今年は球場でより響き渡る登場曲
新型コロナウイルスの影響で約3カ月遅れでスタートしたプロ野球も約1/3が終了。セ・リーグは巨人が2位に4ゲーム差と一歩抜け出し、パ・リーグは1~5位までが4ゲーム差の中にひしめく混戦模様となっている。
そんな今年のプロ野球は、新型コロナウイルスの影響で、観客の入場や応援に制限がかけられており、ファンが大きな声を出して声援を送ることが禁じられている。そういったこともあってか、例年よりも登場曲が大きく球場に響き渡っている印象だ。
そんな登場曲に、どんなアーティストが多く使用されているのかを調べた昨年の記事が好評だったこともあり、今年も二匹目のどじょうを狙って、11球団の公式HPで公開されている選手登場曲と、カープ広報部に提供いただいた登場曲データを基に、2020年シーズンの「人気アーティスト」をまとめてみた。
なお、使用楽曲は2020年7月末時点のものであり、楽曲は変更される可能性もあるので、その点はご了承いただきたい。
セ・リーグは上位が拮抗
まずはセ・リーグから。昨年は「AK-69」「ONE OK ROCK」「GReeeeN」が1位で並んでいたが、今年はどうだったのか――。使用されている楽曲(延べ曲数)が多いアーティストは以下のとおり。
▼ セ・リーグのトップ10
<1位:8曲>
・GReeeeN(『遠くの空 指さすんだ』『刹那』など)
・ONE OK ROCK(『Stand Out Fit In』『欲望に満ちた青年団』など)
・ベリーグッドマン(『ライオン』『ライトスタンド』など)
・安室奈美恵(『Just You and I』『Body Feels EXIT』など)
<5位:7曲>
・Mr.Children(『終わりなき旅』『Tomorrow never knows』など)
<6位:6曲>
・AK-69(『Divine Wind -KAMIKAZE-』『IRON HORSE -No Mark-』など)
<7位:5曲>
・LiSA(『紅蓮華』『ハウル』など)
・嵐 (『A・RA・SHI』『Brave』など)
・サザンオールスターズ(『希望の轍』『涙の海で抱かれたい~SEA OF LOVE~』など)
<10位:4曲>
・Daddy Yankee(『Lovumba』『Dura』など)
・Little Glee Monster(『世界はあなたに笑いかけている』『I BELIEVE』など)
・TUBE(『終わらない夢に』『傷だらけのhero』など)
・湘南乃風(『SHOW TIME』『親友よ』など)
セ・リーグの1位は「GReeeeN」、「ONE OK ROCK」、「ベリーグッドマン」、「安室奈美恵」が8曲で並んだ。
「GReeeeN」はヤクルト山田哲人(『遠くの空 指さすんだ』)や、阪神の能見篤史(『刹那』)が使用している。「ONE OK ROCK」はヤクルトの山田大樹(『Stand Out Fit In』)などが使用。この2組は今季も人気が高いようだ。
また、自身が野球部出身ということで、その経験を踏まえた楽曲が多い「ベリーグッドマン」も、依然として使用する選手が多い。安室奈美恵は昨年は7曲で7位だったが、票が分散したことも影響してトップタイに並んだ。
以下は「AK-69」「Daddy Yankee」といった、昨年も人気だったアーティストに加え、『紅蓮華』が大ヒットした「LiSA」や、高い歌唱力で人気の「Little Glee Monster」がランクインしている。
▼ パ・リーグのトップ10
続いてパ・リーグのTOP10は以下のとおり。
<1位:16曲>
・ONE OK ROCK(『Wasted Nights』『Clock Strikes』など)
<2位:12曲>
・Official髭男dism(『Pretender』『パラボラ』など)
<3位:11曲>
・GReeeeN(『Green boys』『pride』など)
<4位:10曲>
・WANIMA(『ともに』『やってみよう』など)
<5位:9曲>
・BTS(『Make It Right (feat. Lauv)』『Burning Up (FIRE)』など)
<6位:8曲>
・ベリーグッドマン(『ライオン』『ドリームキャッチャー』など)
・安室奈美恵(『Hero』『Hope』など)
・AK-69(『Divine Wind -KAMIKAZE』『START IT AGAIN』など)
<9位:6曲>
・King Gnu(『飛行艇』『Teenager Forever』など)
・Mr.Children(『足音 ~Be Strong 』『蘇生』など)
パ・リーグは昨年と変わらず「ONE OK ROCK」が16曲でトップだった。ロッテの荻野貴司(『Clock Strikes』)や西武の松坂大輔(『キミシダイ列車』)が選んでいる。
2位は昨年一気にブレークした印象のある「Official髭男dism」。使用している選手には、楽天の茂木栄五郎(『パラボラ』)などが挙げられる。3位はセ・リーグでトップだった「GReeeeN」。日ハムの渡邉諒(『Green boys 』)などが使用している。
他に目新しいところでは、アジアだけでなく世界規模で高い人気を誇る韓国の「BTS」が9曲で5位。「Official髭男dism」と同じく2019年に知名度を一気に上げた「King Gnu」が6曲で9位にランクインした。「BTS」はオリックスの中川圭太(『Make It Right (feat. Lauv)』)などが使用、「King Gnu」は日ハムの井口和朋(『飛行艇』)といった選手が登場曲に用いている。
こうしてランキングにまとめると、パ・リーグは根強い人気の定番曲と、流行のアーティストがバランスよくランクインしている印象だ。
12球団最多は!?
セ・パ両リーグを合算したランキングは以下のとおり。
【2020年プロ野球・選手登場曲の人気アーティストTOP10】
1位 23曲 ONE OK ROCK
2位 19曲 GReeeeN
3位 16曲 ベリーグッドマン
3位 16曲 安室奈美恵
5位 14曲 AK-69
5位 14曲 Official髭男dism
7位 13曲 WANIMA
7位 13曲 Mr.Children
9位 9曲 King Gnu
9位 9曲 BTS
9位 9曲 湘南乃風
今シーズン、選手登場曲に最も楽曲が使われているアーティストは「ONE OK ROCK」となった。2位は「GReeeeN」で、「ベリーグッドマン」がこれに続く。ちなみに2019年の総合ランキングを振り返ってみると……
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【2019年プロ野球・選手登場曲の人気アーティストTOP10】
1位 30曲 ONE OK ROCK
2位 22曲 AK-69
3位 19曲 ベリーグッドマン
3位 19曲 GReeeeN
5位 18曲 WANIMA
5位 18曲 Mr.Children
7位 14曲 安室奈美恵
8位 13曲 AAA
9位 10曲 E-girls
9位 10曲 B'z
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「Official髭男dism」「King Gnu」「BTS」など、中位、下位で入れ替わりがあるものの、上位は多少の順位変動のみでほとんど変わっていない。愛着のある曲は長く使う傾向にあるので、上位のアーティストは曲数の変動はあっても、いきなりTOP10から消えるようなことにはならないのだろう。
冒頭でも述べたが、今シーズンは入場制限で観客が少なく、声援や応援歌を歌うことも禁止されている。そんな特異なシーズンだが、阪神では梅野隆太郎選手の発案で、ファンが選ぶ『選手登場曲リクエスト』を募集し、7月21~23日の広島戦で採用するなど、新たな試みも見られた。
まだまだ先行きは不透明だが、例年よりも登場曲に耳を傾けられる“レアなシーズン”として、制約の多い状況を楽しんでみるのも悪くないかもしれない。
文=中田ボンベ@dcp