投球フォームを変更
「この思いをぶつけないと意味がないと思う。この思いを忘れずに1日1日やっていきたいと思います」(昨シーズン終了直後)。
「(2月1日に)バッターに投げられるだけの状態にして、いいアピールして、去年みたいな悔しい思いをしないようにやっていきたいと思います。今年はやるつもりしかない。去年の気持ちだけは忘れずに、1年間投げ抜きたいと思っています」(自主トレ)
「去年の思いはあったので、忘れずに走りこんできましたし、今年はやるだけだと思っているので、覚悟を持ってやっていきたいと思います」(春季キャンプ)
昨季ファームでシーズン自己最多の51試合に登板したが、一軍では3年ぶりに登板なしに終わったロッテの成田翔は、今季にかける思いは人一倍強い。
「理想は日本ハム・宮西さんのようなフォームを目指しています」。
昨年10月に行われた『第16回みやざきフェニックス・リーグ』の終盤からやや腕の位置を下げたスリークォーター気味の投球フォームに挑戦した。
肘を下げた理由について秋季キャンプ中、成田は「吉井さんと話したのが(フォームを)変えた理由です。今は来年(2020年)に勝負できるフォームで、練習中です」と説明した。
秋季キャンプのシート打撃では、「狙ったところに投げて、ああいう空振りが取れたので、僕の中でスライダーは収穫かなと思います」と、山口航輝を低めのスライダーで空振り三振に仕留めるなど、手応えを掴みオフを迎えた。
自主トレでは打者の意見をもらう
自主トレでは、「実際に立ってもらって色々アドバイスをもらえたので、自主トレはいい感じで投げられたと思います」と、打者を立たせて投げ、打者からみた成田のボールについて助言をもらった。
「今までは高低で勝負してきた。それを左右に変えるので、左バッターを仰け反らしたり、ちょっとした変化を自分で気付きながら、配球だったり組み立てができたらいいかなと思います」。
「ストレートと同じ角度でスライダーがしっかり入っていければ、バッターも振ると思うので、軌道を意識したいなと思います」。
“勝負”の5年目に向けて、「やるだけだと思っているので、とにかく結果を求めてやっていきたいと思います」と決意し、春季キャンプに突入した。
練習試合、OP戦に登板するも…
春季キャンプでは一軍スタートを切った成田は、2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合に登板。「左バッターが入ったときにポイント、ポイントがしっかりできなかった」と2つの四球を与えたが、1回を無失点に抑えた。
「スライダーがいい感じで曲がった。バッターも多分びっくりした反応があったので、いいところにいったのがああいう結果になったのかなと思います」と、右打者のバットをへし折る場面もあった。
春季キャンプが終了し、2月14日からの那覇遠征にも一軍に帯同。開幕一軍を目指し、アピールしていきたいところだったが、同日の広島との練習試合に9回から登板するも、0回1/3を投げて、1被安打、4四死球、2失点と制球に苦しんだ。
昨季はファームの登板で、制球に苦しみ失点するという場面がほとんど見られなかった。成田のなかで何が起こっていたのかーー。
本人は「欲というか、抑えようとしすぎて、自分の打ち取る感じを見失ってしまいました。四球から崩れるのは久々。自分でも珍しいケースだと思ったので、ああいうケースにならないように、ある意味いい経験ができたかなと思います」と振り返った。
「しっかり反省する部分は反省して、次のゲームと切り替えるようにしています」。続く19日のDeNAとの練習試合では、1イニングをわずか9球、三者凡退に打ち取った。
2月19日の登板を最後にファームで調整していたが、3月11日の日本ハムとのオープン戦に登板。1回を無失点に抑えたが、1安打、2四死球と、制球面に課題を残した。
昨季は一軍での登板はなかったが、腐ることなく、一軍からいつ声がかかってもいいように準備を続ける姿をロッテ浦和球場で見てきた。それだけに、練習試合、オープン戦でいまひとつアピールしきれなかったのは、マリーンズファンも歯がゆく映ったのではないだろうかーー。
本人も昨年秋から“悔しさをぶつける”、そして“結果”にこだわっていくことを何度も口にし、結果が重要だということを理解している。3月20日にプロ野球の開幕が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕が無期延期となった。いつ開幕するかわからない状況で、調整の難しさはあると思うが、5年目の今季は“ZOZOマリン”で投げる姿を多く見たいところだ。昨季の悔しさを一軍のマウンドで晴らして欲しい。
文=岩下雄太