話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、5月31日に支配下登録を勝ち取った体重65キロの軽量級投手、巨人・沼田翔平投手のエピソードを取り上げる。
野球というスポーツの魅力は「大柄な選手も小柄な選手も、一緒にプレーできる」ことです。投げる・打つ・走る・守る……プレーにさまざまな要素があるため、体重114キロのロッテ・井上晴哉のような巨漢もいれば、昨シーズン(2019年)その韋駄天ぶりが話題になったソフトバンク・周東佑京のように、わずか66キロしかない選手もいます。
体重差が50キロ近くあるプレーヤーが、それぞれの持ち味を活かして同じ土俵で戦えるのは野球ならではですが、ときどき、軽量選手が意外なパワーを発揮するのもまた、野球の面白いところです。
6月4日に神宮球場で行われた練習試合・ヤクルト-中日戦で、中日の3年目・高松渡が右翼席中段へ豪快なホームランを叩き込みました。これにはベンチのチームメイトも、観戦していた記者たちもビックリ。
高松といえば、中日の公式サイトによると、身長176センチ・体重65キロの軽量選手。50メートル5秒8の快足が売り物で、入団以来ホームランを1本も打ったことがなかったからです。非公式の練習試合ですが、これが「プロ初アーチ」でした。
「試合でほとんど(本塁打を)打ったことがないので、全力で走りました」というコメントが高松らしいですが、何でもオフに7キロほど増量したそうで、実際の体重は72キロぐらいとか(それでもまだ十分軽いですが)。昨季(2019年)は代走で1試合だけ出場し、1軍デビューを果たしましたが、今季はパワーも付けて1軍定着を目指します。
軽量級の選手といえば、現在、プロ野球界で一・二を争うのが、先日、育成選手から支配下登録を勝ち取った巨人の2年目・沼田翔平です。巨人軍公式サイトのデータによると、175センチ・65キロ。北海道・旭川大高から、2018年の育成ドラフトで、巨人に3位指名され入団しました。
細身ながら、最速146キロの真っ直ぐと、安定したコントロールで注目され、今年(2020年)春のオープン戦では6試合に登板し、防御率1.42とアピール。背番号は「016」でしたが、5月31日に晴れて支配下登録され、背番号は「92」となりました。高卒2年目までの育成投手が支配下登録されたのは、ジャイアンツ史上初の快挙です。
「いろいろな方に支えられて、この日を迎えられたと思っています。育成として入って、はい上がる気持ちでやって来ました。その気持ちを忘れず、常に高いところを目指してやって行きたい」(沼田)
支配下登録の発表会見には、原辰徳監督も同席。そのコメントからも、沼田への期待の高さが窺えます。
「力でもぎ取ったと思いますよ。今後10年、15年戦ってくれるのではないかと」
会見で原監督が挙げた沼田の長所は、「投球スタイルが、真っすぐでも変化球でも、常に一緒。そのなかでコントロール、勝負度胸は、2年生とは思えないものがありますね」。安定感は他のピッチャーと比べても抜群、というコメントもあり、今後の練習試合でも好投すれば、開幕1軍も決して夢ではありません。
また原監督はじめ首脳陣は、沼田の野球に取り組む姿勢も高く評価しています。実は、オープン戦で好投したときは「まだ時期尚早」と、支配下登録はいったん見送られました。ところが、新型コロナウイルスの影響で開幕が延期となり、チームも活動停止に。その間、練習は選手の裁量に任されました。
沼田はこの期間を「実力を伸ばす絶好のチャンス」と捉え、コンディションの維持に努めつつ、さらなるレベルアップを図りました。その野球に対する真摯な姿勢を、首脳陣はちゃんと見ていたのです。原監督は、沼田昇格の理由をこう語りました。
「非常に若いですし、オープン戦が終わったころは、『まだちょっと早いかな』と思ったんですけれども。コンディション(づくり)と、それに向き合う姿勢を、個人調整期間のなかで見ていると『支配下選手として、練習試合も含めて戦わせよう』という決断になりました」
「1軍のメンバーとして、最後の最後まで戦ってもらおうと思っている」とまで口にした原監督。起用法は中継ぎで、セットアッパー候補にも挙がっています。年俸は420万円と格安ですが、小柄で細身の沼田が活躍すれば、かなりのイケメンでもありますし、女性ファンの人気も集めそうです。リリーフ陣に不安のある巨人の救世主になれるか、今後が楽しみです。
ちなみに……沼田のプチ情報を1つ。先日、ルーキー投手の太田龍が、球団のトレーニング施設で休憩中に歌う沼田の姿をインスタグラムにアップして話題になりました。カラオケをバックに、スキマスイッチの「奏」を歌っているのですが、これがなかなかの美声で、歌の制球力も抜群のようです。興味がある方、ぜひチェックしてみてください。
