に振り返ろう、というのがテーマ。今回取り上げるのは「シーズンセーブ数」。早速だが、NPBの歴代トップ10を見てみよう。
▼ 歴代最高記録・セーブ(シーズン)
2位 46セーブ 岩瀬仁紀 [中日/2005]
2位 46セーブ 藤川球児 [阪神/2007]
4位 45セーブ 佐々木主浩 [横浜/1998]
5位 43セーブ 岩瀬仁紀 [中日/2007]
5位 43セーブ デニス・サファテ [ソフトバンク/2016]
7位 42セーブ 岩瀬仁紀 [中日/2010]
7位 42セーブ 西村健太朗 [巨人/2013]
9位 41セーブ マーク・クルーン [巨人/2008]
9位 41セーブ 岩瀬仁紀 [中日/2009]
9位 41セーブ 藤川球児 [阪神/2011]
9位 41セーブ 呉 昇桓 [阪神/2015]
9位 41セーブ デニス・サファテ [ソフトバンク/2015]
9位 41セーブ トニー・バーネット [ヤクルト/2015]
名球会入り目前!
通算セーブNo.1の岩瀬仁紀や、火の玉ストレートで打者をねじ伏せた藤川球児、魔球・フォークを武器に海の向こうのメジャーリーグでもストッパーとして活躍した佐々木主浩らをおさえ、シーズンセーブ数の頂点に立っているのがデニス・サファテ。この記録はつい最近、3年前の2017年に打ち立てられたものだ。
2011年に広島と契約を結んで来日した右腕は、2013年は西武に移り、2014年からはソフトバンクへ。各地を転々としながらクローザーやセットアッパーを任されてきたが、3球団目のソフトバンクでは抑えに専念。2014年から2017年までの4シーズンで通算175セーブ、年平均にすると「43.75」という驚異的なペースでセーブを重ねていった。
2017年は開幕直後の4月にNPB通算178個目のセーブを挙げ、マーク・クルーンが持っていた外国人記録を更新して見せると、7月には外国人投手として史上初の通算200セーブも達成。その後も順調に数字を積み上げていき、9月10日のロッテ戦で前人未踏のシーズン50セーブ目をマーク。最終的にその数を54まで伸ばしてシーズンを終えた。
活躍はレギュラーシーズンだけに留まらず、クライマックスシリーズのファイナルステージでも3試合に登板して2セーブ、被安打ゼロの5奪三振という安定感抜群の投球を披露。さらに日本シリーズでも、第2戦と第3戦でセーブを挙げ、第6戦ではリードを許していた9回から登板すると、直後に味方が追いついて試合は延長戦へ。10回・11回と魂のイニング跨ぎでサヨナラ勝ちを呼び込み、チームを日本一へと導いている。
この大車輪の活躍が認められ、文句なしで日本シリーズMVPを受賞。リリーフ投手では1982年の東尾修以来で35年ぶり、また外国籍の投手としては球団のレジェンド助っ人であるジョー・スタンカ以来、実に53年ぶりという快挙であった。
それだけでなく、オフにはレギュラーシーズンにおけるパシフィック・リーグの最優秀選手に輝き、シーズン&日本シリーズの“MVPダブル受賞”を達成。さらにさらに、「その年の日本プロ野球の発展に大きく貢献した人物」に贈られる『正力松太郎賞』に外国出身選手として初めて選出されるなど、偉大な“三冠”を達成した伝説の年となった。
しかし、そんなフル回転の代償は大きく、2018年に股関節の故障で離脱。シーズン中にアメリカに帰国して手術を受けると、2019年も一軍登板なし。本来の力強い真っすぐが影を潜め、苦しい戦いが続いた。
それでも、迎えた2020年はオープン戦で3試合に登板。防御率0.00でセーブも1つ記録するなど、徐々に復活への兆しを見せている。
積み上げたセーブ数は「234」。あと16個で名球会入りの規定である通算250セーブの大台に到達する。
新型コロナウイルスの影響から2020シーズンがどんな形になるかは未だ不透明だが、サファテの復活と大記録達成には大きな期待がかかっている。
▼ デニス・サファテ(2017)
66試(66.0回) 2勝2敗 防御率1.09
54セーブ 3ホールド 5ホールドポイント
打者238 被安打40 被本塁打3
四球10 死球1 奪三振102
暴投0 ボーク0 失点9 自責点8