頼みのベテラン勢が苦しむなかで…
8月に入ってから、阪神の勢いに陰りが見えてきた。
7月こそ、最大で8あった借金を完済するなど14勝8敗2分と好調だったものの、8月はここまで6勝7敗1分。順位こそ3位につけるも、4位のヤクルトとはゲーム差なし。借金1の状態で、敵地での巨人・ヤクルト6連戦に向かう。
チーム成績を見ると、防御率はリーグ2位、総失点はリーグ3位と投手陣は健闘している一方で、206得点はリーグ5位、チーム打率.245も同じく5位と相変わらず攻撃の部分で苦しんでいる印象がある。
その“攻撃”という部分で期待がかかるのが外野陣。このところは開幕直後の不振から抜け出した近本光司がセンター、勝負強い打撃が光るジェリー・サンズがレフトで固定され始めている中、唯一固定できていないのがライトのポジションだ。
開幕から糸井嘉男がレギュラーとして起用されていたものの、打率.250(124-31)に本塁打は1本、打点は12とやや物足りない数字。指揮官も8月に入ってからは福留孝介や中谷将大といった選手を起用しながら、試行錯誤する面が見られた。
そんな中で、ライトの候補としてファームから上がってきたのが髙山俊である。
一軍昇格初日に2安打も…
日大三高から明治大を経て、2015年のドラフト1位で阪神に入団した逸材。ルーキーイヤーには新人王にも輝くなど、将来の阪神を背負っていく選手として大きな期待がかかっていたが、2年目以降は思うような結果を残すことができていない。
今季も開幕こそ一軍で迎えたが、7月16日までにスタメンで起用されたのはわずか1試合のみ。16打席無安打と結果を残すことができず、一軍登録を抹消された。
それでも、ファームでは格の違いを見せつけるように、15試合の出場で打率.345(58-20)と打ちまくり、8月10日に一軍へ復帰。ちょうど苦心していたポジションを埋める存在として、昇格初日から「7番・右翼」で先発出場。いきなりの2安打を放つなど、良いスタートを切った。
ところが、翌日の試合で無安打に終わると、8月12日の試合では「2番・右翼」に入った中谷が逆転3ランを放つ活躍。加えて、苦しんでいた糸井も15日の広島戦では3の3、打点1と快音を連発しており、復調の気配を感じさせている。救世主候補として昇格してきたはずの髙山が、一転して正念場を迎えているのだ。
とはいえ、糸井・福留といった「ベテラン頼みの野球からの脱却」というのは阪神の直近の課題であり、髙山はこのチャンスをモノにしなければならない。糸井の復調は近々のチームにとってはプラスかもしれないが、長い目で見れば今こそレギュラーポジションを奪い取る選手の台頭が待たれる。
開幕から2カ月が経とうとしているプロ野球。まだ70試合ほど残っているとはいえ、今週の首位・巨人との3連戦、そしてその後の4位・ヤクルトとの3連戦は、阪神にとって今季最初のヤマ場と言っても過言ではないだろう。
この重要な6試合の中で、髙山俊は存在感を発揮することができるか。虎の背番号9から、目が離せない。