空席だった一塁のレギュラーをほぼ手中に
セ・リーグ2連覇を目指す巨人の原辰徳監督は、キャンプイン前に「キャッチャー、ファースト、セカンドは空いているポジション」と発言し、選手たちに競争を促した。その空席だった3つのポジション争いも一応の決着をみている。
捕手は大城卓三が筆頭と目されていたが、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性判定を受け一時離脱、16日に実戦復帰を果たしたばかり。開幕は小林誠司がマスクを被ることになるだろう。
二塁は、再開された練習試合でスタメン最多起用となっている吉川尚輝が当確。2年連続での開幕スタメンは、なんらかのアクシデントがない限り間違いない。
そして一塁は、ベテランの中島宏之がポジションを奪い取った。当初、大城や高卒2年目のホープ・山下航汰、北村拓己らも候補だったが、北村は結果を残せず、山下は5月下旬に右手有鉤骨を骨折し開幕は絶望的で現在はリハビリに励んでいる。そんな中で中島は、練習試合でもヒットを量産し、自らの力でスタメンの座を手繰り寄せた。
オープン戦では本塁打王、練習試合では逆方向への一発も
昨シーズンの中島は43試合の出場で打率.148(54-8)と最悪のシーズンを送った。移籍1年目、そして初めてのセ・リーグということを差し引いても中島らしくない数字だ。
まさに崖っぷちの状態でありながら、この春のオープン戦では14試合で打率.351(37-13)、4本塁打、6打点と本塁打王に輝いた。練習試合再開後も勢いはとまらない。6月7日のヤクルト戦では逆方向への一発を放つなど、好調をキープ。この活躍には原監督も、「ナカジ(中島)はずっといい。とらえ方も形も非常にいい」と賛辞を送っていた。
そんな中島は昨シーズン終了時点で通算1767安打を放っており、名球会入りの入会条件でもある2000本安打まであと233安打に迫っている。
現在の調子を維持しながら今年1年間をレギュラーで走り抜くことができれば、120試合制とはいえ100安打の上積みは期待できそう。そうなると来シーズン以降の大台到達も現実味を帯びてきそうだ。
中島は来月に38歳の誕生日を迎え、年齢的にはすでにベテランの領域。チーム内でもポジションを争った山下ら若手が台頭してきているが、簡単にポジションを譲るつもりはない。磨き抜かれたベテランの技でレギュラーを死守し、数字を積み重ねていけるか注目だ。
▼ 中島宏之(巨人)
[19年] 43試 打率.148(54-8)本1 打点5
[通算]1682試 打率.294(6003-1767)本195 打点919