見え始めた開幕に向けて
DeNAの選手会長・石田健大投手が15日、自主練習前にWeb会議サービス「ZOOM」を使用した取材に応じ、現在の状態や心境などを語った。
先日の12球団代表者会議において「(条件が整えば)来月の半ばから下旬の開幕を目指す」とされたことを受け、「開幕の日にちがおおよそですけど発表された中で、今まで以上に気持ち的にも引き締まったというのはある」とコメントした。
とはいえ、「どうなるのかという不安を持ちながらの練習ではある」。先行きが不透明な状況は続くが、「僕たちはいつ開幕してもいい準備をするだけ。ベストな状態を維持できるように調整をしています」と、やるべきことはかわらない。
一応の開幕が見えたことで「試合で投げる体力、ボールの質を求めていかないといけない」と述べ、今までは「キャッチボールや立ち投げ、少ない球数のブルペンだったけど、先発で投げ切るということを考えると、必然的に球数も増えてくる。そういう部分を今まで以上にやらないと」と、実戦へ向けたトレーニングにシフトして行く方針だ。
先発?中継ぎ? 自らの役割は…
長く続いている自主練習については「走り込みをずっとやってきたので下半身強化と、ウエイトの時間が多くとれた。一回り大きい身体を意識してトレーニングしてきたので、筋量も上がっていてランニングしていても身体の使い方だったり、少しずつ変わってきていると感じている。自主トレ期間は良い期間だったと思う」と前向きだ。
また、自宅時では「自主トレを(動画で)アップしている選手が多いので結構見ます。オリックスの山本(由伸)くんの投げ方、球の質、変化球の腕の振りに魅力を感じていて、真似してやってみることにマイナスはないと思い、キャッチボールからやっている最中」と、おうち時間を有効利用している。
昨年は先発に中継ぎとフル回転したが、今シーズンは「先発で1年間投げ切るのが、自分の中では理想としている形」としながら、「昨年のようにチーム状況だったり、自分の状態だったりで、どのポジションで投げるのかは正直分からないと思っている。どこでも投げられる準備はしていく中で、一番は先発として長いイニングを投げることがピッチャーとして必要なことだと思う」との考えを示した。
それは「中継ぎをしたことで感じたこと。自分が(ブルペンで)待機している中で、先発が長いイニング投げてくれれば楽になるという雰囲気も味わうことができた。先発の大切さを認識することができたので、まずはしっかりと投げ切ることが大事になる」と、経験に基づいたものだ。
リーダーとしての役割
依然として全体練習は再開されていないが、「全員で集まってやれることを楽しみにしてますし、みんながどういう取り組みをして、どういう体つきをしているのかなというのは本当に楽しみ」と語る。だからこそ「まずは感染しないことが大切」と主張する。
「チームで一人でもコロナに罹ってしまうと、開幕どうこうではなくなってきたり、色々ことが変わってきてしまう。みんなに会いたい気持ちは強いですけど、まずは自分自身の体調管理をチーム全員でやっていけたら」と、プライオリティは明確だ。
また、選手会長として「自主練習中にも声を聞いたりはしているんですが、“早く開幕したい”という人もいれば、“不安だ”と声を上げる選手もいる。移動のリスクを考えると危ないし、気を付けていても罹るリスクは大きいと思うので、今以上に予防に重点を置かなくてはならない状況にある」と、警鐘を鳴らすことも忘れない。
「ベイスターズの選手だけでなく、他球団の選手も同じ条件でやることになるので、野球界全員でもう一度気を引き締めなければならないという、強い気持ちがあります」。
ベイスターズの精神的支柱・筒香嘉智がレイズに移った今シーズン、新キャプテンの佐野恵太と共にチームを引っ張る存在となった石田健大。心身ともに昨シーズンよりもスケールアップした姿を見せてくれそうだ。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)