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「高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集」にチャレンジ!(初級編:問題3)

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オンラインミーティングの題材にしよう!
昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。内容は高校野球向けですが、小学生、中学生たちにも学べる内容がたくさんあります。今回は初級編の中から守備側の選手に関する出題です!




初級編|問題3


問題


投手が投げる前に、守備側の選手が1球1球絶対に怠ってはいけないことは何でしょう?

【場面・状況】
場面、状況、点差などは特になし

 

解答・解説


ボールカウント、アウトカウント、どの塁に走者がいるか、自分のところに打球が来た場合はどこに送球するかなどを確認することです。
これに加え、ポジショニングは適切か、風の向きや強さが変わっていないか、太陽の位置、ポジション周辺のグラウンド状況なども確認します。面倒かもしれませんが、全球これを徹底することが必要になります。

 

実際にあったプレー


★アウトカウントの誤認

2018年夏の甲子園・花巻東対下関国際戦。10回表、2対3と勝ち越しを許した花巻東は、なおも1死一、二塁の場面で4番の鶴田克樹をピッチャーゴロに打ち取ります。1−4−3のダブルプレーと思われましたが、セカンドの藤森晃希がチェンジと思って一塁へ投げませんでした。後から気づいて送球したものの、間に合いません。
次打者の吉村英也にヒットを打たれ、ダメ押しの1点を与えてしまいました。
「気が抜けてました。確認を徹底してなかった。自分のせいです」(藤森)

2017年夏の甲子園・横浜対秀岳館戦。9回表、4対6とリードされた横浜の守りでした。1死一塁でセカンドゴロ。4−6−3のダブルプレーと思われましたが、ファーストの市村拓巳はスリーアウトと思ってベンチに帰りかけてしまいます。あわてて戻って送球を受けましたが、ベースを踏めませんでした。
「早く打ちたくてベンチに帰っていまいました。ボーンヘッドです」(市村)

2015年夏の甲子園・健大高崎対秋田商戦。7回裏、3対1とリードする秋田商の守りでした。1死一塁からセカンドゴロ。4−6と転送されましたが、ショートの草彅輝也はスリーアウトと思って一塁に送球しませんでした。

2015年センバツ・立命館宇治対静岡戦。1対7で迎えた9回表、立命館宇治の守りでした。1死1塁でショートゴロ。6ー4と転送されましたが、セカンドの中原優歩がスリーアウトと思って一塁に投げず、ダブルプレーを取れませんでした。
「抜けてました。気づいたら1アウトだった」(中原)

2014年夏の甲子園・鹿屋中央対市和歌山戦。1対1で迎えた12回裏、市和歌山の守りでした。1死一、三塁からの二塁ゴロをセカンドの山根翔希は一塁に送球。三塁走者がサヨナラのホームを踏みました。
「頭が真っ白になった。パニックになって、知らない間にファーストに投げてしまった。試合を台なしにしてしまった」(山根)

このように、甲子園でも毎年アウトカウントの確認ミスがあります。
野球必敗法第一は3B+E(四死球、バント失敗・バント処理ミス、ボーンヘッド、エラー)。これが出ると、敗戦に大きく近づきます。それをなくすために、わかっていても確認、再認識を徹底する。当たり前のことだからこそ、全球やれるかどうか。これが、一生後悔するようなボーンヘッドを防ぐことにつながります。

 

★塁上の走者の誤認
2018年秋の北信越大会準決勝・上田西対啓新戦。上田西が3点をリードして迎えた7回裏、2点を返され、なおも1死一、三塁のピンチを迎えました。3番打者の初球に一塁走者は盗塁。1死二、三塁と状況が変わりましたが、投手の石坂将吾はこれに気づきません。一、三塁のつもりで無人の一塁にけん制球を投げ、ボールはファウルグラウンドを転々。この間に2人の走者が生還して逆転を許します。結果的にこれが決勝点になりました。北信越大会決勝に進めば、ほぼセンバツ出場は確定。実質的に甲子園出場がかかった試合です。その大事な一戦を上田西はJK(準備と確認)を怠ったボーンヘッドによって落とすことになりました。

2012年夏の新潟大会・日本文理対巻戦。5回裏、1点を先制した巻はなおも2死二、三塁の好機にショートゴロ。チャンスはついえたと思われましたが、この打球を処理したショートの白石貴誉は一塁に走者がいると勘違いし、セカンドへトスしようと二塁ベース方向に走りました。走者がいないことに気づいて、あわてて一塁に送球しましたが、これが逸れて二塁走者まで生還を許しました。
大井道夫監督も「信じられない。たまげた」と嘆いたプレーで流れを失い、この回一挙4失点。公立校相手に1対4でまさかの敗戦を喫しました。

 

★その他、ボールカウント、ルールなどの誤認
2012年秋の四国大会決勝・鳴門対高知戦。5対5で迎えた6回表、鳴門は2死満塁のチャンスを迎えました。打者・日下大輝のカウントは3ー2。内角ストレートに詰まった打球はサードゴロになります。ところが、サードの和田恋の一塁送球はワンバウンド。ファーストが大きく弾いて失策が記録されました。
2死満塁でフルカウント。全走者は投球と同時に自動スタートしなければいけません。ですが、二塁走者の伊勢隼人はスタートしておらず三塁ストップ。ファーストが弾いたボールを投手が拾いに行くまで時間もありましたから、コーチャーの指示も含めて自動スタートが確認できていれば確実に2点取れていました。結果的に後続が倒れた鳴門は6対8で逆転負け。明治神宮大会出場を逃しました。

2011年夏の大阪大会準決勝・東大阪大柏原対東海大仰星戦。0対5とリードされた東海大仰星は、6回裏1死一、二塁の場面で打者がワンバウンドの球を空振りして三振。1死で一塁走者がおり、振り逃げのないケースですが、打者走者は一塁に走り出しました。すると、2人の走者もつられて走り出します。結局、三塁に送球されてタッチアウト。併殺で反撃ムードはしぼんでしまいました。

念のため、振り逃げがあるケースを確認しておきます。公認野球規則5.05にはこう書かれています。
『次の場合、打者は走者となる。
(2)(A)走者が一塁にいないとき、(B)走者が一塁にいても2アウトのとき、捕手が第3ストライクと宣告された投球を捕らえなかった場合』
最後にもう一つ、実例を挙げます。

2010年秋の関東大会決勝・東海大相模対浦和学院戦。2回裏、浦和学院は1死満塁のチャンスを迎えます。ここで9番・荒井大樹の打球は平凡なピッチャーゴロ。ホームゲッツーと思われましたが、投手の近藤正崇は一塁へ送球。やらなくてもいい1点を与えてしまいました。
この守備に門馬敬治監督は「誰も考えられないプレー」と憮然。試合も4対5とサヨナラで敗れ、JK不足の1点が大きくのしかかりました。

 

『高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集』(田尻賢誉/竹書房)


昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。


著者


田尻賢誉(たじり・まさたか)
1975年兵庫県生。学習院大学卒。ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球をはじめ、徹底した野球の現場取材に定評があるほか、指導者、中高生、父兄への講演活動も行っている。『機動破壊』、『機動破壊の秘策』、『機動破壊の解析力』、『高校野球は親が9割』、『超強豪校』、『激戦区を勝ち抜く方法』(すべて小社)など著書多数。
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