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「まだ諦めていない」…レオの逆襲のカギ握る内海哲也の復活

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西武・内海哲也 [写真提供=埼玉西武ライオンズ]

苦しいチームの先発陣


 6月19日の開幕から約1カ月半、8月戦線に突入したプロ野球の2020年シーズン。各チームもうすぐ40試合を消化しようというところまで来ており、シーズンも3分の1が終わろうとしている中、昨季のパ・リーグ王者である西武にいまひとつ勢いがない。






 昨年までも苦しい投手事情を打線がカバーして勝ってきたチームだったが、それにしても今季は投手陣が苦しい。

 かつて長らく"泣き所"と言われていたブルペンに関しては、安定感抜群のストッパー・増田達至を中心に、新外国人のリード・ギャレットが圧巻の投球を披露。昨季フル回転を見せた平井克典に、昨季ブレイクした平良海馬と、勝ちパターンに関しては量・質ともに申し分ない陣容ができているのだが、一方で先発投手たちが精彩を欠いている。

 昨季途中からエース級の働きを見せたザック・ニールがチームで唯一規定投球回をクリアしているものの、7試合の登板で2勝1敗、防御率は4.46。パ・リーグ個人投手成績の一番下に名前がある状態で、昨年ほどの安定感はなし。投げた日は負けない"不敗神話"も、7月31日のソフトバンク戦でついに途切れてしまった。


 また、このニールを支えたい将来のエース候補たちも、ここまではまったく期待に応えることができず。

 2014年のドラ1右腕・髙橋光成は5試合の登板で2勝3敗、防御率5.34と苦しい内容となっており、2016年のドラ1右腕・今井達也も6試合の登板で2勝3敗、防御率は6.25。今季この"甲子園優勝投手"コンビにかかる期待は大きかっただけに、ここまでの姿には首脳陣もファンもモヤモヤを募らせている。


ファームの救世主候補は…?


 こんな時こそ待たれる、"救世主"の登場…。そこでファームの投手成績に目を移すと、一人の男に目が留まる。背番号27・内海哲也だ。

 敦賀気比高から社会人の東京ガスを経て、2003年の自由枠で巨人に入団。順調に頭角を現し、2007年にセ・リーグの最多奪三振に輝くと、2011年・2012年には最多勝のタイトルも獲得するなど、NPB屈指の実績を誇る左腕である。

 しかし、2013年に13勝を挙げたのを最後に2ケタ勝利からは遠ざかり、度重なる故障にも苦しんで出場機会が減少。迎えた2018年のオフ、FAで巨人に移籍した炭谷銀仁朗の"人的補償"として西武から指名を受け、突然の移籍が決定した。


 新天地で再スタートを切ったプロ16年目は、開幕前に左前腕を故障した影響で出遅れると、その後もなかなかコンディションが上がらず、実戦登板が叶ったのは8月のこと。マウンド上でも本調子とは遠い姿が続き、ついにプロ入り後初となる一軍登板なしのまま移籍初年度を終える。

 オフにはフェニックスリーグでの調整にも挑んだが、ここでも左前腕に不安が露呈してオフに手術を敢行。今季は再起をかけたシーズンとなる。


 新型コロナウイルスの影響で調整の難しい日々が続いた中、内海はここまでファームで5試合に登板。チームで2番目に多い24回2/3を投げて2勝2敗、防御率は6.57となっているが、これは7月2日の日本ハム戦で喫した3回7失点によるところが大きい。7月21日のロッテ戦では7回2失点の好投を見せるなど、徐々に復活の気配を漂わせている。

 つづく28日の日本ハム戦は5回と2/3を投げて5失点と苦しい内容にはなったものの、投球数は107球。イニング数・球数が増えてきているというのは、投げることができずに苦しんだ昨季のことを思えば前進と言えるだろう。


「違った緊張感はありますね」


 「投げている感覚は前に比べて良い感じだけど、もう少しって感じです」

 内海は現状をこのように表す。


 前回登板の日本ハム戦については、「後半バテてしまって、コースに投げ切れなかった。打者の内側に入るストレートの精度が上がらないと、自分の変化球は生きてこないので」と振り返りつつ、「自分がしっかり投げ切れた時はヒットがないので、そこがバロメーターとなっているし、自信にもなります」と、打者との対戦を通じて掴んだ収穫を挙げる。

 つづけて、「ボールを握っても痛みなく、しっかり投げられています。スライダーとチェンジアップは申し分ない状態ですね」と手応えを語りながら、「歳を重ねての衰えは感じないけど、後がないと思うと、違った緊張感はありますね」とし、「『ここで抑えたら一軍に呼ばれるかもしれない』という気持ちになって、思うように投げられないこともある」と、正直な感想も吐露した。


「一軍で投げている姿を子どもに見せたい」


 新たにオープンした二軍本拠地『CAR3219フィールド』で、若手に混じって汗を流す38歳。徐々に隣のメットライフドームの舞台も近づいてきた気配がある中、改めて“一軍”への想いも口にした。

 「一軍で投げてなんぼ。若い選手と時間を共にして見本にならないといけないとは思うけど、やっぱりね。そこはずっと追い求めている。なんとか一軍のローテに割って入りたいという気持ちでまだ諦めていない」


 2年ぶりの一軍登板へ向けて、闘志を燃やし続ける左腕。原動力となっているのが、“家族”の存在だ。

 「どうしても、一軍で投げている姿を子どもに見せたい。その一心。子ども達も野球をやっていて、野球の難しさもわかってきている年齢なので、そういうなかで偉大な父でありたい。第一線で投げる姿を見せたいです」


 困った時こそ頼りになるのが、幾多の修羅場をくぐり抜けて来た、経験豊富なベテランの力。内海哲也は西武の先発陣の救う救世主となるか。

 残り「3分の2」となったプロ野球の2020年シーズン。獅子の逆襲のカギを握るベテラン左腕に注目だ。



文=尾崎直也
(コメント提供=埼玉西武ライオンズ)
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