12球団「最後の○○」
「新型コロナウイルス」の問題で未だ開幕の見通しが立っていないプロ野球。前に進むことができない今こそ、過去の記録にフォーカスを当てて振り返ってみよう!ということで、各球団“最後のタイトルホルダー”を振り返るこの企画。
タイトルホルダーを多数輩出するチームもあれば、部門によっては長らく遠ざかっているチームも…。今回取り上げるのは『最優秀中継ぎ投手』。
NPBでは1996年より、抑え投手に繋ぐ救援投手に対するタイトルとして導入されたが、当初はパ・リーグが「ホールド数」、セ・リーグが「リリーフポイント(登板状況や投球結果に応じて算出)」といった異なる指標を用いて表彰していた。
しかし、2005年に「セ・パ交流戦」が導入されるタイミングで評価指標を「ホールドポイント(ホールド+勝利数)」に統一。いまでは『最優秀中継ぎ投手賞』として、すっかり定着している。
2004年を最後に廃止されている旧制タイトルホルダーがラインナップ入りすることはあるのか…。まずはセ・リーグ6球団から見てみよう。
まさかのタイトルホルダーゼロ…
▼ セ・リーグの歴代『最優秀中継ぎ』
巨 スコット・マシソン(2016年/49HP)
De 加藤武治(2006年/35HP)
神 桑原謙太朗(2017年/43HP)
広 なし
中 ジョエリー・ロドリゲス(2019年/44HP)
ヤ 近藤一樹(2018年/42HP)
昨季、中日のジョエリー・ロドリゲスがタイトルを獲得したセ・リーグでは、広島が「タイトルホルダーなし」という結果に。近年ではフランスア、ジャクソンなど、優秀なセットアッパーが在籍している印象もあるが、『最優秀中継ぎ』設置から24年間、一度もタイトルに手が届いていない。
先行基準が統一された2005年以降では、長身右腕のマイク・シュルツが2009年に40ホールドポイントを挙げたが、巨人の山口鉄也に4ポイント及ばず2位フィニッシュ。球団最多の通算135ホールドポイントを誇る今村猛は、2012年のリーグ3位が最高位だった。
その他5球団のなかで最長ブランクはDeNA。横浜時代の2006年を最後にタイトルから遠ざかっているが、ここ3シーズンは三上朋也、スペンサー・パットン、エドウィン・エスコバーといったリリーバーたちがタイトルレースの上位にランクインしており、14年ぶりのタイトルホルダー誕生に期待したいところだ。
なお、旧制度時代も含めて、球団別のタイトル獲得回数では、中日と阪神が8度で並んでトップタイ。スコット・マシソンと山口鉄也の活躍が記憶に新しい巨人が6度で続き、以下DeNA(3回)、ヤクルト(2回)、広島(0回)となっている。
令和の“勝利の方程式”を…
▼ パ・リーグの歴代『最優秀中継ぎ』
西 増田達至(2015年/42HP)
ソ 岩嵜 翔(2017年/46HP)
楽 なし
ロ 川崎雄介(2008年/31HP)
日 宮西尚生(2019年/44HP)
オ 佐藤達也(2014年/48HP)
セ・リーグ同様、こちらも「該当者なし」の球団がひとつ。2005年に誕生した楽天は、いまだ中継ぎタイトルと縁がない。
他球団に比べて球団史が短いとは言え、これまでタイトルレースの上位に食い込んだ投手は多数いた。通算200ホールドポイントの大台まで、あと「6」に迫っている大ベテラン・青山浩二は、2015年にキャリアハイの35ホールドポイントでリーグ2位にランクイン。
昨季はチーム成績で12球団トップの178ホールドポイントを記録しており、森原康平、アラン・ブセニッツ、宋家豪、フランク・ハーマンと、リーグ屈指のブルペンから4投手がTOP10入りを果たしていた。
J.T.シャギワ、牧田和久、酒居知史らブルペンに新戦力を迎え、優勝候補の一角にも挙げられている今季の楽天。球団誕生から16年目にして『最優秀中継ぎ』第一号が誕生する可能性も十分に考えられる。
その他5球団の中で最もブランクが長いのはロッテ。2005年にYFK(薮田安彦・藤田宗一・小林雅英)と称された“勝利の方程式”を看板に日本一まで駆け上がったが、その年のタイトルはオリックス・菊地原毅のモノに。藤田がタイトルを獲ったのは旧制度が用いられていた2000年、薮田がタイトルを獲ったのは2007年のことだった。
近年は大谷智久、益田直也、松永昂大らがセットアッパーの役割を担ってきたが、いずれの投手も30歳を超え、そろそろ新世代の台頭に期待したいところ。YFKの記憶を上回る“勝利の方程式”を確立できれば、悲願のリーグ優勝も見えてくるはずだ。
なお、旧制度時代も含めて、球団別のタイトル獲得回数では、日本ハムとソフトバンクが7回で並んでトップタイ。西武とオリックス(※近鉄0回)が4回で続き、以下ロッテ(3回)、楽天(0回)となっている。