野球というスポーツの魅力は「大柄な選手も小柄な選手も、一緒にプレーできる」ことです。投げる・打つ・走る・守る……プレーにさまざまな要素があるため、体重114キロのロッテ・井上晴哉のような巨漢もいれば、昨シーズン(2019年)その韋駄天ぶりが話題になったソフトバンク・周東佑京のように、わずか66キロしかない選手もいます。
体重差が50キロ近くあるプレーヤーが、それぞれの持ち味を活かして同じ土俵で戦えるのは野球ならではですが、ときどき、軽量選手が意外なパワーを発揮するのもまた、野球の面白いところです。
6月4日に神宮球場で行われた練習試合・ヤクルト-中日戦で、中日の3年目・高松渡が右翼席中段へ豪快なホームランを叩き込みました。これにはベンチのチームメイトも、観戦していた記者たちもビックリ。
高松といえば、中日の公式サイトによると、身長176センチ・体重65キロの軽量選手。50メートル5秒8の快足が売り物で、入団以来ホームランを1本も打ったことがなかったからです。非公式の練習試合ですが、これが「プロ初アーチ」でした。
「試合でほとんど(本塁打を)打ったことがないので、全力で走りました」というコメントが高松らしいですが、何でもオフに7キロほど増量したそうで、実際の体重は72キロぐらいとか(それでもまだ十分軽いですが)。昨季(2019年)は代走で1試合だけ出場し、1軍デビューを果たしましたが、今季はパワーも付けて1軍定着を目指します。
軽量級の選手といえば、現在、プロ野球界で一・二を争うのが、先日、育成選手から支配下登録を勝ち取った巨人の2年目・沼田翔平です。巨人軍公式サイトのデータによると、175センチ・65キロ。北海道・旭川大高から、2018年の育成ドラフトで、巨人に3位指名され入団しました。
細身ながら、最速146キロの真っ直ぐと、安定したコントロールで注目され、今年(2020年)春のオープン戦では6試合に登板し、防御率1.42とアピール。背番号は「016」でしたが、5月31日に晴れて支配下登録され、背番号は「92」となりました。高卒2年目までの育成投手が支配下登録されたのは、ジャイアンツ史上初の快挙です。
「いろいろな方に支えられて、この日を迎えられたと思っています。育成として入って、はい上がる気持ちでやって来ました。その気持ちを忘れず、常に高いところを目指してやって行きたい」(沼田)
支配下登録の発表会見には、原辰徳監督も同席。そのコメントからも、沼田への期待の高さが窺えます。
「力でもぎ取ったと思いますよ。今後10年、15年戦ってくれるのではないかと」
会見で原監督が挙げた沼田の長所は、「投球スタイルが、真っすぐでも変化球でも、常に一緒。そのなかでコントロール、勝負度胸は、2年生とは思えないものがありますね」。安定感は他のピッチャーと比べても抜群、というコメントもあり、今後の練習試合でも好投すれば、開幕1軍も決して夢ではありません。
また原監督はじめ首脳陣は、沼田の野球に取り組む姿勢も高く評価しています。実は、オープン戦で好投したときは「まだ時期尚早」と、支配下登録はいったん見送られました。ところが、新型コロナウイルスの影響で開幕が延期となり、チームも活動停止に。その間、練習は選手の裁量に任されました。
沼田はこの期間を「実力を伸ばす絶好のチャンス」と捉え、コンディションの維持に努めつつ、さらなるレベルアップを図りました。その野球に対する真摯な姿勢を、首脳陣はちゃんと見ていたのです。原監督は、沼田昇格の理由をこう語りました。
「非常に若いですし、オープン戦が終わったころは、『まだちょっと早いかな』と思ったんですけれども。コンディション(づくり)と、それに向き合う姿勢を、個人調整期間のなかで見ていると『支配下選手として、練習試合も含めて戦わせよう』という決断になりました」
「1軍のメンバーとして、最後の最後まで戦ってもらおうと思っている」とまで口にした原監督。起用法は中継ぎで、セットアッパー候補にも挙がっています。年俸は420万円と格安ですが、小柄で細身の沼田が活躍すれば、かなりのイケメンでもありますし、女性ファンの人気も集めそうです。リリーフ陣に不安のある巨人の救世主になれるか、今後が楽しみです。
ちなみに……沼田のプチ情報を1つ。先日、ルーキー投手の太田龍が、球団のトレーニング施設で休憩中に歌う沼田の姿をインスタグラムにアップして話題になりました。カラオケをバックに、スキマスイッチの「奏」を歌っているのですが、これがなかなかの美声で、歌の制球力も抜群のようです。興味がある方、ぜひチェックしてみてください。