両リーグ最速タイの10敗到達
3カ月遅れでスタートした2020年のプロ野球も、多くのチームが15試合を消化。各チームの勢いにも差が見え始めてきたところだが、今季は両リーグともに西のチームが出遅れている。
阪神は巨人との開幕カードで3連敗を喫すると、そこからズルズルと負けが込み、7月2日には両リーグ最速タイの10敗に到達。一時はセ・リーグの借金すべてをひとりで抱え込むという珍現象も起こっていた。
つまずきの原因というと、投打の新外国人選手が不振や故障で戦力になりきれていないこと、また2年目の近本光司と木浪聖也も開幕から苦しみ、得点と失点はリーグワースト。投打ともに苦しいスタートとなってしまった。
一方、ファームを見ると明るい材料も。
ドラフト1位ルーキー・西純矢は、7月2日の試合で早くも先発デビュー。5回途中まで投げて被安打1の1失点(自責は0)という上々の結果を残した。
また、ドラフト2位ルーキー・井上広大も開幕から4番を任されており、西の登板試合で公式戦初アーチも記録。ここまで9試合に出場して打率.242、1本塁打で7打点と奮闘を見せている。
期待の左腕・髙橋遥人が復帰
とはいえ、彼らは高卒のルーキー。すぐにチームの救世主になれるか…というと、現実的には難しい。
しかし、未来を担う若手だけでなく、ここに来て一軍での実績が十分にある選手たちも、徐々に仕上がりつつあるようだ。
高卒ルーキーたちが躍動した7月2日から一夜明け、迎えた7月3日のゲーム。若虎たちの活躍に刺激を受けてか、遅れながらも一軍昇格を目指す実績者たちが良いアピールを見せた。
まずは、先発を託されたベテランの岩田稔。初回に2点こそ失ったものの自責は0で、その後はスコアボードにゼロを並べて5回2失点。今季はここまで2試合・9回を投げて防御率1.00と、好調を維持している。
その岩田の後を受けたのが、コンディション不良により二軍調整中だった3年目の髙橋遥人。実に101日ぶりの実戦登板だったということもあり、この日は1イニングのみの投球となったが、1回をきっちりと無失点。復活に向けた一歩を踏み出した。
さらに、3番手では桑原謙太朗も登場。2017~2018年には2年続けて60試合以上に登板したリリーバー。昨季は故障もあってわずか7試合に登板に終わったが、右腕もこの日は1回を投げて無失点。今季はここまで3試合に登板して全試合無失点と、こちらも状態の良さをアピールしている。
また、野手陣では1番で起用された中谷将大が2安打をマーク。今季の打率は.231となっているものの、7月に入って打率.462(13-6)と絶好調。このように、多くの選手が一軍昇格をめざして奮闘を見せているのだ。
加えて、5日の試合では復活を期す藤浪晋太郎が中日戦に先発。5回を投げて無安打・6奪三振で無失点という快投を見せた。
一軍のチームもこの土日に今季初の連勝を挙げ、7日からはついにホーム・甲子園での試合を迎える。少しずつ状態が上向いてきたチームに、ファームで調整してきた男たちが新たな起爆剤となり、遅れを取り戻すような快進撃へと導くことができるか。虎の逆襲から、目が離せない。