いよいよ開幕
3月20日に予定されいてたプロ野球の開幕は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、6月19日に変更となった。3カ月遅れでプロ野球が開幕し、マリーンズにとって2005年以来のリーグ制覇、10年以来の日本一を目指す戦いが始まる。
今季に向けてFAで楽天から美馬学、ソフトバンクから福田秀平を獲得し、チームの課題のひとつである“勝利の方程式”を確立するため、ジャクソン、ハーマンといった日本で実績のある外国人を補強した。さらに、春季キャンプ、2月の練習試合で若手内野手陣のアピールが足りないと感じていたところに、通算2085安打を放った前阪神の鳥谷敬を3月に獲得し、育成選手だったフローレス、和田康士朗が支配下選手登録された。
その一方で、長年チームを支えた福浦和也が引退し、チームリーダーだった鈴木大地が楽天へFA移籍し、エース・涌井秀章がトレードで楽天へ移籍した。近年マリーンズの中心選手だった鈴木、涌井が移籍し、今マリーンズは転換期を迎え、生まれ変わろうとしている。
昨季チームトップタイの8勝を挙げ、今季から背番号が『63』から『16』に変更になった種市篤暉は、“エース”に近い存在、“エース”と呼ばれる存在になれるか注目だ。
「期待の若手ではなく、結果を残さないといけない立場。まだ若いですけど、ローテーションを守っていくという意味では、16番に恥じないピッチングをしないといけないと思っています」。
「去年8勝して、今年もそれ以上の成績を残してくれると計算していると思うので、それ以上の活躍をしないといけない。貯金(の数)も、これからエースになりたいと思っているので、大事じゃないかなと思っています」。
今年1月の取材で、このように話した種市は、強い自覚を持ち今季に挑む。二木康太、小島和哉、岩下大輝、小野郁、中村稔弥など先発、リリーフに期待の若手が多く、この中から何人一軍に定着するか見ものだ。
野手陣も井上晴哉、中村奨吾、藤岡裕大、田村龍弘といった井口監督1年目からレギュラーとして起用され経験を積んできた選手たちが、もう一皮むけるような活躍に期待したい。また、若手の安田尚憲、福田光輝、佐藤都志也、平沢大河といったところが、シーズン中、どこまでレギュラー争いに加われるかもリーグ制覇するためのカギになるだろう。
昨季の悔しさをぶつける
オープン戦、練習試合ではいまひとつの成績だったが、あくまで開幕に向けた準備期間。19日からはじまる公式戦に向けて、西武、巨人との練習試合前までは、若手、中堅、主力など様々な選手を起用した。井口監督は“超異例”のシーズンに向けて、一軍で使った場合、選手たちがどういった動きをするのか、どのような場面で起用できるのかなど、いろいろとシミュレーションをしていたのではないだろうかーー。
開幕カードは昨季17勝8敗と大きく勝ち越したソフトバンク。開幕投手の石川歩、先発が予想される種市篤暉、美馬学の3投手で、優勝候補一角であるソフトバンクに今季も嫌な印象を植え付けたい。マリーンズがソフトバンクを相手に、開幕カードに勝ち越すことができれば、23日からの本拠地・ZOZOマリンで行われるオリックスとの6連戦に弾みがつく。リーグ制覇するためにも、開幕3連戦をなんとしても勝ち越し、スタートダッシュを決めたい。
2019年はシーズン終盤まで楽天とクライマックスシリーズ進出争いを繰り広げたが、最終的には4位に終わった。その悔しさを2020年にぶつけ、今年こそ首脳陣、選手、スタッフ、ファンが一丸となって、秋にはZOZOマリンで歓喜の瞬間を迎えたい。開幕してからしばらくは、スタジアムで応援できない悔しさ、辛さはあるだろうが、マリーンズが本当に好きならば、スタジアムで選手、ファンとともに喜びを分かち合うことを信じて、自宅から熱い声援を選手に向けて送ってほしい。
大型補強を敢行したが、プロ野球解説者のみなさんが行った順位予想では4位や5位が多く、前評判はやや低い。シーズンが終わったときに、2020年のプロ野球はマリーンズの年だったと言われるような、熱い1年になることを期待したい。
文=岩下雄太