雨の鎌ヶ谷でベテランが躍動!
西武の榎田大樹投手(33)は30日、ファイターズ鎌ケ谷スタジアムで行われた日本ハムとのイースタン・リーグ公式戦に先発登板。雨の降りしきるバッドコンディションの中、6回を無失点に封じる好投を見せた。
8回無失点の快投を見せた21日のマウンドから、中8日を空けて迎えた公式戦2度目のマウンド。初回からていねいに、かつテンポの良い投球でアウトを重ねていくと、2回からは打って変わって直球で押すシーンも。変幻自在の投球で若手有望株の並ぶ日本ハム打線を封じ、5回まで被安打はわずかに2。スコアボードにゼロの文字を並べていく。
インターバルを挟み、マウンドに砂が運びこまれた6回も続投すると、先頭打者の難波侑平をわずか3球で空振り三振。後続も連続で二ゴロに仕留め、あっという間のスリーアウト。6回を投げて被安打2、無失点の好投でマウンドを降りた。
優勝に貢献した2018年から一転、昨季は…
小林西高から福岡大、社会人の東京ガスを経て、2010年のドラフト1位で阪神に入団した左腕。2018年の開幕直前に岡本洋介とのトレードで西武に移籍すると、先発としていきなり11勝(4敗)を挙げる活躍でチームのリーグ制覇に大きく貢献。新天地で存在感を発揮した。
ところが、昨季は左肩の故障で出遅れ、復帰後も思うような投球ができず、13試合の登板で4勝3敗、防御率6.52と苦しいシーズンに。復活を期す今季もキャンプは二軍で過ごす時間が長くなったが、自粛期間を経て6月に練習試合が解禁されると、ファーム戦で好投。徐々に状態を上げてきているところだった。
開幕一軍には間に合わなかったものの、6月21日のイースタン・ヤクルト戦では8回を投げて被安打2、与四球2つの8奪三振、無失点という快投を披露。この日も雨の中でしっかりと存在感を発揮し、2試合続けてのアピールに成功している。
一軍のチームはここまで9試合を5勝4敗と勝ち越してはいるものの、終盤の打線の奮起による逆転やサヨナラ勝ちが目立ち、先発が好投しての押し切り勝ちというのは少ない。事実、5勝のうち先発投手で勝利を挙げているのはザック・ニールと髙橋光成の2人だけ。髙橋の1勝も6回を投げきることはできておらず、打線やリリーフの奮闘があってのものだった。
それだけに、ファームでベテランが好投を続けているというのは光明。それも、一軍ローテにいない“左腕”であるという点は、首脳陣にとっても非常に魅力的なポイントだろう。
2年前と同じように、榎田が先発陣の救世主となるのか…。今後の動向から目が離せない。
文=尾崎直也
榎田大樹・プロフィール
ポジション:投手
投打:左投左打
身長/体重:180センチ/90キロ
生年月日:1986年8月7日
経歴:小林西高-福岡大-東京ガス-阪神(10年・1位)-西武(18~)
[昨季成績] 13試(69.0回) 4勝3敗 防6.52
[通算成績] 232試(499.0回) 28勝24敗 防4.11