速球派投手が増える
ロッテの投手陣はこれまで150キロを超えるボールを投げる投手が少ない印象だったが、近年は最速163キロを誇るドラフト1位ルーキーの佐々木朗希をはじめ、種市篤暉、岩下大輝、石崎剛、小野郁、東妻勇輔、土居豪人など150キロを超えるスピードボールを投げる投手が増えてきている。
井口資仁監督が指揮をとりはじめた18年以降は、阪神からトレードで獲得した石崎、楽天にFA移籍した鈴木大地の人的保証として獲得した小野、ドラフトでも佐々木朗希と、積極的に“速球派”の投手を獲得している印象だ。
また、種市や岩下など高卒でプロ入りした投手たちのストレートのスピードが年々上がっている。個人的にその傾向を強く感じはじめたきっかけが、種市や岩下が一軍デビューを果たした18年。ランニングやウエイトトレーニングといったトレーニングを徹底的に行い、その成果として若手投手陣のストレートのスピードが上がっているのではないかと個人的に予想した。
2018年9月の取材で、小野晋吾二軍投手コーチにそのことについて質問すると、「井口監督が就任されてからまず強いボールを投げる。チームとしての方針だったので、そこに向けてトレーニングから改善して、トレーニングをやっている成果だと思います」と教えてくれた。
さらに小野コーチは同日の取材で「まずは強い球を投げられないと、今のバッターはどんなボールでも対応できるし、まず強い球を投げるというのが前提で、そこからコントロールを付けていくという風にしています」と明かした。
ストレートへの意識
若手投手陣を取材していても強い球を投げる、速いストレートを投げたいという意識が強い。
「ストレートを軸で投げたいというのはある。常時150キロを投げたいです」(種市 19年10月17日取材)
「(器具をつけてトレーニングしていた理由について質問し)スピードを速くしたい、球を重くしたいというのもあります」(二木 20年2月8日取材)
「一番の軸はストレートだと思うので、そこは外さないように。僕の中で消してはいけないところだと思うので、そこを外すつもりはないですね」(岩下 20年2月9日取材)
「真っ直ぐの威力をもう少し出してやっていきたいと思います。ファウルではなく、空振りを取れる真っ直ぐを身に付けたいと思います」(中村稔 19年10月1日取材)
「スピードもあると思うんですけど、強さですかね。速く感じる真っ直ぐとか、しっかりファウルが取れたり、空振り取れる真っ直ぐが取れれば、出るに越したことはない。そういう強さ、キレ、そういうところをしっかり磨いていきたいと思います」(古谷 19年10月1日取材)
また、昨年11月23日から12月4日にかけて、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」に派遣された小島は、ストレートのスピードについて今年1月の取材で「1週間でそんなに上がることはないんですけど、1ヶ月、そのまた1ヶ月続けていって成果が出るものだと思う。ピシッとわかったような感じはしたので、それに伴った練習法もある。それはやっていこうと思います」と教わったことを継続し、スピードアップを目指していくと話していた。
“強い球を投げる”と掲げた方針がチーム内で、しっかりと浸透しているように見える。佐々木朗希、種市、岩下といった“速球派”の若手投手が多いことに加え、トレーニングを積んでストレートのスピードをあげていく投手も、今後増えていくことだろう。150キロを超える投手ばかりで形成される投手陣が、そう遠くない未来に訪れるかもしれない。
文=岩下雄太