二軍戦で初球から154キロをマーク
6月19日にプロ野球が開幕し、1週間が経過。ルーキーたちが早くも結果を残している。一軍では、6月24日に津森宥紀(ソフトバンク)が12球団の新人で最速となるプロ初勝利をマーク。6月21日のデビュー戦では、史上初となる初登板の第1打者に満塁本塁打を許した悲劇の男が、すぐさま白星を挙げた。
開幕ローテーション入りを果たした森下暢仁(広島)も、6月21日のDeNA戦で7回無失点、被安打4、奪三振8と好投。リリーフ陣が打ち込まれたため初勝利はお預けになったものの、堂々たるピッチングだった。
開幕ローテ入りした新人では、DeNAの“新たな左腕”坂本裕哉も25日の中日戦で6回1安打無失点と好投し、デビュー戦で初白星をマーク。残念ながら試合中のベースカバーの際に右足首を痛めて登録抹消となったが、次回登板が今から楽しみな存在だ。
新人が存在感を発揮しているのは、なにも一軍だけではない。二軍では6月20日に奥川恭伸(ヤクルト)がデビューし圧巻の投球を披露。初球に自己最速となる154キロのストレートを投じると、1回を無安打無失点、奪三振2と結果を出した。時折笑顔をのぞかせるなど、高卒の新人とは思えない落ち着いたマウンドさばきは、さすがの一言に尽きる。
奥川の初登板は1回を投げて14球のみ。まだまだ準備段階だが、一軍昇格への階段を順調に登りはじめたと見るべきだろう。
高井雄平は1年目に5勝をマーク
2000年以降におけるヤクルトのドラフト1位(1巡目含む)指名を調べてみると、高井雄平(東北高/2002年)、村中恭兵(東海大甲府高/2005年)、増渕竜義(鷲宮高/2006年)、佐藤由規(仙台育英高/2007年)、赤川克紀(宮崎商/2008年)、寺島成輝(履正社高/2016年)らが「高卒ドラ1の投手」としてプロ入りしている。
そんな先輩たちを振り返ってみると、全員が1年目から一軍での登板機会を勝ち取ってきた。なかでも高井(現雄平)は、27試合(先発17試合)に登板し、5勝6敗と高卒1年目としては上々の成績を残している。
また、この5勝という数字はドラフト制以降における、ヤクルトの高卒ドラ1投手の1年目における最多勝利数でもある。野手に転向してから10年が経過していることもあり、投手としての実績は忘れられがちだが、雄平は1年目から大器の片鱗を見せていた。それ以降にも、増渕は1勝、由規は2勝と高井には及ばないものの白星を掴んでいる。
投手事情の苦しさもあるなか、ヤクルトという球団は、高卒ドラ1の投手たちを1年目から一軍で起用してきた流れがある。もちろんそれは、高津臣吾新監督になっても変わらなそうだ。開幕前に高津監督は、「ファームで80球から100球を何回か投げることができたら」という注釈付きではあるものの、「7月(に奥川を昇格させること)は可能性としてあり得る」と語っている。
焦る必要はないものの、1年前の夏の甲子園で躍動し全国の野球ファンの視線を集めた奥川が、今年は神宮の杜で初登板、そして初勝利を掴むことに期待がかかる。