ニュース 2020.05.20. 11:44

プロ野球・12球団最後の「最多奪三振」は…?

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ソフトバンク・千賀滉大

12球団「最後の○○」


 「新型コロナウイルス」の問題で未だ開幕の見通しが立っていないプロ野球。前に進むことができない今こそ、過去の記録にフォーカスを当てて振り返ってみよう!ということで、各球団“最後のタイトルホルダー”を振り返るこの企画。

 タイトルホルダーを多数輩出するチームもあれば、部門によっては長らく遠ざかっているチームも…。今回取り上げるのは『最多三振奪取投手賞』。


 記録としては「奪三振」を積み上げる単純なものだが、正式にタイトルになったのはパ・リーグが1989年、セ・リーグは1991年のこと。両リーグ揃って連盟から表彰されるようになってから、まだ20年ほどしか経っていない。

 意外にも歴史が浅い今回の個人タイトル。まずはセ・リーグ6球団から見てみよう。


エースの歴史に新たな1ページを


▼ セ・リーグ最後の『最多三振奪取投手賞』
巨 山口 俊(2019年/188個)
De 三浦大輔、門倉 健(2005年/177個)
神 藤浪晋太郎(2015年/221個)
広 前田健太(2011年/192個)
中 川上憲伸(2006年/194個)
ヤ 石井一久(2000年/210個)


 本格派投手の象徴の一つともいえる「奪三振」という記録。そのタイトルホルダーを振り返ると、各シーズンの顔となるエースたちの名前がずらりと並ぶ。

 セ・リーグでは2012年から阪神&巨人勢によるタイトル独占が続いており、ここ4シーズンは菅野智之、マイルズ・マイコラス(現カージナルス)、山口俊(現ブルージェイズ)と巨人の投手が4連覇中。10年以上のブランクを抱える球団が複数でてくる。


 そのなかでも、最もタイトルから遠ざかっているのはヤクルト。通算2度のタイトルはいずれも石井一久によるもので、2000年を最後にタイトルに届いていない。

 2000年以降のヤクルトのエースといえば、現在も第一線で活躍する石川雅規の名前が挙がるが、投球術で打ち取るタイプゆえに、奪三振のタイトルとは無縁。石井以外で最もタイトルに近づいた男となると、2010年にトップの前田健太(当時広島)と11個差の2位につけていた村中恭兵(現琉球ブルーオーシャンズ)ということになる。

 そんなヤクルトにも、石井以来のパワーピッチャーとして期待したいサウスポーが台頭してきた。今季プロ5年目を迎えた高橋奎二である。初めて本格的に一軍参戦した昨季は、規定投球回未達ながら、20試合(95回1/3)に登板してイニング数を上回る99奪三振を記録。奪三振率は9.35(個/9回)という好記録をマークした。

 開幕延期が続く今季は開幕投手候補に挙げられるなど、次期エース候補として首脳陣からも期待を寄せられている。先発ローテーションの一角としてシーズンを通して投げ抜くことができれば、自身も目標に掲げる“左のエース”、そしてヤクルト勢として久々の奪三振タイトルが見えてくるはずだ。試合数削減も取り沙汰されている今季にどれだけ存在感を示すことができるか、燕軍団の未来を担うサウスポーに注目だ。


 なお、チーム別のタイトル獲得回数では、巨人が10回でトップ。阪神が8回で続き、以下広島(5回)、中日(4回)、DeNA(3回)、ヤクルト(2回)となっている。


12球団最長のブランク


▼ パ・リーグ最後の『最多三振奪取投手賞』
西 松坂大輔(2005年/226個)
ソ 千賀滉大(2019年/227個)
楽 則本昂大(2018年/187個)
ロ 伊良部秀輝(1995年/239個)
日 ダルビッシュ有(2011年/276個)
オ 金子千尋(2013年/200個)


 パ・リーグの奪三振タイトルといえば、2014年から楽天の則本昂大が5連覇を果たしていたが、昨季は開幕直前に右肘の手術受けてタイトルレースから脱落。ソフトバンクの千賀滉大がキャリアハイの227奪三振を記録して、初めての奪三振タイトルを獲得した。

 則本がルーキーイヤーだった2013年にタイトルホルダーとなった金子千尋(現日本ハム・金子弌大)をはじめ、各球団のエースたちが名を連ねるなか、一際目立つのがロッテの「伊良部秀輝=1995年」。ロッテは12球団最長となる24シーズンもの間タイトルから遠ざかっている。

 ロッテが日本一に輝いた2005年には、6投手が2ケタ勝利を挙げる驚異の先発ローテーションを誇ったが、奪三振率でリーグトップ5に入った投手はゼロで、渡辺俊介、清水直行、セラフィニといずれも打たせて取るタイプの面々だった。2005年以降を振り返ると、2010年に192奪三振を記録した成瀬善久がダルビッシュ有、杉内俊哉に続くリーグ3位にランクインしているが、以降はトップ5入りすらも出来ない状況が続いていた。

 それでも昨季、高卒3年目だった種市篤暉が規定投球回未達の116回2/3イニングの登板ながら、リーグ4位の135奪三振を記録。「160キロを投げたい」と、直球に強いこだわりを持つ活きの良いパワーピッチャーが台頭してきたのは今後に向けて期待が膨らむところ。

 昨季の奪三振王である千賀(ソフトバンク)は奪三振率11.33(個/9回)のプロ野球新記録を樹立したが、種市の同10.69もリーグ屈指の素晴らしい成績。自慢のストレートにさらなる磨きをかけて、伊良部以来のタイトル獲得を、さらには球界を代表するエースの仲間入りを期待したい。


 なお、チーム別のタイトル獲得回数では、ソフトバンクが7回でトップ。楽天と西武が6回で続き、以下日本ハム(3回)、ロッテ(2回)、オリックス(1回※近鉄6回)となっている。

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