シート打撃で三者連続奪三振の好投!
プロ野球の開幕が6月19日に決まった。これから、限られた時間のなかで一気に仕上げていくしかないことを裏付けるように、シート打撃や紅白戦といった実戦的な練習が増えてきた。3月下旬から自主練習を行っていたとはいえ、まだまだ調整の段階にあると見るべきだろう。
そんななか、阪神のドラフト6位ルーキー・小川一平が、5月26日に行われたシート打撃で好投を見せた。木浪聖也、坂本誠志郎、髙山俊を相手に三者連続で空振り三振を奪うという猛烈アピールだ。
阪神の昨年のドラフト会議は、支配下選手指名6人のうち5人が高校生の指名。春季キャンプでも、ドラフト2位のスラッガー候補、井上広大に注目が集まっていた。唯一の大卒選手である小川の快投には矢野燿大監督も大満足。「今日の投げっぷりであれば、勝ちパターンでも使っていきたいという登板だった」。このコメントに、小川への期待の大きさが現れているだろう。
小川には、最速150キロに迫るストレートと、自らが「パワーチェンジ」と呼ぶ力強いチェンジアップという武器があり、勝ちパターンでの起用も十分にあり得る。6月2日からはじまる練習試合で結果を上積みできれば、開幕一軍も夢ではないかもしれない。
リーグトップの中継ぎ陣が再編成の可能性
昨シーズンの阪神は、中継ぎ陣の防御率が「2.70」であり、これはセ・リーグトップの数字だった。防御率2点台も唯一だ。強固な中継ぎ陣が、クライマックスシリーズ出場の立役者になった。
「あとは打つだけ――」。そんな事情もあり、オフの補強もボーアやサンズといった強打の野手が中心だった。
しかし、今年の中継ぎ陣は、昨年と比べると事情が少し異なる。ジョンソンとドリスの両外国人が退団。大ブレイクを果たした左腕の岩崎優も、右足の張りで2月後半から離脱していた。5月26日にシート打撃に登板し開幕には間に合う見込みのようだが、まだ本調子とはいえないだろう。チーム最多登板を果たした島本浩也もオフに左肘を手術しており、現時点では一軍の試合で投げられる状態にはない。
セットアッパー候補として加入したエドワーズ、そして小川といった新戦力に頼らざるを得ないのが実情か。逆の視点で見れば、小川にとっては大きなチャンス。それこそ、開幕から活躍できれば新人王だって見えてくる。
今年はセ・パ交流戦、オールスターゲームが中止となり、ブレイクがないなかでの戦いとなる。選手にはきつい6連戦が続く日程が濃厚だ。全体の試合数が削減されるとはいえ、中継ぎ陣の負担が増え、彼らの出来が順位に直結することも予想される。
ドラ6ルーキーの小川は、ピンチの状態にある「虎の中継ぎ陣」の救世主となるだろうか。開幕一軍へ向け、アピールは続いていく。
小川一平・プロフィール
ポジション:投手投打:右投右打
身長/体重:182センチ/80キロ
生年月日:1997年6月3日(22歳)
経歴:県立横須賀工-東海大九州キャンパス-11年・阪神6位