6回まで好投も「納得いってない」
西武の髙橋光成投手(23)は30日、本拠地・メットライフドームで行われたオリックス戦に先発登板。7回途中2失点で今季2勝目を挙げた。
6月23日の今季初登板は白星こそ挙げるも、6回を投げ抜くことができず、5回1/3を投げて3失点という結果に。11得点と火を噴いた打線に助けられる格好となり、辻発彦監督からも「納得いかない!今回の反省を活かしてもらいたい」と苦言を呈されていた。
それから中6日、迎えた今季2試合目のマウンド。初回は二死から昨季5の4と打ち込まれた吉田正尚を相手に四球を出すも、盗塁を阻止して3人斬りのスタート。2回は先頭のアダム・ジョーンズに安打を許したが、つづくT-岡田を注文通りの二併殺に斬ってこの回も3人斬り。この日は6回まですいすいと92球、天敵である吉田正尚に2本の安打を浴びた以外はほぼ完ぺきな内容で、スコアボードにゼロを並べていく。
ところが、続投した7回に落とし穴。先頭のT-岡田に二塁打を浴びてピンチを背負うと、アデルリン・ロドリゲスに対しては外へのスライダーが逃げ切らず、長いリーチに巻き込まれてレフトスタンドまで叩き込まれる痛恨の被弾。2ランで1点差とされると、つづく若月健矢にも安打を許したところで、ベンチが交代を決断。2戦続けてイニング途中での降板となってしまった。
その後は犠打に失策もあって二死ながら一・三塁と同点のピンチを迎えたが、ここは経験豊富な平井克典が安達了一を打ち取ってピンチ脱出。白星の権利が守られると、8回は新外国人のリード・ギャレットが危なげない投球で繋ぎ、最後は守護神の増田達至が三者凡退締め。1点のリードを死守した西武が3-2で勝利を掴み、先発・髙橋光成は開幕2連勝となった。
「素直に喜ぶことが出来ません」
それでも、本人の口から出てきたのは“悔しさ”ばかり。
「6回までは良かった。最初にバタついた中で、修正できたのは良かったです」と振り返ったものの、「7回は前回と同じことの繰り返し。中継ぎの方にも負担をかけてしまったので、納得がいっていないです」と、正直な気持ちを吐露。
試合後、辻発彦監督は「今日は良かった。うまいこと試合を作ってくれた」と語っており、つかまった7回については「T-岡田のところで、西口文也コーチと『ちょっと腕の振りが鈍いかな…』という話はしていた。長打された後、間を置こうかなと思っていたところで、ロドリゲスに2ランを浴びてしまったので、こちらも反省しています」と、ベンチワークについてのコメントで終わったが、背番号13は試合後も反省しきり。
「勝利はうれしいですが、素直に喜ぶことが出来ません。やはり7回、あのような形で交代してしまったこと。中継ぎの方にも急いで(肩を)作ってもらったと思うので、喜べないですね」と、今回も“マウンドの降り方”について悔しさが残ったようだ。
今季は同一球場で同一球団との6連戦がベースとなる特殊なシーズン。その頭、火曜日の先発マウンドを任されるということは、その投球がチームの命運を左右すると言っても過言ではない。勝利に導くのはもちろんのこと、そのうえで相手に嫌な印象を植え付け、さらに自軍のリリーフも休ませることが求められる。
結果だけ見れば、チームは火曜日を2連勝。しかし、その結果だけで喜ぶことができないということは、自身がその役割の重さ、そして周囲の期待を十分に理解しているということ。背番号13には、たしかにエースの自覚が芽生えつつある。
あとは、その期待に応える投球を続けることができるか。初の2ケタ勝利を挙げた昨季を経て、今季は先発陣の柱に…という願いはファンも首脳陣も同じ。オープン戦や練習試合の段階で辻監督から何度も厳しいコメントが出ていたように、多くの人々が2020年の髙橋光成に期待を寄せている。
この2戦の反省点を踏まえ、次回登板でどんな変わり身を見せてくれるのか。エースへの階段を登り始めた右腕の今後から、目が離せない。
文=尾崎直也
髙橋光成・プロフィール
ポジション:投手
投打:右投右打
身長/体重:190センチ/105キロ
生年月日:1997年2月3日
経歴:前橋育英高-西武(14年・1位)
[今季成績] 2試(11.1回) 2勝0敗 防3.97