盤石の勝利の方程式
セットアッパーとして期待されたジャクソンがシーズン途中で退団し、7年連続40登板中の松永昂大が一軍不在と苦しいリリーフ事情になってもおかしくないなか、マリーンズは“勝利の方程式”が確立されつつある。
28日のオリックス戦では、5-3の7回から先発・石川歩の後を受けて、開幕から無失点投球を続ける唐川侑己がマウンドへ。身体の状態が良いことが、今の調子に繋がっていると話す唐川は、先頭の伏見寅威を今季から投げ始めたチェンジアップで三ゴロに仕留めると、続く大城滉二にライトへ安打を浴びたが、左の西野真弘、吉田正尚を連続三振に打ち取った。
唐川は18年が被打率.278(90-25)、19年が被打率.264(87-23)と左打者にやや苦手にしていたが、今季はチェンジアップを有効に使いここまで左打者を被打率.154(26-4)と抑えている。
8回はハーマンが中川圭太、ジョーンズ、安達了一と危なげなく三者凡退に斬ると、9回はこの日がプロ通算500試合登板となった守護神・益田直也がきっちりと3人で試合を締めた。
唐川、ハーマン、益田が投げれば負けない
ジャクソンが7月8日に退団したあと、それまで勝ち試合の7回を務めていたハーマンが8回に回り、7回を投げる投手は流動的だった。
7回の男を固定できない状況だったなか、7月29日に今季初昇格を果たした唐川が8月9日のオリックス戦で、今季初めて1-0の7回、勝ち試合で登板。モヤをチェンジアップで空振り三振、続く宗佑磨を外角のチェンジアップで空振り三振を奪うと、最後は安達了一を投手ゴロ。1イニングを無失点に抑え、今季初ホールドをマークした。この試合、8回はハーマン、9回に3点を奪いセーブのつかない場面となったが守護神・益田が登板し、きっちりとスコアボードに0を入れた。
この試合から唐川、ハーマン、益田の3人が同時に投げた試合は5勝0敗1分。引き分けに終わった8月19日のソフトバンク戦は2-2の7回・唐川、8回・ハーマン、9回・益田が登板し3人とも無失点と、3人が投げた試合はリリーフ失敗が1度もない。それどころか失点も許していない。
また、ハーマン、益田の2人が揃って登板した試合は7月31日の楽天戦から6勝2分だ。
【8月9日以降唐川、ハーマン、益田が揃って登板した試合】
8月9日 ○4-0(vsオリックス)
唐 川 H 1回 無失点
ハーマン H 1回 無失点
益 田 - 1回 無失点
8月11日 ○3-1(vs日本ハム)
唐 川 H 1回 無失点
ハーマン H 1回 無失点
益 田 S 1回 無失点
8月16日 ○6-5(vs日本ハム)
唐 川 H 1回 無失点
ハーマン ○ 1回 無失点
益 田 S 1回 無失点
8月19日 △2-2(vsソフトバンク)
唐 川 H 1回 無失点
ハーマン H 1回 無失点
益 田 H 1回 無失点
8月25日 ○8-4(vs楽天)
唐 川 - 1回 無失点
ハーマン - 1回 無失点
益 田 - 1回 無失点
8月28日 ○5-3(vsオリックス)
唐 川 H 1回 無失点
ハーマン H 1回 無失点
益 田 S 1回 無失点
気になる登板数
8月は唐川が11試合に投げて6ホールド、防御率0.00。ハーマンが11試合に登板して1勝1敗8ホールド、防御率0.82。そして守護神・益田が12試合に登板して1ホールド、8セーブ、防御率0.75と抜群の安定感を誇る。
8月はここまでマリーンズは24試合を戦い益田が半数の12試合に登板しているが、1週間に4登板以上、6連戦中に3連投(月曜日の休日を挟んで3連投はある)は1度もない。開幕から1週間で投げる登板数、連投などしっかり管理されている。
今週はすでに益田、ハーマンが3試合に登板。開幕からの起用法であれば、29日、30日は登板しない流れになる。開幕直後の6月28日のオリックス戦は、6-5の1点リードの9回、連投中の益田ではなく、ジャクソンが登板し、1回を3者三振に抑えた。8月に入ってからも21日のソフトバンク戦で、連投中のハーマンではなく、6-3の8回に東妻勇輔が登板し無失点に抑えたこともあった。
ただ今週は先週までの同一カードからの6連戦ではなく、昨季までの同一カード3連戦に戻った。そこを踏まえて、ハーマン、益田が勝ち試合で登板するのか気になるところ。
昨季は勝利の方程式のところで苦しみ星を落とすことが多かったが、今季は勝ち試合をしっかりとモノにしている。リーグ突ッパを目指すうえで、リリーフ陣の出来がカギを握るだけに、今後もチームを勝利に導く熱い投球に期待したい。
文=岩下雄太