"大沢親分"を抜いて1位に
いよいよはじまる、プロ野球の2020年シーズン。当初の予定から遅れること約3カ月、6月19日から全120試合の激闘が幕を開ける。
交流戦もオールスター戦もない、ノンストップの120試合勝負。過去に類を見ない特殊なペナントレースとなるだけに、例年以上に指揮官の手腕という部分が問われる戦いになるだろう。
経験値という点で見れば、セ・リーグでは巨人・原辰徳監督がNo.1。連続政権ではないが、今季で通算14シーズン目の指揮となる。
一方のパ・リーグでは、2012年から日本ハムを指揮する栗山英樹監督が今季で9年目。連続9年の長期政権は、球団ではあの"親分"こと大沢啓二を抜いて歴代最長記録に。この期待に応えることができるか、逆襲を期すシーズンに挑む。
各球団の"長期政権"は?
では、他球団の記録はどうなっているだろうか。ここでは、球団ごとの「連続就任期間」と「通算就任期間」を調べてみた。なお、今回はシーズン途中での就任、また退任した場合も1年と換算している。
【巨人】
▼ 連続就任
川上哲治
(14年:1961~1974年)
▼ 通算就任
長嶋茂雄
(15年:1975~1980年、1993~2001年)
連続就任期間の最長は、栄光のV9時代にチームを率いた川上哲治。通算では、2期・15年に渡ってチームを率いた長嶋茂雄が最長となっている。
ちなみに、現在3期目の原辰徳監督は通算14年。仮に来季もチームを率いた場合は、長嶋監督に並ぶことになる。
【DeNA】
▼ 連続就任
三原 脩
(8年:1960~1967年)
▼ 通算就任
三原 脩
(8年:1960~1967年)
別当 薫
(8年:1967~1972年、1977~1979年)
DeNAは、大洋時代にチームを率いた"魔術師"こと三原脩が連続就任期間・通算就任期間共に最長。三原はシーズン途中でチームを離れるが、その後を継いだ別当薫も2期に渡り監督を務め、通算で三原の8年に並んでいる。
【阪神】
▼ 連続就任
中村勝広
(6年:1990~1995年)
▼ 通算就任
吉田義男
(8年:1975~1977年、1985~1987年、1997~1998年)
連続就任期間で最も長いのが中村勝広。特に浮き沈みの激しかった時期に6年も率いたのは立派だといえる。通算では、3度監督になった吉田義男の8年が最長。2期目にはチームを日本一にも導いている。
【広島】
▼ 連続就任
古葉竹識
(11年:1975~1985年)
▼ 通算就任
古葉竹識(11年:1975~1985年)
広島は連続・通算ともに古葉竹識が最長だ。1975年途中に退任したジョー・ルーツの後を継いで監督に就任すると、そこから11年もの間チームを率いた。監督としては通算3度のリーグ優勝と日本一に輝いている。
【中日】
▼ 連続就任
落合博満
(8年:2004~2011年)
▼ 通算就任
星野仙一
(11年:1987~1991年、1996~2001年)
中日は落合博満の8年が連続就任期間では最長。就任期間中は1度もBクラスはなしと、名将と呼ばれるにふさわしい手腕だった。また、通算期間では星野仙一の11年が最長で、毎シーズンのようにライバルの巨人を覇権を争った。
【ヤクルト】
▼ 連続就任
野村克也
(9年:1990~1998年)
▼ 通算就任
野村克也
(9年:1990~1998年)
最も長くヤクルトを率いた監督は野村克也。チームを率いた9年間で4度のリーグ優勝を果たし、日本一にも3度導いた。現在は野村の教え子である高津臣吾が監督を務めているが、師匠のように長期政権を築けるか注目だ。
日本記録は"23年"
【西武】
▼ 連続就任
三原 脩
(9年:1951~1959年)
森 祇晶
(9年:1986~1994年)
▼ 通算就任
三原 脩
(9年:1951~1959年)
森 祇晶
(9年:1986~1994年)
西鉄時代にチームを率いた三原と、西武黄金期を作り上げた森祇晶が連続就任期間・通算就任期間の両方で最長。現在は生え抜き監督を重宝する西武だが、最も長くチームを率いた監督は共に現役時代は他チームでプレーというのは興味深い。
【ソフトバンク】
▼ 連続就任
鶴岡一人
(23年:1946~1968年)
▼ 通算就任
鶴岡一人
(23年:1946~1968年)
ソフトバンクは、前身の南海時代に長期政権を築いた鶴岡一人が最長。なんと1リーグ時代から23年もの間チームを率いた。23年連続同一チーム監督は歴代最長記録で、23年間で積み重ねた通算1773勝も歴代1位の金字塔だ。
【楽天】
▼ 連続就任
野村克也
(4年:2006~2009年)
星野仙一
(4年:2011~2014年)
▼ 通算就任
野村克也
(4年:2006~2009年)
星野仙一
(4年:2011~2014年)
楽天はチームの礎を築いた野村と、そのベースをさらに伸ばし、チームを日本一に導いた星野が共に4年で最長。まだチームの歴史が浅い楽天だが、今後は他のチームのように長期政権を築く監督が現れるのを期待したい。
【ロッテ】
▼ 連続就任
別当 薫
(6年:1954~1959年)
ボビー・バレンタイン
(6年:2004~2009年)
▼ 通算就任
ボビー・バレンタイン
(7年:1995年、2004~2009年)
連続就任期間では、リーグ黎明期に選手兼任でチームを率いた別当と、2期目のボビー・バレンタインが6年で共に最長。通算では2期に渡り率いたバレンタインが7年で最も長くなる。現在の井口資仁監督は今年3年目だが、長期政権になる可能性も十分考えられる。
【日本ハム】
▼ 連続就任
栗山英樹
(9年:2012年~)
▼ 通算就任
大沢啓二
(11年:1976~1983年、1984年、1993~1994年)
連続就任期間は、冒頭で述べたように現在の栗山監督が9年目で最長。通算期間では、3度に渡りチームを率いた大沢啓二の11年が最長となっている。栗山監督は通算でも"親分超え"なるか、まずは今季の結果に注目だ。
【オリックス】
▼ 連続就任
上田利治
(10年:1981~1990年)
▼ 通算就任
上田利治
(15年:1974~1978年、1981~1990年)
阪急時代(最後の2年はオリックス)にチームを率いた上田利治が、連続・通算ともに最長。特に1期目は就任5年間でリーグ優勝4回、日本一も4回と圧倒的な成績を残した。
文=中田ボンベ@dcp