ロッテの岩下大輝[撮影日=2020年2月6日]

◆ 5回2/3を無失点

 ロッテの岩下大輝は、今季初登板となった25日のオリックス戦、5回2/3を投げ、4安打、5奪三振、無失点に抑え、今季初勝利を挙げた。

 昨年、そして練習試合、オープン戦で課題にしていた立ち上がりのピッチング。6月2日以降の練習試合では、10日の中日との練習試合で初回にビシエド、高橋周平に適時打、16日の西武との二軍練習試合で初回に高木渉にソロと失点していた。

 しかし、この日は先頭のT-岡田を一邪飛に仕留めると、続く大城滉二を148キロのストレートで3球三振、3番・吉田正尚を146キロのストレートで二ゴロに打ち取り、課題の立ち上がりを三者凡退に抑えた。

 その裏、中村奨吾の満塁本塁打などで5点の援護をもらうと、2回以降もストライク先行の投球でオリックス打線をねじ伏せた。

 「一番の軸はストレートだと思うので、そこは外さないように。僕の中で消してはいけないところだと思うので、そこを外すつもりはないですね」(20年2月9日取材)と話す岩下の最大の魅力であり、もっともこだわっているストレートが素晴らしかった。

 特に初回、大城滉二に投じた初球の149キロストレート、4回吉田正尚に1ストライク1ボールから投じた3球目の144キロストレートは非常に良いボールだったように見える。4回には、吉田正尚からボール気味の高めのストレートを振らせ、空振り三振に斬って取った。

 この日はストレートでファウルを奪いカウントをしっかりと稼ぎ、追い込んでからストレート、もしくはフォークで三振、打ち取るという場面が目立った。ストレートが良かったことでストライク先行の投球ができ、リズム良く投げ少ない球数で抑えられた印象だ。

◆ 昨季も見せていた修正力

 オープン戦、練習試合ではいまひとつピリッとしなかった岩下だが、今季初登板でしっかりと結果を残した。

 振り返れば昨季も、納得のいく感覚を掴めず、練習試合、オープン戦では不本意な投球内容だった。それでも、「キャッチボールからしっかり指先の感覚、腕を振る強さ、フォーム固めをしっかりできたのが良かったのではないかと思います」(19年4月18日取材)と、開幕ローテーション入りを逃したが、2度目の先発となった4月11日のオリックス戦で6回を3安打9奪三振1失点に抑えると、4月17日のソフトバンク戦では6回を1安打無失点に抑え、先発ローテーションに定着した。

 今年も昨年と同じように、シーズンに向けてしっかりと調整してきた印象だ。ただ大事になってくるのが、次回の登板でどういった投球を見せるかだ。25日のオリックス戦で見せたストライク先行の投球を次回の登板でも、披露してほしい。そして、今季こそ1年間先発ローテーションを守り、2桁勝利、規定投球回を到達してほしいところだ。

文=岩下雄太

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