「慶応大トリオ」が注目集めるも…?
当初の予定から遅れること約3カ月…。6月19日にプロ野球が開幕した。
今季は一軍の登録人数やベンチ入り人数、さらには外国人枠の拡大など、これまでとルールが大きく変わることもあり、チームとしての戦い方はもちろんのこと、ファンの楽しみ方というのも変わってくることだろう。
一方、従来と変わらないもののひとつに、昨年のドラフト会議で指名された「ルーキーへの期待」がある。今年は総勢18名の新人選手が、開幕一軍の切符を掴んだ。
大卒・社会人組は早くも開幕カードで一軍デビューを果たした選手もおり、なかでも広島のドラフト1位・森下暢仁(明治大)は開幕3戦目に先発登板。残念ながらプロ初勝利はつかなかったが、7回無失点の好投を見せている。
その他、新人の開幕一軍関連で注目を集めたのが、柳町達(ソフトバンク)・津留崎大成(楽天)・郡司裕也(中日)の3人。
彼らは慶応大から支配下指名を受けた選手で、指名順も津留崎の3位というのが最も高かったのだが、3人揃って開幕一軍メンバーに名を連ねた。
同一の学校、あるいは企業から複数人が同時にプロの世界に飛び込むこと自体がすごいのだが、さらに一歩進んで開幕を一軍で迎えているというのは快挙と言ってもいいだろう。
この慶応大の例とは少し意味合いが違うものの、「同一校出身ルーキーの一軍入り」という観点で言うと、注目したい選手が2人いる。中日の岡野祐一郎と、ロッテの佐藤都志也。この2名はともに、福島・聖光学院高の出身である。
岡野は大学・社会人を経て、佐藤は大学から、ということで、聖光学院から直接のプロ入りではないものの、同じ高校出身の2人が、同じ年に一軍デビューを迎えようとしている。ということで、今回はこの2人のルーキーと、2人の母校・聖光学院高にスポットを当ててみたい。
言わずと知れた“県内最強”
岡野は26歳でのプロ入り。1年目から結果を残すことが期待されている。
春季キャンプからオープン戦、自粛期間を挟んで6月に再開した練習試合でも継続して結果を残し、開幕ローテーション入りへ猛烈アピール。開幕直前の6月17日、ファーム練習試合の阪神戦で5回2失点と力投を見せ、最後の最後で6つ目のイスに滑り込んだ。
なお、ローテーションの順番の関係から、6月18日に発表された“開幕一軍”のメンバーには名を連ねていないものの、23日からのDeNA3連戦でのデビューが有力視されており、それにあわせて登録されることが内定しているという点では、実質的に開幕一軍入りと言っても差し支えない。
ちなみに、ルーキーの開幕ローテーション入りとなると、中日では2005年の中田賢一(現・阪神)以来で実に15年ぶりのことだそう。注目の初登板から目が離せない。
一方、佐藤は打撃がウリの「打てる捕手」候補。6月の練習試合では1試合2本塁打を放つなど、自身の強みをしっかりとアピールし、開幕一軍入りを果たした。
なお、聖光学院高の出身者でルーキーイヤーに開幕一軍入りを果たすのは、佐藤が初めての例になる。
聖光学院高が福島県の強豪校であることは、野球ファンの間ではもうお馴染みだろう。昨年まで13年連続で夏の甲子園出場を果たしており、もはや県内に敵なし状態。岡野も佐藤も高校時代に甲子園の舞台を経験している。
ところが、その後にNPBで活躍したOBを探して見ると、岡野の1年先輩にあたる歳内宏明(元阪神/現在は四国IL・香川でプレー)が通算57試合に登板しているのが目立つくらいで、その他の選手たちは実績を残すことができなかった。
多くの先輩たちが跳ね返されてきた高い壁。1年目から一軍での活躍に期待がかかる岡野祐一郎と佐藤都志也は、この壁を乗り越えていくことができるだろうか。
▼ 聖光学院OBの現役選手
※NPB所属
岡野祐一郎(中日/26歳)
八百板卓丸(巨人/23歳) ※育成
佐藤都志也(ロッテ/22歳)
湯浅京己(阪神/20歳)