◆ 今年はポストシーズンなし…?
「新型コロナウイルス」の問題により、いまだ2020年シーズンが開幕しないプロ野球。現在は6月中の開幕を目指して協議が進められているところだが、143試合のフルシーズンを実施することはすでに現実的でなく、さらにはポストシーズンの中止といった案も考えられる状況になってきた。
143試合のペナントレースでリーグ王者を決め、各リーグ上位3チームで日本シリーズ出場権をかけて戦うというのが、日本プロ野球のポストシーズン「クライマックス・シリーズ」だ。秋には“下剋上”というキーワードに注目が集まるように、ペナントレースの優勝は逃しながらも、CSを勝ち上がって勢いのままに日本一に輝くという例も過去にはあった。
昨季も、パ・リーグは西武が2年連続でレギュラーシーズン制覇を果たしながら、CSファイナルステージで宿敵・ソフトバンクに敗北。2年続けて同じ相手に苦汁を飲まされ、日本一への挑戦権を掴み損ねている。
一流の選手たちが「一戦必勝」の気持ちで臨むポストシーズンには、レギュラーシーズンとはまた違った緊張感がある…。
そこで今回は、両リーグ揃って「クライマックス・シリーズ」が始まった2007年以降の戦いを対象に、CSにおける12球団の勝敗について調査。全12球団のCS通算勝率をランキング形式でまとめてみた。結果は以下の通り。
▼ CS通算勝率ランキング
※2007年以降、アドバンテージの勝利は含まない
1位 .611 中日(37試=22勝14敗1分)
2位 .589 ソフトバンク(56試=33勝23敗)
3位 .561 日本ハム(41試=23勝18敗)
4位 .556 DeNA(18試=10勝8敗)
5位 .524 楽天(21試=11勝10敗)
6位 .500 広島(19試=9勝9敗1分)
7位 .484 ロッテ(31試=15勝16敗)
8位 .471 巨人(52試=24勝27敗1分)
9位 .450 ヤクルト(20試=9勝11敗)
10位 .407 阪神(28試=11勝16敗1分)
11位 .300 西武(30試=9勝21敗)
12位 .200 オリックス(5試=1勝4敗)
◆ 落合政権で好成績を残した中日がトップ
全体No.1は中日で、その勝率は12球団唯一の6割超え。これは主に8シーズンで4度のリーグ制覇を果たした落合博満監督時代の好成績によるものだ。
ただし、その中日が2012年を最後に7年連続でCS出場を逃しているというのは、ファンとしては寂しいところだろう。与田剛監督の下で恐竜復活はなるのか、注目が集まる。
2位はソフトバンク。2000年代にはCSの前身にあたるパ・リーグのプレーオフも含め、レギュラーシーズン1位になったシーズンでも日本シリーズ出場を逃し続けたことで、それこそ「短期決戦に弱い」といわれていた。しかし、近年の圧倒的な強さで一気に勝率が向上。直近5シーズンに限れば、その数字は.740(27試=20勝7敗)まで跳ね上がる。
ソフトバンクのあとは、3位に.561で日本ハム、4位に.556でDeNAと続く。そして、ここ2年悔しい思いをしている西武の勝率は.300にとどまっている。CSへの出場自体が少ないうえに勝率.200で最下位のオリックスは上回っているものの、12球団ワースト2位の数字。やはり、ここ2年の完敗が響いているようだ。
今年の開催の可否は不明となっているが、2020年代に入ってこのランキングに大きな動きは見られるか…。引き続き注目していきたい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)