偉大な先人たちを追いかけて…
新型コロナウイルスの問題により、不透明な状態だった2020シーズンの開幕日が「6月19日」に決定。ついにスタートラインが決まり、各球団で紅白戦などもはじまったことから、3カ月遅れの“球春”ムードが高まってきている。
“自粛期間”は野球にまつわる話題も少なかったことから、これまでのプロ野球史における様々な記録にフォーカスが当たることも少なくなかったように思う。
そこでレジェンドたちの凄まじさを改めて知るという機会も多々あったが、今回は開幕が決まったことを受け、現役プレイヤーとして先人たちを追いかけている男たちに注目。今回は「通算記録」で上位に名を連ねる、または今後の上位進出が期待できるものをピックアップして紹介していきたい。
すでに「歴代No.1」に君臨する選手も!
現役で通算記録に名を刻んでいる選手の筆頭といえば、ヤクルトの青木宣親だ。
言わずと知れた日本屈指の安打製造機だが、男がここまでにマークしているNPB通算打率が「.326」。これはNPB在籍10年で1579安打と打ちまくったレロン・リーや、史上唯一の3000本安打・張本勲らを抑えて堂々の1位という数字である。
ただし、積み上げ系の記録とは違い、打率は日々上がったり下がったり変動があるもの。2020年開幕時点で2位のリーとの差は「6厘」。ユニフォームを脱ぐまでの間、いかに打率を落とさずに踏ん張ることができるか、まずは今季の戦いに注目が集まる。
打撃部門でほかに上位にランクインしているのが西武の中村剛也。
これまでの通算の三振数が「1725個」で、これは清原和博の1955個、谷繁元信の1838個に次ぐ歴代3位の記録。もちろん現役では1位で、現役2位の福留孝介は1396三振(※NPB通算)なので、ぶっちぎりの数字だ。
一方、通算本塁打の「415本」は現在のところ歴代16位にランクイン。プロ18年目の昨季も30本塁打を放っているようにパワーに衰えは感じられず、一体どこまで積み上げていくことができるのか、期待が膨らんでいる。
三振の多さは良いことではないかもしれないが、裏を返せば強打者の奮闘の足跡でもある。本塁打記録の上位浮上とともに、三振数にも注目が集まりそうだ。
その他では、犠打の通算記録でソフトバンクの今宮健太が歴代7位(299個)、ロッテの細川亨が歴代8位(296個)にランクイン。
特に今宮はレギュラー定着から8年という短い期間でこれだけの数字を積み重ねていて、一時は歴代1位・川相昌弘の533個を超えることも期待されていた。近年は犠打数が徐々に減ってきているが、400までいくとトップ3というところも視界に入ってくるだけに、今後はこのペースがどうなっていくのか見守っていきたい。
また、死球の部門では、巨人の中島宏之が「134個」で歴代9位に入っている。ちなみに、歴代No.1は清原和博の196。奇しくもともに西武で背番号3を背負ったという共通項もある。
投手部門はリリーバーの活躍が目立つ
投手の方も、すでに通算記録で上位に名を連ねている選手は多い。
まずは、登板数の歴代7位にヤクルトの五十嵐亮太(822登板)、8位には阪神の藤川球児(766登板)がランクイン。なお、両者ともメジャーリーグでの出場歴があるが、ここではNPB単独の数字となっている。
その藤川は、通算のセーブ数も「241」で歴代4位という堂々たる成績。それに次ぐのが234セーブのデニス・サファテで、ともに名球会入りの資格となる250セーブの大台が目前に迫っている。
ホールドとホールドポイント(HP)に関しては、NPBで記録として採用されてから歴が浅いため、上位は最近の選手ばかり。その中で、両方でトップに君臨しているのが日本ハムの宮西尚生だ。
「337ホールド」は現役2位の五十嵐と170以上の差、「370HP」も現役2位の藤川と150以上の差がつくというまさに独走状態で、すでに球史に残る大記録となりつつある。
その他、ランキングひとケタ台に現役選手がいる記録と言うと、暴投数で涌井秀章が歴代7位。今季から楽天でプレーする右腕に制球が悪いイメージはあまりないが、西武時代の2008年にはシーズン11暴投を記録したこともある。
というわけで、今回は現役選手の「通算記録」に注目。今後の積み上げに期待できるものも多く、ひとつでも上の順位に自身の名前を刻んでもらいたいところ。
そのためにはまず、目の前の1シーズンが大切。今季は120試合の短縮シーズンとなるが、まずは全選手がケガなく実力を発揮し、ひとつずつ階段を登っていってほしい。
文=中田ボンベ@dcp