“開幕前哨戦”で15得点快勝
プロ野球は2日から練習試合が再開。各チームが11~12試合を消化し、6月19日の開幕に備えることになる。
ヤクルトは神宮球場で開幕戦の相手となる中日と対戦し、15-3と快勝。主砲のバレンティンが抜けた今季、得点力不足も課題に挙がるが、開幕に向けベストメンバーで臨んだ試合で15得点を挙げた。
“開幕前哨戦”に勝利した高津臣吾監督は、試合後オンラインでの取材に応じ、「こういうゲームが開幕戦でできたら良いなと思っていましたけど、本番になったらそうはうまくいかないでしょうし、どのチームにも良いゲームをして勝っていかなければいけないのが今のスワローズの現状。今日に関しては相手に関係なく良いゲームができた」と振り返った。
この日は、高津監督が打線に据える「1番・坂口智隆」と「2番・山田哲人」が共に結果を出した。
坂口は初回、第1打席でレフトへの安打で出塁すると、4番・村上がライトへ安打して二死一・三塁。続く5番・塩見のフライを二塁手の中日・阿部が失策して先制のホームを踏んだ。2回には、二死・二塁の好機でライトへの適時打。さらに4回にショートへの内野安打を放って、3打数3安打1打点の活躍。プロ18年目・35歳の“核弾頭”が久々の対外試合で健在ぶりをアピールした。
高津監督は「打線のつながりとしては良かった。坂口が1番に入って塁に出てくれることが、打線が生きることだと思っている。坂口の出塁というのはすごく大きなポイントだった」と振り返った。
4度目トリプルスリーへ「目標は高く」
2番の山田もセンターへ2本の安打を放ち、3打数2安打1打点とこちらも結果を残した。しかし、山田本人は「試合勘というのはまだない。今日もヒット2本打てましたけど、たまたまなのかなと感じますし、もうちょっと試合勘を取り戻したいなと思います」とコメント。
それでも指揮官は「哲人に関してはまったく心配していません。本当に心から信頼していますし、打席に立ったら必ず結果をもたらしてくれると信じて送り出している」と、今季4度目のトリプルスリーを目指す男に絶大な信頼を寄せている。
試合数は120試合に減少し、トリプルスリーに向けては本塁打数と盗塁数の面で特に険しくなる。それでも背番号1は「1試合1試合の積み重ねだと思うので、試合数は減りましたけど、そこの目標は高くいきたいなと思います」と前向きだ。
「状態はこれからどんどん上げていきたい。相手投手も調子が上がってくると思いますし、僕自身ももっと調子を上げていかなければいけないなと思います」
前例のない開幕戦を迎えるが、「ミスター・トリプルスリー」の飽くなき挑戦は、日本中の野球ファンに勇気と希望を与えてくれるはずだ。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)