「強い気持ちで」今季初勝利
オリックスの張奕(ちょう・やく)投手(26)は22日、本拠地で行われた西武戦に先発登板。5回無失点の力投で今季初勝利を掴んだ。
「今日は自分のピッチングを初回から全力でやることだけ考えて、マウンドに上がりました」と振り返った4年目右腕は、2回を除いて毎回走者を背負う苦しい展開も、要所を締める投球で本塁生還は許さない。
なんとか5回を投げて被安打は5、三振も6つ奪って無失点という好投に、「前回登板に比べると、落ち着いて試合に入ることができたと思います」と安堵の表情。
つづけて、「ピンチの場面もありましたが、自分のボールを信じて、“絶対にアウトを取る”という強い気持ちで投げていましたし、粘り強いピッチングが出来たと思います」と手ごたえを口にした。
そんな右腕を援護したい打線だったが、今季初登板が移籍後初登板となった西武先発・内海哲也に大苦戦。3回まで無安打に封じ込まれてしまう。
それでも4回、吉田正尚のチーム初安打を皮切りに、相手のミスも絡めて一死一・三塁というチャンスを作ると、「積極的に振って行こうと思った」という言葉通りにアダム・ジョーンズが初球攻撃。弾丸ライナーはレフトスタンドに突き刺さり、これが2戦連発となる7号先制3ラン。
最高の結果に、「打ったのはチェンジアップ。先発のチョウが頑張って投げていたから、なんとか点を取ろうと思って打席に入っていたよ!ホームランになってくれてよかったし、先制できてよかった!」とコメント。
すると、6回にも二死走者なしから初球をレフトスタンドへ。2打席連発となる8号弾にも、「チョウが頑張って投げていたから打てた」と右腕の力投を讃えながら、「打ったのはカーブだと思う。とにかくアグレッシブにいこうと思っていたし、追加点になってくれてよかったよ!」とコメント。しっかりと結果を残し、主砲としての役割を全う。直後の守備から退いた。
すると、終盤は相手の反撃にあうも、4-2の8回裏、ジョーンズに代わって途中出場した小田裕也が貴重な追加点となる適時二塁打。代わって入った選手も活躍を見せれば、最終回はクローザーのブランドン・ディクソンがマウンドへ。
一死一・二塁とピンチは招いたものの、最後は勝負強い栗山巧を内野ゴロで併殺に仕留めて試合終了。5-2で逃げ切ったオリックスが7月25日以来となる連勝を飾り、西武との対戦成績も5勝5敗1分の五分に戻した。
貫く“選手ファースト”の姿勢
試合後、中嶋聡監督代行は先発の張奕について、「彼本来のストレートの伸びとか、非常に良かったですね。肘の調子が悪かったんですが、そこからは順調に来て、やっと戦力になって来たと思います。良い時の張でした」と力投を見せた若き右腕を賞賛。
また、連日の大活躍となったジョーンズについては、「普通にやればあれぐらいの選手ですので、普通です(笑)」と笑顔を見せつつ、凡退時の全力疾走に関しても話が及ぶと、「それはみんなと約束したことで、外国人の2人もやってくれている」と、全員で全力で勝ちに行くプレーができていることを強調した。
その他にも、8回無死一・二塁で4番の中川圭太が併殺に倒れたシーンについては、「中川が打ったら良かったんですけど、そういうところも小田が助けてくれた。中川も助かって、また明日やってくれると思うので、キッカケさえあればね」とコメント。
昨日の試合後、「僕は“無敵の中川”を見てますので」と4番抜擢の理由を語っていた通り、「汚いヒットでもなんでも、1本打てれば彼は大丈夫だと思っている」と、引き続き起用していく方針を明らかにした。
西武との6連戦は23日が最終戦。今週はホームで3連敗のスタートも、ここに来ての連勝でカード5割、そして対西武の勝ち越しも見えてきた。
「やるのは僕じゃないんで、選手に頑張ってもらいます。全力で勝ちに行きます!」と、この日も最後まで“選手ファースト”の姿勢を貫いた新指揮官。
選手たちに笑顔が戻り、ベンチも明るさを取り戻した新生・オリックス。あす以降の戦いも期待したい。
取材・文=どら増田