ただ一人の「全試合安打」
3カ月遅れではじまったプロ野球の2020年シーズンも、あっという間に1週間が経過。28日を終えてセ・パ12球団が9試合を戦い、パ・リーグではロッテが開幕2戦目から8連勝のロケットスタートで首位を快走。セ・リーグは昨季王者の巨人が首位発進も、0.5差でDeNA、さらに0.5差で広島が後ろに迫るという混戦模様となっている。
30日(火)からは、セ・パともに早くも“首位攻防”の直接対決が。セ・リーグ2位のDeNAは、敵地・東京ドームに乗り込んで巨人との3連戦。開幕3連戦こそ負け越しスタートとなったものの、新加入のタイラー・オースティンがラインナップに入ってからは6戦5勝。勢いに乗った状態で昨季の王者に挑んでいく。
そんなチームの中で、開幕から欠かせない存在感を放っている男がいる。ここまで全試合に「4番・左翼」で先発出場している佐野恵太、今季からチームのキャプテンも任されているプロ4年目の25歳だ。
メジャー挑戦のためチームから羽ばたいた筒香嘉智に代わり、「4番・左翼」と「主将」という重要なポジションを引き継いだ男は、実質レギュラー1年目ながらも開幕から好調をキープ。打率.382はリーグ6位も、全9試合で安打をマークしているのは12球団で見ても佐野だけ。強力な外国人打者が前後に並ぶ重量打線の中で、また違った輝きを放っている。
上位で唯一の「本塁打0」も…
プレイボールから相手に息つく暇も与えないのが新生DeNA打線の強み。特に上位打線の面々を見ると…
▼ DeNAの上位打線
1(中)梶谷 [率.333 本2 点5]
2(二)ソト [率.364 本1 点4]
3(右)オースティン [率.444 本2 点7]
4(左)佐野 [率.382 本0 点4]
5(一)ロペス [率.194 本1 点3]
6(三)宮﨑 [率.471 本3 点8]
※6月28日終了時点
なんと6人中5人が打率3割オーバー、そして6人中5人がすでに本塁打をマーク。筒香が抜けても、その威力は健在だ。
佐野はこの中で唯一の本塁打ゼロながら、上述の通り毎試合欠かさず安打を放ちつつ、状況に応じた打撃で時には自己犠牲に徹するシーンも。「俺がひと振りで決める!」といった従来の4番のイメージではなく、しっかりと自分の色を出すことができている。
レギュラー経験がない中で、いきなりの抜擢という重圧にも負けず、開幕がいつになるか分からないという先行きの見えない不安にも負けず、開幕から独自の存在感を発揮するハマの“新4番”──。
2020年のDeNAは佐野恵太から目が離せない。
文=尾崎直也
佐野恵太・プロフィール
ポジション:内野手投打:右投左打
身長/体重:178センチ/88キロ
生年月日:1994年11月28日
経歴:広陵高-明治大-DeNA(16年・9位)
▼ 今季成績
9試合 打率.382(34-13) 本塁打0 打点4
得点5 二塁打5 三塁打0 塁打数18
盗塁0 盗塁刺0 犠打0 犠飛0 四球5 死球0
三振3 併殺打1 長打率.529 出塁率.462